カテゴリー「話すオートバイ講座のリポート」の記事

2022年9月 7日 (水)

9月3日開催、『オートバイ なんでも “セミナー” 』リポート

   
2022年 9月3日(土)開催した、『 オートバイ、なんでも “セミナー” 』の報告をします。今回は、ちょっとした話の流れから、本当は多くの人が悩んでいる「安定限界トレール量」についての話で進みました。

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https://gra-npo.org/schedule/M%20&%20S_seminar/seminar_top.html



『 安定限界トレール量って、何? 』


この言葉は、教習所でも教えられていないし、雑誌や二輪Webメディアでも使われていない言葉なので、殆どのライダーは知らない言葉だけど、多くがこれに関して恐い怖い体験をした事のある筈です。
例えば、ゆっくり走っている時に、フロントブレーキをかけ過ぎて安定を失い転倒しそうになった体験は1~2回はあるでしょう。 それ以外にも、一般道を走行している時に思わぬ路面の大きな凸凹を通過した時や、高速道路などの橋脚部のジョイント部をコーナリングしながら追加した時など、前輪のコントロールを瞬間的に失っているような体験をした事のある人もいるでしょう。
そんな現象の多くは、前輪に備わっている「トレール(量)」という大切な要素が、瞬間的に “安定限界トレール量” 以下になった場合に起きているのです。
  
以上、ここまで読んで下さり、「安定限界トレール量」などと言うモノがオートバイにある事を知ってもらえたならば、このリポートを書いた目的は充分に達した思います。
次からは、もう少し詳しい「安定限界トレール量」の簡単な解説と、 “セミナー” 当日には解決できなくて「宿題」となった事を報告します。

 

 

『 常に変化するトレール量 』


販売されているオートバイの殆どは、つまり皆さんの乗っているオートバイの殆どは、「テレスコピック形式」と呼ばれるフロントサスペンションを備えています。
この形式は、比較的製造が容易で廉価な形式である事の他に、剛性が高過ぎず、人間の感性に合った操縦安定性を備えている事が広く支持されている理由です。

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例えば、上図で示した様に、走行状況に応じてフロントサスペンションが作動して、常に「トレール量」が変化している事も広く支持されている特性です。
しかし、この特性がどんな走行状況でもライダーの感性に合い、常に安全性を保つ仕組みかと問われれば、そうではないと言わざるを得ません。

 

 

『 問題はコーナリング時 』

 

「トレール量」の役割は、フロントタイヤの安定性を保つ事です。つまり、車体が向いている方向へフロントタイヤの向きを保つ働きがあるのです。
ただ、これは真っ直ぐに走る場合には助かるのですが、コーナリングの場面の様に、車体が向いている方向ではなく、バンクしている側へと向きを変える時には邪魔になる存在になります。
そこで、コーナリング時には向きが変わり易い様に、状況に応じて「トレール量」が小さくなる「テレスコピック形式」のサスペンションが合っているのです。


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しかし、必要以上に「トレール量」が小さくなり過ぎる状況に陥る場合もあり、それが例で挙げた怖い体験の場合の様に、どんな場合でも安全性を保つ為に、トレール量が「安定限界トレール量」以下にならない様な整備や調整が重要になるのです。

 

 

『 大切な “安定限界トレール量” の認識 』

 

と、ここまでの報告を読んで、思考能力が鋭い人であれば理解できたでしょう。 多くのオートバイは「安定限界トレール量」以下になってしまう可能性がある事を。
詳しくは、別途にコラム記事で解説を行ないますが、最後に、セミナー当日に充分に解明できなかった“宿題” 「どの様な原理によって、トレール量の不足がフロントタイヤの不安定さを招くか」について、以下の解説図を作成しましたのでご覧下さい。
  

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「安定限界トレール量」問題については、車輛側に備わった特性が原因で転倒したとしても、ライダーだけの責任として誤って扱われる現状に警鐘を鳴らす為にも、機会を改めて解説記事を掲載します。
どうぞ、関心のある方はお待ちください。 そして、関心はあるけど待てない方は、どうぞ、解説図からこの問題を読み解いてください。
  

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2019年4月 7日 (日)

4/6 『 話すオートバイ講座 』開催リポートです

GRAの企画イベント・『 話すオートバイ講座 』は参加した人の話したい事を軸にして進むので、どんな話になるのか分からないのが面白い特徴です。

 

今回の 『 話すオートバイ講座 』も、3月30日に開催した 試験配信版『 整備・セッティング講座 』を閲覧した人が参加したので、その内容が軸になって始まりました。

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GRAとしては初めて動画をほぼライブ配信する企画でしたが、【 良かった点 】と【 改良したい点 】をそれぞれ書き出しながら、分からなかった点の確認と 次の配信企画へのヒントを探っても居たのですが ・・・
興味のあるまま、思いつくまま話が進むのがこの 『 話すオートバイ講座 』の良いトコロ、話の途中で スプリング の話が膨らみ始めました。

 

結局、フロント スプリング の選択の難しさの話へと繋がり、次に ブレーキパッド の “アライメント” の 話、そして オートバイを構成する素材・材質別のケア (整備) の話へと発展を続けました。
それらの話の全てを書き留める事は出来ませんでしたが、話の中で、整備の “ 基本中の基本 ” の大切さを改めて感じさせてくれました。
整備とは、決して部品の交換ではなく、部品の一つひとつを正しく理解して活き活きとさせる作業だと結論に至ったのです。

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今回の 『 話すオートバイ講座 』の成果として、GRA が 公式Webサイトなどを通じて発信すべき “ 整備・セッティング ” の本質を、こうして 動画配信を閲覧された人と共に、再認識する良い機会となりました。
どうぞ、次回の『 話すオートバイ講座 』にも、関心の高いみなさんの参加を待っています。一緒に、より良いオートバイライフ の姿を見つけましょう。
 

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『 話すオートバイ講座 』案内ページ
http://gra-npo.org/schedule/learning_place/top.html





GRA代表:小林の紹介

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