« 2020年6月 | トップページ | 2021年8月 »

2021年6月

2021年6月 8日 (火)

『 チェーン調整 』アンケート、 中間報告 と Q&A

   
日頃から、GRAの解説コラム・【 オートバイの基本講座 】をご覧くださり、ありがとうございます。
そのうえ、[ チェーンの遊び調整 ]に関する解説記事作成のために、広く皆さんにアンケートの依頼をしたところ、直ぐにアンケート回答やコメントが届き、「 解説記事をきちんと作成しなくては! 」と意欲が高まって、励まされた気持ちになりました。
    
そのコメント欄で質問を寄せて下さった方の質問に合わせて、本日は Q&A 方式で、以下の通り質問に回答をしますので、どうぞ参考にして下さい。また、アンケートの集計結果は、アンケート期限終了後に改めて報告しますので、期待してください。

  

Web1000_chain_adjustment_im


【 質問 / Question 】

スイングアーム軸とドライブスプロケットが同軸であれば、チェーンの張りがストロークに影響を及ぼす事は皆無で理想的だと思います。
片軸スイングアームのバイクがあるので出来そうな気もするのですが、そこまで必要では無いという事でしょうか?

 

          *****************

 

【 回答 / Answer 】

アンケート回答とコメント・質問、ありがとうございます。
チェーンの遊び調整が必要な理由を正しく理解された方の質問だとわかるのですが、“ 同軸配置 ” の意味や目的を知らない人にも分かりやすいように、順を追って回答を進めます。

   

■ 同軸配置とは ■

スイングアームを車体(フレーム)に組み付けた時の軸(スイングアームの回転軸)と、ドライブチェーンに駆動力を与えている ドライブスプロケットの軸(回転軸)は、下の画像の様に、殆どのオートバイでは離れています。そして、この離れた配置が原因で、走行中に角度が変わるスイングアームとチェーンとの間には常に緊張関係が生まれていて、この緊張関係を少なくする為にチェーンの遊び調整は必要になっています。そして、この緊張関係からうまれる問題を減らす為に チェーンの “遊び” 調整が必要になっています。
     
Web1000_sprochetpipot  
  
そんな緊張関係を解消するために考えられたのが、スイングアーム ピポット(軸)とドライブスプロケット軸 とを重ねて配置する “ 同軸配置 ” で、1970年代、下の画像の様に、一部の市販車両で採用された例があります。
 
Web1000_bimota_kb2
  
“ 同軸配置 ” は、無駄な緊張関係から解放されるため、当時は耐久性が現代ほど高くなかったチェーンを労り、折損などの破損による事故などを未然に防ぐ目的と、軸が離れている事で生まれるリア周りの車体挙動を避ける目的もあったと考えられますが、特別な構造のフレームが必要になり、剛性面や製造コスト面から採用した車両は殆どありませんでした。

  
  

■ 片持ちスイングアーム / プロアーム ■

そして、多くのオートバイのスイングアームはリアホイールを左右両側で支える構造ですが、質問にあった「 片持ち(片軸)スイングアーム 」とは、下の画像の様に、片方だけで支える方式のスイングアームの事です。
 
Web1000_mono_seingarm
 
最大のメリットは、リアホイールを固定する部品(ハブ)を大径化して、ホイールとスイングアーム本体との締結剛性を高める事が出来るので、設計次第で、高出力車で発生しがちなリアホイール周りの無駄な揺れ(変形)を減らす事ができ、ダイレクトな操縦性を得やすい事です。
  
  

■ 片持ちスイングアーム + 同軸配置 ■

お待たせしました。片持ちスイングアームに同軸配置 の組み合わせは? という質問に回答します。
私自身、今まで考えていなかったやり方について質問だったので、念には念を入れて考えてみたところ、必然性が高くなく、実現させる為の構造が更に複雑になるので実現は難しいと思います。
  
 
      **********************
  
     
必然性が高くないと考える二つの理由を書きます。一つ目は、1980年代以降、シールチェーンの開発や材質の改良などにより、チェーンの耐久性が格段に向上して、チェーンの破断などの恐れも少なくなっている事。二つ目は、車体解析と車体設計の技術が進んだ事です。一般的な “軸配置” の場合に避けられない駆動によるリア周りの車体挙動ですが、ホイールストローク量が格段に増えたにも関わらず、その挙動を抑える設計が浸透している事です。
     
そして、実際に製作する場合の構造を考えてみると、最も懸念される寸法が ドライブスプロケットの車体中心からの距離です。一般的なチェーン駆動車の場合、チェーンはリアタイヤの外側を通す必要があり、リアタイヤ幅を 180 mm とすれば、ドライブスプロケットは 車体中心線から 左右方向へ 100mm以上オフセットさせる必要があり、“同軸配置” 用の 片持ちスイングアームを製作するとすれば、エンジン後部がスイングアーム固定用の形状になっていない限り、ドライブスプロケット の更に外側に スイングアームを配置する事になり、その上、スイングアームを固定するフレームも配置する必要があるので、かなり横方向に幅が広く複雑な構造になると思います。
でも、仮にスイングアームを ドライブ軸と同軸で固定できる形状と剛性のエンジンが生まれたなら、容易に “同軸配置” の方式が採用できそうですね。

  

以上、長文の気ままな解説に付き合って下さり、ありがとうございました。


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています
文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved.


Web250g_20210125193501
 https://gra-npo.org

 
 
  


« 2020年6月 | トップページ | 2021年8月 »

GRA代表:小林の紹介

カテゴリー

2022年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ