【 お問い合わせ 】
こんばんは。
昨日はお忙しい中返信をありがとうございました。
すごく分かりやすく教えてくださったので、週末に、時間が取れたら早速やろうと
思います。
フロントのイニシャルを最弱と最強にして見て、オートバイがバンクした時の感覚
を覚えて(感じて)、イニシャルで車高を調整するのではなくて、フロントフォークの
取り付け位置を変えていい状態にするということですね。
けれども、イニシャルを調整することがあれば、またフォークの取り付け位置も変わ
ったりするかもってことで理解いたしました。
前後のタイヤが同時に「ターンを開始する」というのがイメージできませんが、
(リアタイヤがターンするってなんやろう?)
実際にやって見て、どういう風に自分が感じるのかやって見たいと思います。
デジカメ動画も併用して見ます。
やってみて分かりにくいところは、またどうぞ教えてください。
簡単ですみません。
ありがとうございました。
【 回答文 】
こんばんは キヨ さん
先日の 連絡に対して、早速に返信をくださり、ありがとうございます。
私がこうして勧めている セッティング手法は、数多ある 書籍などには一切掲載し
てありませんが、私が理論的に独自に生み出した手法ですが、数多く開催してきた
イベント ・『 セッティング練習会 』 で実践して 数多くの人と様々な車種で実効を
残してきたものです。
どうぞ、最後まで責任を持って対応しますので、よろしくお願い致します。
* * *
今日は、ターン という現象について、更に詳しく考えてみましょう。
【 前後の車高バランスは、なぜ大切? 】
オートバイはバンクさせる事でターン (旋回)をします。
その時、ターンの役割を担っているのが 前後のタイヤです。
そして、バンクした(傾いた)前後のタイヤが、ターンする(曲がる)ための “ 力 ” を
発揮しているのは 理解できると思います。
では、ターンをしている最中ではなく、ターンを始める瞬間を考えて下さい。
ライダーがバンクさせ始めた瞬間、前後のタイヤがきちんと “ 息を合わせて ” 同時
にターンの状態になるのが一番安定しています。
けれども、今回の 「前後の車高バランス」 がとれていないと、ターンを始めた瞬間に
不安定な動きが現れて、ライダーが不安に操作のし難さを覚えるだけでなく、オート
バイの能力を安全に発揮できない状況にもなるのです。
だから、「前後の車高バランス」 を きちんととる事は大切です。
【 前後の車高バランスがとれてないと、どうなる? 】
では、どうして 前後が同時にターンを始めない場合があるかと言えば、フロントの
タイヤが 左右に切れる操舵機構がある事に深く関係しています。
つまり、操舵機構の無ければ、同時にバンクは始めますが、効率良く曲がりません。
バンク動作に合わせて自動的にフロントタイヤが切れ込んでいく、自動操舵の働き
がオートバイには組み込んであるので、効率良く前後のタイヤがターンできるのです。
しかし、その自動操舵の働きが バンクさせたタイミングより遅れたり、またはライダー
が意図したより早目に出てしまうと、スムーズにターン状態へと入る事が難しくなる
のです。
つまり、ライダーがバンクさせる動きに合わせて、フロントタイヤが自動的に操舵す
る動きが出るタイミングを調整すると、スムーズに安定してターンを行なう事ができ
るのです。
【 どうして? 車高の違いでバランスが狂うの 】
フロントタイヤをバンクさせる動作と、それによって フロントタイヤが自動的に操舵を
始める動きとは、ほぼ一緒に始まる必要があり、その動きの バランスが悪いと、ラ
イダーにとってはバンクさせるのを不安に感じ、乗り難いオートバイになりますし、実
際にそういう状態のコンディションの車両は珍しくありません。
では、どうして フロントの車高の調整で、そのバランスが変化するかを説明します。
フロントタイヤは 2本のフロントフォークに支えられていて、そのフロントフォークは
操舵する部品(フロントステム・ブラケット)を通じて車体(フレーム)に固定されてい
ます。
ですから、ライダーが車体(フレーム)をバンクさせると、フロントフォークもバンクし
て、フロントタイヤもバンクをする事は理解できるでしょう。
そこで、車体(フレーム)とフロントフォークをつなぐ場所を変更した場合、どういう
動きになるかを一度想像してみてください。
( ・・・ 想像しやすいように、極端な例を考えてみましょう )
1). フロントフォークの根本近くと 車体(フレーム)とをつないでバンクさせる場合と、
2). フロントフォークを 50㎝ほど長く上に伸ばし、その上部と車体とをつないでバン
クさせる場合とを想像してみましょう。
では最初に、車体の前方からフロントタイヤとフロントフォークを見て、それを一本
の “ 棒 ” だと考えてみて下さい。
タイヤが路面に接地している部分を支点にして左右に振れる(バンク)する “ 棒 ”
状の部品と考えてみましょう。
そうすると、 1). の場合の様に、タイヤの接地面に近い所に車体(フレーム)がバン
クする動きを与えると、とても素早くバンクする事になり、自動操舵が遅れて反応
する事になります。
逆に、2) の場合の様に、タイヤの接地面からとても遠い所にバンクさせる動きを
与えても、実際にタイヤがバンクする動きは遅くなり、自動的に始まる操舵はバン
ク角が少ないとより大きく操舵されるため、ライダーが意図した以上に早目に操舵
が出る状態になります。
以上、極端な例で考えましたが、実際に前後の車高バランスが整う領域辺りでは、
それらの車高の少しの違いで、上記の様に 自動操舵が始まるタイミングや量が
変わり、前後のターンのバランスが変化してくるのです。
【 バランスの変化は誰でも分かるの? 】
具体的に言えば、バランスがとれる付近では、フロントフォークの取り付け位置の
1㎜ の違いでさえ、殆どの人は(きちんと条件を整えれば) 感じ取れますし、中に
は 0.5 ㎜以下の 精度でバランス取りを行なえる人も少なくありません。
それほど、人間の感覚は 優れているのです。
( セッティング作業は、車体のあらゆる部品や要素ごとに、このバランスを整えて
いって、 最終的に 全体で安定したバランスを生み出す作業なのです )
・ ・ 以下、注意点を列挙します ・ ・
★ ただし、天秤はかり の例で理解できると思いますが、バランスが大きく崩れた
ところでは ちょっとした調整では変化はありません。
バランスが 整う領域では 微妙な違いがはっきりと変化として現れます。
★ また、確認作業を行なう場合には、低速で加減速の動作を行なわず、直立
状態から スムーズに (一気に)左右 どちらかに バンクさせる瞬間だけ、
バンランスを 感じ取る必要がありますので、 それ以外の要素
( 加速、ブレーキング、クラッチ操作、異なった路面状況または路面の凹凸の
変化 など )は 極力除外する必要があります。
★ テスト・確認作業を行なう場所も、前後左右 が ほぼ水平で、周りの環境に
よって乗っているライダーの操作や感性に影響を与えない場所を選んでください。
★ 左右どちらか一方に固定するのも、車体やライダーの左右差による影響を
除外するためで、その左右差は “ 車高バランス ” で調整するものではなく、
それ自体の原因を探って 個別に解消すべき事柄です。
仮に、一旦 車高バランスを調整した後、左右差を 解消したために
“ 車高バランス”に変化が出た場合には、微小な調整になりますが、
再度 調整しなおします。
★ 前回も記しましたが、セッティング作業で最も大切な事は、バランス調整を
する事でも、その調整後のデータを大切に残す事でもなく、それらの
バランスの違いを感じる感覚を養う事です。
その感覚を身に付ければ、別な車両に乗り換えた場合だけでなく、タイヤの
銘柄を変更した場合 など、あらゆる場面で活きてくるのです
* * * *
以上、ここまで書いた事から理解してもらえると思いますが、これらの理論と感覚が
必要な作業は、ライダー自身がそれをきちんと意識している事が大切ですし、一般
的な オートバイ販売店の方には 経験と知識の範囲外の作業になります。
どうぞ、好きなオートバイの 整体バランスをきちんと整えて、本来 備えている能力
を 安全にきちんと発揮できる状態まで高めて、楽しいオートバイライフを実現させて
いって下さい。
* * *
追伸 1. ビデオ 撮影の際には、 走行する車両の 前方斜め、 約 10~15 度 の
アングルで撮影して下さい。
この時、 前後タイヤ を主体に撮影できるアングルを選び、車体本体や
ライダーの映像は全く不要です
追伸 2. フロントの車高の調整前後 の 映像と、 それぞれの調整状態別に自身
の感想を添えてください
追伸 3. いずれ、他の方の参考になるように Webサイトでの 展開を考えていま
すので、 車体全体や 車体各部の 画像を いつの日か 提供してもらえる
と助かります。
GRA 小林
* * * *
上記の回答に続いて、更に 詳細な説明を追加しています。
こちらをご覧ください。
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先日の 連絡に対して、早速に返信をくださり、ありがとうございます。
私がこうして勧めている セッティング手法は、数多ある 書籍などには一切掲載し
てありませんが、私が理論的に独自に生み出した手法ですが、数多く開催してきた
イベント ・『 セッティング練習会 』 で実践して 数多くの人と様々な車種で実効を
残してきたものです。
どうぞ、最後まで責任を持って対応しますので、よろしくお願い致します。
* * *
今日は、ターン という現象について、更に詳しく考えてみましょう。
【 前後の車高バランスは、なぜ大切? 】
オートバイはバンクさせる事でターン (旋回)をします。
その時、ターンの役割を担っているのが 前後のタイヤです。
発揮しているのは 理解できると思います。
では、ターンをしている最中ではなく、ターンを始める瞬間を考えて下さい。
にターンの状態になるのが一番安定しています。
不安定な動きが現れて、ライダーが不安に操作のし難さを覚えるだけでなく、オート
バイの能力を安全に発揮できない状況にもなるのです。
タイヤが 左右に切れる操舵機構がある事に深く関係しています。
バンク動作に合わせて自動的にフロントタイヤが切れ込んでいく、自動操舵の働き
がオートバイには組み込んであるので、効率良く前後のタイヤがターンできるのです。
しかし、その自動操舵の働きが バンクさせたタイミングより遅れたり、またはライダー
が意図したより早目に出てしまうと、スムーズにターン状態へと入る事が難しくなる
のです。
つまり、ライダーがバンクさせる動きに合わせて、フロントタイヤが自動的に操舵す
る動きが出るタイミングを調整すると、スムーズに安定してターンを行なう事ができ
るのです。
フロントタイヤをバンクさせる動作と、それによって フロントタイヤが自動的に操舵を
始める動きとは、ほぼ一緒に始まる必要があり、その動きの バランスが悪いと、ラ
イダーにとってはバンクさせるのを不安に感じ、乗り難いオートバイになりますし、実
際にそういう状態のコンディションの車両は珍しくありません。
では、どうして フロントの車高の調整で、そのバランスが変化するかを説明します。
フロントタイヤは 2本のフロントフォークに支えられていて、そのフロントフォークは
操舵する部品(フロントステム・ブラケット)を通じて車体(フレーム)に固定されてい
ます。
ですから、ライダーが車体(フレーム)をバンクさせると、フロントフォークもバンクし
て、フロントタイヤもバンクをする事は理解できるでしょう。
そこで、車体(フレーム)とフロントフォークをつなぐ場所を変更した場合、どういう
動きになるかを一度想像してみてください。
( ・・・ 想像しやすいように、極端な例を考えてみましょう )
2). フロントフォークを 50㎝ほど長く上に伸ばし、その上部と車体とをつないでバン
クさせる場合とを想像してみましょう。
では最初に、車体の前方からフロントタイヤとフロントフォークを見て、それを一本
の “ 棒 ” だと考えてみて下さい。
状の部品と考えてみましょう。
クする動きを与えると、とても素早くバンクする事になり、自動操舵が遅れて反応
する事になります。
与えても、実際にタイヤがバンクする動きは遅くなり、自動的に始まる操舵はバン
ク角が少ないとより大きく操舵されるため、ライダーが意図した以上に早目に操舵
が出る状態になります。
それらの車高の少しの違いで、上記の様に 自動操舵が始まるタイミングや量が
変わり、前後のターンのバランスが変化してくるのです。
具体的に言えば、バランスがとれる付近では、フロントフォークの取り付け位置の
1㎜ の違いでさえ、殆どの人は(きちんと条件を整えれば) 感じ取れますし、中に
は 0.5 ㎜以下の 精度でバランス取りを行なえる人も少なくありません。
それほど、人間の感覚は 優れているのです。
いって、 最終的に 全体で安定したバランスを生み出す作業なのです )
★ ただし、天秤はかり の例で理解できると思いますが、バランスが大きく崩れた
ところでは ちょっとした調整では変化はありません。
バランスが 整う領域では 微妙な違いがはっきりと変化として現れます。
★ また、確認作業を行なう場合には、低速で加減速の動作を行なわず、直立
状態から スムーズに (一気に)左右 どちらかに バンクさせる瞬間だけ、
バンランスを 感じ取る必要がありますので、 それ以外の要素
( 加速、ブレーキング、クラッチ操作、異なった路面状況または路面の凹凸の
変化 など )は 極力除外する必要があります。
★ テスト・確認作業を行なう場所も、前後左右 が ほぼ水平で、周りの環境に
よって乗っているライダーの操作や感性に影響を与えない場所を選んでください。
★ 左右どちらか一方に固定するのも、車体やライダーの左右差による影響を
除外するためで、その左右差は “ 車高バランス ” で調整するものではなく、
それ自体の原因を探って 個別に解消すべき事柄です。
仮に、一旦 車高バランスを調整した後、左右差を 解消したために
“ 車高バランス”に変化が出た場合には、微小な調整になりますが、
再度 調整しなおします。
★ 前回も記しましたが、セッティング作業で最も大切な事は、バランス調整を
する事でも、その調整後のデータを大切に残す事でもなく、それらの
バランスの違いを感じる感覚を養う事です。
その感覚を身に付ければ、別な車両に乗り換えた場合だけでなく、タイヤの
銘柄を変更した場合 など、あらゆる場面で活きてくるのです
以上、ここまで書いた事から理解してもらえると思いますが、これらの理論と感覚が
必要な作業は、ライダー自身がそれをきちんと意識している事が大切ですし、一般
的な オートバイ販売店の方には 経験と知識の範囲外の作業になります。
どうぞ、好きなオートバイの 整体バランスをきちんと整えて、本来 備えている能力
を 安全にきちんと発揮できる状態まで高めて、楽しいオートバイライフを実現させて
いって下さい。
* * *
追伸 1. ビデオ 撮影の際には、 走行する車両の 前方斜め、 約 10~15 度 の
アングルで撮影して下さい。
この時、 前後タイヤ を主体に撮影できるアングルを選び、車体本体や
ライダーの映像は全く不要です
追伸 2. フロントの車高の調整前後 の 映像と、 それぞれの調整状態別に自身
の感想を添えてください
追伸 3. いずれ、他の方の参考になるように Webサイトでの 展開を考えていま
すので、 車体全体や 車体各部の 画像を いつの日か 提供してもらえる
と助かります。
上記の回答に続いて、更に 詳細な説明を追加しています。
こちらをご覧ください。
☆ 【 Ninja 1000 のセッティングについて・・ (新車を買った彼女) その5 】
☆ 【 Ninja 1000 のセッティングについて・・ (新車を買った彼女) その6 】
☆ 【 Ninja 1000 のセッティングについて・・ (新車を買った彼女) その7 】
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