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2012年11月12日 (月)

Ninja 1000 のセッティングについて ・・ (新車を買った彼女) その3

【 お問い合わせ 】

こんばんは。
昨日はお忙しい中返信をありがとうございました。
   
すごく分かりやすく教えてくださったので、週末に、時間が取れたら早速やろうと
思います。
フロントのイニシャルを最弱と最強にして見て、オートバイがバンクした時の感覚
を覚えて(感じて)、
イニシャルで車高を調整するのではなくて、フロントフォークの
取り付け位置を変えていい状態にするということですね。

けれども、イニシャルを調整することがあれば、またフォークの取り付け位置も変わ
ったりするかもってことで理解いたしました。

前後のタイヤが同時に「ターンを開始する」というのがイメージできませんが、
(リアタイヤがターンするってなんやろう?)
実際にやって見て、どういう風に自分が感じるのかやって見たいと思います。
   
デジカメ動画も併用して見ます。
やってみて分かりにくいところは、またどうぞ教えてください。
   
簡単ですみません。
ありがとうございました。
   
      
 

【 回答文 】

こんばんは  キヨ さん
   
先日の 連絡に対して、早速に返信をくださり、ありがとうございます。
   
私がこうして勧めている セッティング手法は、数多ある 書籍などには一切掲載し
てありませんが、私が理論的に独自に生み出した手法ですが、数多く開催してきた
イベント ・『 セッティング練習会  』 で実践して 数多くの人と様々な車種で実効を
残してきたものです。
      
どうぞ、最後まで責任を持って対応しますので、よろしくお願い致します。
      
   *     *     *
    
   
今日は、ターン という現象について、更に詳しく考えてみましょう。
      
   
【 前後の車高バランスは、なぜ大切? 】
      
オートバイはバンクさせる事でターン (旋回)をします。
その時、ターンの役割を担っているのが 前後のタイヤです。
そして、バンクした(傾いた)前後のタイヤが、ターンする(曲がる)ための “ 力 ” を
発揮している
のは 理解できると思います。
    
では、ターンをしている最中ではなく、ターンを始める瞬間を考えて下さい。
ライダーがバンクさせ始めた瞬間、前後のタイヤがきちんと “ 息を合わせて ” 同時
にターンの状態に
なるのが一番安定しています。
けれども、今回の 「前後の車高バランス」 がとれていないと、ターンを始めた瞬間に
不安定な動き
が現れて、ライダーが不安に操作のし難さを覚えるだけでなく、オート
バイの能力を安全に発揮できない
状況にもなるのです。
だから、「前後の車高バランス」 を きちんととる事は大切です。
【 前後の車高バランスがとれてないと、どうなる? 】
では、どうして 前後が同時にターンを始めない場合があるかと言えば、フロントの
タイヤが 左右に切れる操舵機構がある事に深く関係しています。
つまり、操舵機構の無ければ、同時にバンクは始めますが、効率良く曲がりません。
バンク動作に合わせて自動的にフロントタイヤが切れ込んでいく、自動操舵の働き
がオートバイには組み込んであるので、効率良く前後のタイヤがターンできるのです。
   
しかし、その自動操舵の働きが バンクさせたタイミングより遅れたり、またはライダー
が意図したより早目に出てしまうと、スムーズにターン状態へと入る事が難しくなる
のです。
   
つまり、ライダーがバンクさせる動きに合わせて、フロントタイヤが自動的に操舵す
る動きが出るタイミングを調整すると、スムーズに安定してターンを行なう事ができ
るのです。
【 どうして? 車高の違いでバランスが狂うの 】
      
フロントタイヤをバンクさせる動作と、それによって フロントタイヤが自動的に操舵を
始める動きとは、ほぼ一緒に始まる必要があり、その動きの バランスが悪いと、ラ
イダーにとってはバンクさせるのを不安に感じ、乗り難いオートバイになりますし、実
際にそういう状態のコンディションの車両は珍しくありません。
    
では、どうして フロントの車高の調整で、そのバランスが変化するかを説明します。
       
フロントタイヤは 2本のフロントフォークに支えられていて、そのフロントフォークは
操舵する部品(フロントステム・ブラケット)を通じて車体(フレーム)に固定されてい
ます。
ですから、ライダーが車体(フレーム)をバンクさせると、フロントフォークもバンクし
て、フロントタイヤもバンクをする事は理解できるでしょう。
      
そこで、車体(フレーム)とフロントフォークをつなぐ場所を変更した場合、どういう
動きになるかを一度想像してみてください。
      
( ・・・ 想像しやすいように、極端な例を考えてみましょう )
1). フロントフォークの根本近くと 車体(フレーム)とをつないでバンクさせる場合と、

2). フロントフォークを 50㎝ほど長く上に伸ばし、その上部と車体とをつないでバン
     クさせる場合とを想像してみましょう。
      
では最初に、車体の前方からフロントタイヤとフロントフォークを見て、それを一本
の “ 棒 ” だと考えてみて下さい。
タイヤが路面に接地している部分を支点にして左右に振れる(バンク)する “ 棒 ”
状の部品と考えてみましょう。
そうすると、 1). の場合の様に、タイヤの接地面に近い所に車体(フレーム)がバン
クする動きを与えると、とても素早くバンクする事になり、自動操舵が遅れて反応
する事になります。
逆に、2) の場合の様に、タイヤの接地面からとても遠い所にバンクさせる動きを
与えても、実際にタイヤがバンクする動きは遅くなり、自動的に始まる操舵はバン
ク角が少ないとより大きく操舵されるため、ライダーが意図した以上に早目に操舵
が出る状態になります。
以上、極端な例で考えましたが、実際に前後の車高バランスが整う領域辺りでは、
それらの車高の少しの違いで、上記の様に 自動操舵が始まるタイミングや量が
変わり、前後のターンのバランスが変化してくるのです。
【 バランスの変化は誰でも分かるの? 】
      
具体的に言えば、バランスがとれる付近では、フロントフォークの取り付け位置の
1㎜ の違いでさえ、殆どの人は(きちんと条件を整えれば) 感じ取れますし、中に
は 0.5 ㎜以下の 精度でバランス取りを行なえる人も少なくありません。
      
それほど、人間の感覚は 優れているのです。
( セッティング作業は、車体のあらゆる部品や要素ごとに、このバランスを整えて
   いって、 最終的に 全体で安定したバランスを生み出す作業なのです )
   
・ ・ 以下、注意点を列挙します ・ ・
 

    
★ ただし、天秤はかり の例で理解できると思いますが、バランスが大きく崩れた
    ところでは ちょっとした調整では変化はありません。
    バランスが 整う領域では 微妙な違いがはっきりと変化として現れます。

★ また、確認作業を行なう場合には、低速で加減速の動作を行なわず、直立
     状態から スムーズに (一気に)左右 どちらかに バンクさせる瞬間だけ、
     バンランスを 感じ取る必要がありますので、 それ以外の要素
    ( 加速、ブレーキング、クラッチ操作、異なった路面状況または路面の凹凸の
       変化 など )は 極力除外する必要があります。
   
★ テスト・確認作業を行なう場所も、前後左右 が ほぼ水平で、周りの環境に
     よって乗っているライダーの操作や感性に影響を与えない場所を選んでください。
    
★ 左右どちらか一方に固定するのも、車体やライダーの左右差による影響を
     除外するためで、その左右差は “ 車高バランス ” で調整するものではなく、
    それ自体の原因を探って 個別に解消すべき事柄です。
    仮に、一旦 車高バランスを調整した後、左右差を 解消したために
    “ 車高バランス”に変化が出た場合には、微小な調整になりますが、
    再度 調整しなおします。
   
★ 前回も記しましたが、セッティング作業で最も大切な事は、バランス調整を
    する事でも、その調整後のデータを大切に残す事でもなく、それらの
     バランスの違いを感じる感覚を養う事です。
    その感覚を身に付ければ、別な車両に乗り換えた場合だけでなく、タイヤの
     銘柄を変更した場合 など、あらゆる場面で活きてくるのです
      
  *     *     *    *
   
以上、ここまで書いた事から理解してもらえると思いますが、これらの理論と感覚が
必要な作業は、ライダー自身がそれをきちんと意識している事が大切ですし、一般
的な オートバイ販売店の方には 経験と知識の範囲外の作業になります。
      
どうぞ、好きなオートバイの 整体バランスをきちんと整えて、本来 備えている能力
を 安全にきちんと発揮できる状態まで高めて、楽しいオートバイライフを実現させて
いって下さい。
   
   
  *   *   *
    
追伸 1.   ビデオ 撮影の際には、 走行する車両の 前方斜め、 約 10~15 度 の
            アングルで撮影して下さい。   
            この時、 前後タイヤ を主体に撮影できるアングルを選び、車体本体や
            ライダーの映像は全く不要です

追伸 2.  フロントの車高の調整前後 の 映像と、 それぞれの調整状態別に自身
            の感想を添えてください

追伸 3.  いずれ、他の方の参考になるように  Webサイトでの 展開を考えていま
            すので、 車体全体や 車体各部の 画像を いつの日か 提供してもらえる
            と助かります。
   
  GRA   小林
     *     *    *    *

上記の回答に続いて、更に  詳細な説明を追加しています。
こちらをご覧ください。

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