2019年11月16日 (土)

< Q&A > タイヤの偏摩耗について


【 質 問 】

困っているわけではないのですが、どうしてこうなるのか知りたくメッセージさせていただきました。多くの方のお役に立てそうなら公開してくださってもかまいません。
  
この画像はフロントタイヤの摩耗の仕方を示している図です。タイヤを輪切りにした断面です。
  
20191113_20191116034801                                                                     
上の図が摩耗する前、仕方が摩耗が進んだものです。赤丸で示したようにショルダー部(?)がこのように摩耗します。複数のメーカーの複数のタイヤ銘柄で同じような摩耗の仕方が見られたので、なぜこのように摩耗するのだろうと思ったのです。
  
もしご存知なら教えてください。。

  Web1000_image_3_20191116034801
 
【 回 答 】

この度は、タイヤの摩耗について、質問と画像まで添えて寄せてくださり、ありがとうございます。
   
確かに、オートバイの動きに違和感やトラブルが発生しない限り、タイヤの摩耗状態や、今回の様な “ 偏摩耗 ” に注意を払う人は多くありませんし、雑誌や解説書にも、偏摩耗についての原因などについて解説した資料は目にした事はありません。
   
では、今回の質問に挙げられた “ 偏摩耗 ” について、「 簡潔編 」から案内をします。
届けて下さった図の様に、タイヤのトレッド(路面に接する部分)の端部が、まるで羽織の肩部の様に、ピンと張り出す様に残る偏摩耗は、経験上、珍しいものではありません。
   
その発生原理を説明しますので、下の図と併せてご覧ください。
    

Web1000_centrifugal_fiction_20191116034801                             
図に描かれている様に、コーナリング(旋回)中のオートバイには 「遠心力」 が働き、それに応じた「摩擦力」が タイヤと路面の間で発生します。
その「摩擦力」によって、タイヤのトレッド面はトレッド外側に向かって摩耗が発生しますが、摩耗の進み方は、トレッドの形状やタイヤ構造、整備状態、ライディング、そしてオートバイ固有の特性など、様々な原因によって今回の様な偏摩耗は発生します。
   
仮に、エア圧管理や車両整備を適切にされているのであれば、特に問題視される必要は無いと思います。
  
 

   * ** 詳細な解説・回答は GRA公式Webサイトでご覧ください***
  
『 Q&A、タイヤの摩耗について 』GRA 公式Webサイト
http://gra-npo.org/lecture/bike/Q&A_Abration/Q&A_abration.html


Web1000g_20191011195701




2019年11月13日 (水)

『 タイヤについての質問 』が 届きました


オートバイのタイヤについて、質問が届きました。
この機会に、皆さんも一緒に考えてみませんか。

私なりの回答は、24時間後を目途に公表して、質問された方へ届ける予定です。
皆さんなりに、一度考えてみてください。

 

NPO法人GRA 小林

 

* * * 以下、届いた文章です * * *

 

『 タイヤについての質問 』

困っているわけではないのですが、どうしてこうなるのか知りたくメッセージさせていただきました。多くの方のお役に立てそうなら公開してくださってもかまいません。

この画像はフロントタイヤの摩耗の仕方を示している図です。タイヤを輪切りにした断面です。

上の図が摩耗する前、仕方が摩耗が進んだものです。赤丸で示したようにショルダー部(?)がこのように摩耗します。複数のメーカーの複数のタイヤ銘柄で同じような摩耗の仕方が見られたので、なぜこのように摩耗するのだろうと思ったのです。

もしご存知なら教えてください。

20191113

 

* * * 以上 * * *




 

2019年10月11日 (金)

<Q&A> タイヤの空気圧の調整は


【 質 問 】

タイヤの空気圧についての質問です。
今は、メーカー指定の空気圧に合わせていますが、ネットでは雨の日は少し下げた方が良いとか、高めが良いとか出ています。
また、サーキットなど高速走行する時には低目にするとか書いてあります。
実際にはどうでしょうか。おすすめはありますか。。
私はタイヤの空気圧の調整ぐらいしかできませんが、ライディング・セッティング クリニック にお邪魔しても良いでしょうか。

Web1000_image_2
【 回 答 】

タイヤの空気圧について、質問をくださり、ありがとうございます。
確かに、タイヤの空気圧については諸説色々と書かれていますので、迷う人は少なくないでしょう。
 
では、最初にお勧めしたい、「 簡潔編 」から案内します。

1. 先ず最初に、あなた専用のエアゲージ( マイゲージ )を準備します
2. 次に、車両メーカーの推奨値か、それを参考にして、前後タイヤそれぞれに
  【 基本空気圧 】を決めます
3. そして、乗る度に、天候や降雨の有無に関係無く、冷間時(走行する前)に、
   その【 基本空気圧 】に調整します

以上で、タイヤの性能は十分に発揮できます。


<簡潔編・お勧めの理由>

〇・ エアゲージには個体差があり、エアゲージによって測定結果が 10~20 kPa
   (0.1 ~ 0.2 kgf/㎠) 程度異なる事は珍しくありません。まして、不特定多数が使用
   して故障や経年劣化が不明なゲージ、例えばスタンドや販売店などのエアゲージでは
   正しい』調整は不可能だからです。

〇・ 【 基本空気圧 】を決めておく理由は、タイヤの性能はある一定の空気圧によって
   最も良い性能を発揮するように設計されており、降雨などの条件変化によって空気圧
   を変更する必要はないからです。

〇・ 毎回、冷間時に【 基本空気圧 】に調整するのは、一週間、放置したままでも空気圧
   は変化しますし、外気    温の変化で空気圧が変わってしまうのを補う為です。

  
* * * * 以上が「簡潔編」、以下は「基本と応用編」です * * * *
   
20171009_04b    
  
『 タイヤのメカニズムと、最適空気圧 』
   
ご存知の通り、タイヤは路面をグリップして、オートバイとライダーの荷重を支えるだけでなく、走ったり、曲がったりするなど時に欠かせない役割をこなしています。
この役割を果たす為、タイヤメーカーの技術者が苦心している事は、路面と接するゴム素材の改良と荷重を受けた際の変形の仕方です。
   
ゴム素材によってグリップが変わる事はスニーカーでも体験できる事ですが、どんな風に路面と接するかという変形の仕方によっても性能が左右されるので、緻密な解析技術や新開発素材や技術が投入されている部分です。
そして、この変形の仕方を左右する要素の一つが「 空気圧 」ですから、タイヤの性能を正しく発揮させる為には、ゴムの賞味期限を除けば、「空気圧」の調整が大きく影響します。
    
ゴム素材の基本性能は高く、通常使用する路面温度( 0℃ 以上 50℃以下)であれば ほぼ安定した性能を発揮しますが、路面温度や気温の変化に伴ってタイヤ内部の「空気圧」は変化しやすく、それによってタイヤ性能も変化します。
だから、タイヤの立場になって考えれば、タイヤの表面温度や気温や降雨などの状況変化に合わせて空気圧を変更するのではなく、タイヤが最もバランス良く性能を発揮する【最適空気圧】に合わせる事が一番良い結果に近づけるのです。
                      

Web1000_tire_easy_to_work

 

  

『 標準装着タイヤと、メーカー推奨値 』
   
車両メーカーでは、二輪、四輪を問わず、タイヤの「 空気圧 」の推奨値を明記していますが、これも車両本来の正しい性能を発揮する為には「空気圧」の調整が欠かせないからです。
   
ただし、車両メーカーが標準で装着しているタイヤ・標準タイヤは、殆どの場合、その車両専用のタイヤが装着されている事も理解しておく必要があります。
車両の設計と開発の段階で、車両メーカーが強調したい車両性能を伸ばし、抑えたい性能についてはカバーする為、その車両専用に開発されたタイヤを標準タイヤとして採用されています。
    
従って、車両メーカーが推奨する「空気圧」は、標準タイヤでメーカーが想定した性能を発揮させる為の推奨値であり【最適空気圧】と言えます。しかし、標準タイヤからタイヤ交換をした場合には、それは “参考値” 程度と理解するべきで、メーカー推奨値が絶対と考えるのは タイヤ設計上からも正しいとは言えません。
また、標準タイヤと同じタイヤメーカーで同じ銘柄( 名称やトレッドパターン )の市販タイヤに交換したとしても、多くの場合は同じタイヤとは言えません。

 

≪ 備考 ≫

標準タイヤが車両専用タイヤになっている理由は、タイヤメーカーにとって、車両メーカーは大得意先様であり、発注本数が多くて生産計画も明確なので、専用タイヤの開発と納入は必然だからです

 

 

 

『 冷間時調整、温間時調整について 』
   
冷間時調整(通常は短く、冷間と表記します)とは、走行前でタイヤが走行熱で温まっていない状態で 空気圧の調整を行なう事で、温間時調整(温間)とは、走行熱でタイヤ自体が温まった状態で空気圧調整を行なう事です。
    
実際にタイヤが性能を発揮するのは 温まっている時の事で、その時の「空気圧」がタイヤの性能を左右するのですから、本来は温間時に最も良い性能を発揮する【最適空気圧】を探り、毎回の空気圧調整は温間時に行なうの最善の方法である事に誰も異論を挟めません。
が、実際には、温まっている時に空気圧調整を行なうのは一般的ではない為、冷間時の調整が広く推奨されているだけです。
   
その様に、タイヤ技術者の方も “冷間” 時の調整を推奨し、レース現場でのタイヤメーカーアドバイザーも “冷間”時 を基本としてきたため、冷間時調整が最善であるかの様に捉えられてきました。
しかし、タイヤウォーマーの使用が当たり前になっているレース現場などでは、レース本番で想定されるタイヤ温度(ホイールも含め)に事前に温めておき、その温度で最高の性能を発揮する「空気圧」に調整する事が求めらていて、基本 “冷間” という考え方は既に過去のモノになっています。
    
従って、サーキット走行や講習系走行イベントなど、特定のエリアを走っては空気圧測定やタイヤ表面温度測定が可能な場合には、温間時の空気圧調整とデータ収集が基本となります。


Web1000_20171009_04

『 最適空気圧について 』

オートバイの性能を正しく安全に発揮させるには、タイヤに正しく適切に能力を発揮してもらう事が必須ですし、それがライダーにも安心感に繋がる事が欠かせません。
その為には、タイヤが最も性能を発揮する[最適空気圧]は、そのオートバイの状態(車種の他、整備やセッティングの違い)とライダーに合わせ(体重や体格、感性が違うので)によって異なる事を理化して、メーカー推奨値だけに捉われず、最適な[最適空気圧]を探し求める努力はとても大切な事です。

 

仮に、気温や路面温度、降雨などの路面状況に合わせた調整を加える場合があって、[最適空気圧]を基本に調整して良い結果が出たならば、その修正値を[最適空気圧]として変更する程の考えの余裕幅を持つ事も必要です。

 

 

『 エアゲージについて 』
   
私は、エアゲージにういて、「 どんなエアゲージを買えばよいか 」とか「 より高性能なエアゲージでの測定を比較して、校正する必要があるのでは 」などと質問を受けます。
そこで、最後に エアゲージについてh、私なりのアドバイスを書き添えます。

1. 機械式より電子式を選びたい

機械式というのは、メーター{指針}が回転したり伸びたりする形式で、電子式はディジタル表示の形式です。
機械式のデメリットは 経年変化や衝撃に弱く、知らない内に誤差が大きくなってしまうからで、安定した管理を行なう為には電子式がお勧めです。
その際、最小目盛(最小計測単位)が 10 kPa ( 0.1 kgf/㎠ ) の 電子式エアゲージ の購入がお勧めです。
   
これは私自身の経験ですが、以前、機械式エアゲージを使っていたのですが、落下させてしまったのか、知らない内に 50~60 kPa ほど低く表示する様になっていて、参加していた競技イベントでシビアになった操縦性が原因で転倒した苦い思い出があるからです。

 

2. 高制度で高額なゲージより、2個買っておきたい

高精度で高額なエアゲージは、確かに絶対的に正しい計測値を示します。が、それは その分だけ定期的に厳密な校正処理を行なう必要があり、その校正・修正が可能な構造になっています。
つまり、高精度・高額なゲージであっても、1年以上校正処理をされていなければ、普通のゲージと変わりない事をご理解ください。
  
従って、高精度・高額なゲージの使用を検討するよりも、全く同じエアゲージを 2個購入する事の方がベターです。2個が 全く同じ計測値を表示すれば良く、仮に 多少異なった計測値であっても、それを記録しておけば、通常使用するエアゲージの校正用ゲージ&スペアゲージとして使えて、空気圧測定のリスクを減らせます。
実際、私も、同じメーカーの製品から、通常使用分として 2個、校正用として 1個 購入して使用しています。

 

3. エアゲージ の 形状
    
アゲージの形状は、各メーカーそれぞれに特徴があり、人によって好みが大きく分かれる点ですが、エアバルブに当てる部分から計測センサーまでの距離が短いタイプを勧めます。
ゲージによっては、ホース状に長く伸びているタイプもありますが、タイヤ内の空気量(エアボリュームとも言います)が少ないオートバイ用タイヤでは、計測時にロスが出易くなるからです。

 

* * * * 以上、空気圧についてでした * * * *

 


※ 参考までに、セッティング講習で行なった “ エア セッティング ” について、参加した人からの感想文を紹介します。

【 セッティング講習・感想文 】 ( タイヤ空気圧調整編 )
http://gra-npo.org/publicity/impress/2017/20171009_imp.html

Web1000g_20191011195701




参加を考えていますが、中止の場合は?

 
    開催イベントについて問い合わせが届きましたので、FAQ として公開します。
 

【 質問 】
   
いつかは一度、参加か見学したいと思っていますが、中止の場合はどうでしょうか。

Web1000_image_4 
【 回 答 】

私共が開催するイベントに関心を持って下さり、ありがとうございます。
  
さて、開催を予定していたイベントが中止になった場合には、前日までに、下記の弊社の Webサイト で案内をしますので、ぜひ、前日に一度確認をしてください。
案内を掲載する Webサイトは以下の通りです。
  
 
【 開催イベント情報ページ 】
http://gra-npo.org/schedule/schedule/kinjitu/kinjitu.html

【 GRA 公式Facebooページ 】(アカウント無い人でも、誰でも閲覧可能です)
https://www.facebook.com/NPO法人-GRA-495074740524960/

Facebook_gra_button



2019年10月 1日 (火)

フロントフォーク内のエア調整について


【 質 問 】

雑誌とかネット記事で、バイクを立てた状態でフロントフォークのキャップを開けて、中のエアを抜くと良いと書いてありますが、実際はどうでしょうか。
  
意見がアドバイスをもらえると助かります。.
 
 

 
【 回 答 】

フロントフォークの調整・セッティングの事で質問をくださり、誠にありがとうございます。
  
フロントフォークの調整・セッティングは、手で直接感じられる部品ですから、ライダーにとってとても大切な調整になります。
実際、私も 1980年代頃は、車体を直立させた状態で、フロントフォーク内のエアを抜いて、大気圧と同じにする調整を多用していたので、その利点はよく分かります。フロントサスペンションの初動が優しくなり、操縦性が高くなり、キビキビ感も増した様に感じる調整です。
  
ですから、そういう目的と合っていれば、車体を自立させた状態(1G時状態)でも、ライダーが乗車した状態(1G' 時状態)でも有効な調整です。。

Web1000_ducatimotorcycle
    *   *   *   *   *   *   *   *   *


ただ、同時に幾つか注意点も書き添えます。

1. フロントフォーク内エア圧は、走行数キロ程度で上昇します。
    恐らくフォークオイルが、フォークの伸縮作動時に霧化を起こして体積変化が生じ、
    エア圧の上昇という現象になっていると推測されます。

2. 仮に、霧化によるエア圧上昇状態のままエア抜きをした場合、時間経過で液化した時
    には大気圧以下になる可能性があります

以上の現象から、調整・セッティングは、条件設定などを考慮して絞り込んでおかないと、常に同じ変更にはなりません。
また、現行車両の場合、1980年代車の様にトップキャップにエアバルブ装着はなく、上ヨーク(トップブリッジ)のフォーク固定ボルトを緩めてから行なう必要があるなど、手間がかかる他に、固定ボルトの締付けによる微妙なセット変更が発生する恐れもある事を考慮する必要があります。


以上、簡単ですが、フロントフォーク内のエア圧調整について、アドバイスとさせてください。
また、不明な点や確認したい事がありましたら、是非、またご連絡ください。

 

                                                 セミナー & クリニック 担当 : 小林 裕之

Web1000_image_3


 



 

2019年9月23日 (月)

< Q&A > コーナリング中、フロントタイヤが重く感じて ・・


【 質 問 】

( 前略 )
走行練習ができる講習会に参加した時、バンクさせてコーナリング中にフロントタイヤが重く感じました。 そして、バンクさせたままアクセルを開けたら、フロントライヤがまるで浮いたように感じて怖い思いをしました。
どんな調整やセッティングをすればよいでしょうか?
( 中略 )
ターンは左右で差はないように思います。 そのターン中にフロントブレーキを使うのは怖さがあります。
リアサスペンションの調整をするべきかなと考えていますが、どうでしょうか。。
 
 

【 回 答 】

練習走行中、バンクさせてコーナリングしている時に感じた事について、問い合わせをください、ありがとうございます。また、その時の様子を事細かく確認して、色々と原因を検討されている様子に、オートバイとの良い関係を築きたい気持ちに共感しています。
  
では、今回の問い合わせの内容に対して、私なりの知識を基に参考になりそうな事をお伝えしますので、是非、一度ご検討ください。

 

1. 質問では触れてありませんが、フロントタイヤの空気圧不足や フロントタイヤの異常摩耗などが無かったとすれば、フロントサスペンションの設定が適切な状態になっていない可能性が大きく、アクセルを開けていなコーナリング中の挙動だという事から、リアサスペンションの設定等の関与は薄いと思われます。
  
2. ターン中に、フロントタイヤ が重く感じるという事から、フロントタイヤの方向安定性が失われて、タイヤがバンク方向へと必要以上に回りこもうとしている為の様に思われます。 その大きな要因は、ターン中の車高が低過ぎて、方向安定成分の トレールが不足しているためだと思います。

  

現状のフロントサスペンションの内容やセッティング状態は分かりませんし、トレッドエンドの “ 摩耗痕 ” の確認もしていないので、はっきりとした原因を特定する事はできませんが、上記の内容のアドバイスは有効だと思います。
  
フロントタイヤに働く力や、トレールの働きなどについては、下記の通り、一通りの説明をお届けしますので、この機会に一度 ご覧になってください。
   
ありがとうございました。
  
 
 
* * * * * * * * * * * * *
  
 
質問にあった[ バンク中の、フロントタイヤの不安定感 ]は、「 トレール(量)」の不足が原因になっている場合が多く、特に 30 ㎞/h 以下の低速域では顕著に発生します。追加の説明として、「トレール(量)」に関する資料を届けますので、この知識を元に、一緒に 解決策を考えていきましょう。
 
 
『 トレールという考え方 』

「 トレール 」とは、フロントタイヤ の “ 方向安定性 ”( タイヤを、向いている方向へと進ませる力・要素 )を支える大切な要素の一つです。 特に、速度が低速の時と、バンクさせてターンをしている時に重要な働きをします。

Web1000_bb1_7_b2


上図は、オートバイでは一般的な フロントサスペンションの形式での 「 トレール 」です。 タイヤの接地面よりも前方に、ステアリングの回転軸と路面との交点があるようになっていて、その二つの距離が トレール(量)です。
この「 トレール 」があるから、特に低速走行時、フロントタイヤは安定します。(方向安定性がある)



『 変化するトレール量 』

上図の様な フロントサスペンション ( テスコピック形式と呼ばれています )は、サスペンション の動きによって 「 トレール量 」の大きさが変化します。
 
Fsus_12_web1000
      
上図の 左側は 乗車している時( 1G' 時と呼びます )の トレール量で、右側は ブレーキを強くかけて大きく縮んでいる時 ( 残ストローク時 と呼びます )の トレール量です。
  
こういう風に、運転の仕方によって 「トレール量」は いつも変化しているのですが、この特性があるからこそ、ライダーは フロントタイヤ の “ 方向安定性 ” をコントロールしやすくなり、直進する場面、ターンする場面など、状況に合わせて 自在に 走行性能を引き出せるのが、このサスペンション形式 ( テレスコピック形式 )の美点の一つで、「 トレール量 」を 自在に変化させられるという優れた特性があるこそ、一般車だけでなく レースの世界でも 50年以上 採用されているのです。
 
 
 
『 旋回モーメントとトレール量という考え方 』
  
では、直立している時ではなく、バンクさせて 旋回 している時、フロントタイヤ に働いている 力や要素を考えてみましょう。 特に、低速で タイヤの回転数が低く勢いが少ない状態で考えてみます。( タイヤ・ホイールの回転モーメントが小さい時 )
 
Web1000_trailmoment_1_20190923032701
                                                         
バンクしている時、タイヤの 接地面中心は、バンクしている側へとずれているので、その “ ずれ ” の分だけ、タイヤ全体を バンクしている向きへと 回転させようとする力 (モーメント)が働きますが、そういう場面で、「トレール」はタイヤの “ 方向安定性 ” を保つ様に働き、バンクしている向きへと巻き込む様に働く力(モーメント)を 打消し、バランスさせる大切な力・要素です。
  
つまり、バンク中させた ターンの場面では、旋回力(旋回荷重)によってサスペンションが 縮み、「 トレール量 」が減り、方向安定性が減り、旋回性が増しているのですが、そんな場面でも、特に低速時には、 「トレール量」は安定を保つために 最低限以上の大きさを保つ必要がある事が分かります。 ( これが、安定限界トレール量という考え方に繋がります )
   
30 km/h 以下の低速でターンをしている時、それも 大きな荷重によって サスペンションが大きく縮んで時、しかも 深くバンクさせて タイヤに大きな旋回モーメントが働く場面には、「 トレール量 」が十分に残されている事が大切です。
  
が、フロントサスペンション の 状態や、整備や調整の結果によって、ターン中に必要な 「 トレール量 」が確保されていない事が 珍しくなく、そういう車両での ターン、特に低速域での ターン の場面で、フロントタイヤ の安定性が損なわれ、ライダーに不安感を与え、危険な状況に陥っている車両は少なくありません。
これが、“ 足つき性向上 ” と謳って 低車高化 させている車両の危険性であり、フロントサスペンション の 整備や調整をする時、一番気をつける点の一つです。
   
だから、2番目の図で示した様な 「 残ストローク量 」の管理は、整備や調整を行なう場合に気を付ける必要があるのです。



『 バンク角とフロントタイヤの自由度の関係 』

 

今回寄せられた質問に関係して、バンク走行時に フロントタイヤ に 働いている要素を、もう一つ 紹介します。
 
Web1000_bb5_5     
フロントタイヤは、バンク角によって、左右に向きを変えられる自由度が変わります。 直立時には 最も大きく、極端に深くバンクさせた時には 自由度は無くなり、ほぼ直進状態と変わりない 状態になります。
  
この 自由度は フロントタイヤにとって大切な要素で、路面状況などに合わせて、常に最適な グリップ性能を発揮させる為に、フロントタイヤは 常に左右に小刻みに方向を変える必要があるのですが、極端に深いバンク角の場合には、必要な 自由度が奪われます。
  
その様に 深いバンク角で走行する場面でも、安定した コーナリング性能を発揮させる為に、「 トレール 」によって安定性を保つ大きな役割をしているのですが、仮に、サスペンションの整備や調整によって 十分なトレール量が確保されていない場合、バンク中、フロントタイヤは 巻き込ませる旋回モーメントと バンク角によって 巻き込めない要素とが 拮抗し合っている状態に陥ります。
今回、質問を受けたような現象は、この様に拮抗した状況が発生している可能性が高いように考えています。
   
その 力の拮抗によって、フロントタイヤは トレッドエンド部(エッジ部)で 路面に強く巻き込まれる様な力を受け続け、重くも感じられ、自然に 速度も低下します。
その状態で アクセルを開けると、フロントタイヤ に掛かっていた荷重が一気に減り、拮抗による巻き込みが解消され、瞬間、フロントタイヤが路面から離れる様な作用を受けたのが、今回の質問の状況だと推測した次第です。
 
 

       * * * * * * * * * * * * *
   
   
以上の理由によって、残ストローク量の確認と、トレッドエンド部の “ 摩耗痕 ” の確認を まずは お勧めします。
また、それらの状況をご連絡下されば、その情報を活かして 次のアドバイスや知識をお届けしたいと考えています。
  
では、良きオートバイとの日々を過ごし、楽しんでいきましょう。
 
 

    * * * * 関連する情報の掲載サイトです * * * * *


『 トレール・コントロール ライディング 』
http://gra-npo.org/lecture/ride/trail_controll/trail_con_ride_1.html
   

『 タイヤから診る、ライディング 』
http://youkaidaimaou.hatenablog.com/entry/2019/09/18/232348

 

 
 
 

 

2019年9月17日 (火)

Z1000、 サスペンションの減衰力調整は、何クリック目?


【 質 問 】

2015年式のカワサキ Z1000 に乗っていますが、サスペンションの減衰力の調整方法がよくわかりません。
フロントサスペンションは右側フォークに伸びと縮みの減衰力調整がついて、左側にプリロード調整がついています。
リアサスペンションはプリロード調整と伸び側の減衰力調整があります。
   
普段使う場合、何クリック目にすればいいでしょうか。
 
Web1000_z1000

【 回 答 】

はじめまして、問い合わせの質問をくださり、ありがとうございます。
   
さて、サスペンションの減衰力の調整については、長年に亘って開催してきた『セッティング講習会』でも、一番自信を持って最適な調整を行なえる事の一つです。
  
ただ、オートバイのセッティングは、サスペンションのプリロード調整を始めとして、ライダーの体重や体格、経験や車両のコンディションに合わせて行なうものなので、車種ごとの推奨値は無い事を最初にお伝えします。
  
最適な調整方法については、私共が開催している 『 整備・セッティング セミナー 』か、『 ライディング・セッティング クリニック 』へ来場される事をお勧めします。
また、「 誰にもできる、最適な減衰力調整方法 」(仮称)を 公式Webサイトで発表する予定ですので、是非、ご期待ください。
  
最後に、紹介した イベント の案内と、そのイベントで 減衰力調整を行なった人の「感想文」を紹介しますので、参考にしてください。
  
ありがとうございました。

 

  * * * * イベント紹介 & 「 感想文 」紹介です * * * *

  
『 整備・セッティング セミナー 』
http://gra-npo.org/schedule/M%20&%20S_seminar/seminar_top.html

『 ライディング・セッティング クリニック 』
http://gra-npo.org/schedule/clinic/clinic_top.htm

□ 「 感想文 」。ライディング・セッティング クリニック 来場者から
http://gra-npo.org/publicity/impress/2019/20190908_imp.html

   
  
  

 

2019年9月14日 (土)

ブレーキを使うのは基本では?

 
【 質 問 】

(前略)

8月11日のイベントの動画を見ましたが、中で 「ブレーキを使わない走り方は運転操作が見直せる」とか「ノーブレーキ走行が基本」とかありますが、ブレーキを使うのも基本ではないでしょうか.。

なぜ、セッティングや練習で ブレーキを使わないのを勧めるのですか。



【 回 答 】

8月11日に開催した 『 ライディング・セッティング クリニック 』の 動画リポートをご覧下さり、ありがとうございます。

Web3200_20190811_65b_20190914022501
http://gra-npo.org/document/record/2019/20190811.html#1

ご指摘の通り、私共・GRA では、様々な場面で ブレーキを使わない走法を勧めていますが、その理由は、オートバイの “ 素 ” の状態を正しく確認するためです。
  
よく指導される 乗り方(ライディング 方法)は、「リア ブレーキ を使って、安定させて走りましょう」と言われる様に、特に リアブレーキを積極的に使う事が推奨され、それが 安定して、安全で、スマートな走り方だとされています。
  
しかし、リアブレーキを使うと車体が安定して、怖さも抑えられますが、安定を求めてリアブレーキを常に使ってばかりだと、オートバイの “ 素 ” つまり本当の状態や能力を隠してしまうのです。
それを例えて言えば、子供用自転車に補助輪をつけた状態とよく似ています。
    
補助輪をつけない方が、自転車本来の状態や動きを味わえるのと同様に、リアブレーキを使わないで走ると、オートバイ本来の状態や動きを確認できるのです。
そうやって、本来の状態を確認できるからこそ、適切な整備・セッティング が可能になり、本来の動きが確認できるからこぞ、より高度な運転操作が身につくのです。
   
だから、GRAでは、整備・セッティングを行なう場合やライディングの基本を練習する場合には、ブレーキを使わないで走れる簡単なコースを推奨しています。。
 
 
 
 

 

2019年9月 7日 (土)

空気圧の調整ぐらいしかできませんが ・・・


【 質 問 】

みなさんの記事を読んでいて、分からない事がたくさんあります。
私はタイヤの空気圧の調整ぐらいしかできませんが、ライディング・セッティング クリニック にお邪魔しても良いでしょうか。
   


【 回 答 】
 
日頃から、私共の Webサイトを閲覧して下さり、誠にありがとうございます。
そして、今回は 『 ライディング・セッティング クリニック 』への関心を持って下さり、とても嬉しく思っていますし、ぜひ、来場をお待ちしております。
   
ライディング・セッティング クリニック 』は、免許取り立てのライダーの方から 免許歴 30年以上のベテランライダーの方まで、どんな方でも必ず 、オートバイとの付き合い方に “ 役に立つ事、ためになる事 ” を持って帰ってもらえる 診断項目とメニューを取り揃えています。
特に、経験の少ない方は、純粋に関心の高い方が多く、歓迎しておりますので、 安心してください。
   
「 タイヤの空気圧の調整 」の話題が出ていましたが、タイヤは オートバイの部品の中で一番重要な部品で、その空気圧の調整ひとつで オートバイの動き方や感じ方、安心感が全く変わってしまいます。
ですから、整備・セッティング を行なう時には、最初に タイヤのエア圧調整 を行なう事が必須になっている程です。
  
下記に、タイヤのエア圧調整 を 一番のメニューにして行なったイベント・『 GRA のセッティング講習 』に 参加した人の 「感想文」「イベントリポート」を紹介しますので、ぜひ、参考にして下さい。
では、こらからも オートバイ との良い会話を続けていきましょう。


                                             クリニック 担当講師   小林 裕之

  
     *    *    *    *    *    *    *    *    *    *

 
【 GRA の セッティング講習・参加感想文 】 ( 2017年10月 9日開催 )

感想文 1「 空気圧、指定値がベストと思い込んで・・ 」
http://gra-npo.org/publicity/impress/2017/20171009_imp.html#1

感想文 2「 技術がないものほど、空気圧ごだわる必要が 」
http://gra-npo.org/publicity/impress/2017/20171009_imp.html#2



【 GRA の セッティング講習・開催リポート 】( 2017年 10月 9日開催 )
http://gra-npo.org/publicity/report/2017/20171009_rep.html

 

Tittle_5_web1000

http://gra-npo.org/schedule/clinic/clinic_top.html




 


2019年9月 3日 (火)

ボタン の解像度が要改良です


【 指摘 と 提案 】

GRA公式サイトの トップページ 右側、縦に並んでいる メニューボタンですが、解像度が不揃いで、修正をしたほうが良いと思います。

もし、よければ ボタン改修の手伝いをしますが、どうでしょう。



【 回 答 】

GRA の公式Webサイトを閲覧してくださり ありがとうございます。 そして、ボタン文字の解像度が不揃いで、見辛い事を指摘くださり ありがとうございます。
  
その上、メニューボタン画像の 改修・修正 を申し出てくださり、大変にありがとうございます。

「 それでは! お願いします 」と、Photoshop データをお届けしたかったのですが、データの内容が複雑過ぎる( 色指定が 40以上、合計 200 程の レイヤー構成 )ため、今回はお気持ちだけを有り難く頂戴して、これからも Webサイトへの 指摘や意見をよろしくお願いします。

ご指摘を受けた メニューボタンは、早速に 修正しましたので、是非ご確認ください。
ありがとうございます。。


                                                 GRA 公式Webサイト 作製担当
 
  
   *   *   *   ボタンなど画像について   *   *   *
   
公式Webサイトで使用している 各種のボタンやバナー、タイトル等は、基本的に 自製しています。
ただ、誰も正式にデザイン学校などで学んでいないため、改良すべき点は数多くあると自覚もしております。
  
現在は、PC で閲覧する場合だけでなく、スマートフォンで閲覧した場合でも、見やすくて押しやすい ボタン や タイトル、レイアウト になる様に目指していますので、どうぞ 皆さんからの 指摘や意見をお願いします。
 

Web1000_20190903_20190903201501

 

 
 

«「 安全ではありません 」への対応は?

GRA代表:小林の紹介

カテゴリー

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ