« 2019年8月 | トップページ | 2019年11月 »

2019年9月

2019年9月22日 (日)

9/20 『 整備・セッティング セミナー 』 リポート

  
    今日のテーマは、『 ダンパーのセッティング 』で、「 ダンパーって何? 」という事から、
   どんな役割をしているか、という話です。


『 ダンパーって、何? 』

ダンパーは、どんなオートバイにも付いていて、とても大切な役割を担っているのに、あまり大切に思われていない可哀想な存在です。
誤解されているのは、衝撃緩衝装置と思われ、英語の ショックアブソーバー (Shock Absorber)だと思われているけど、衝撃緩衝の役割は スプリングが担っていて、ダンパーは制振装置、つまり、振動を止める、減衰させる装置である事の説明から始めました。( 制振装置だと理解する事が、ここでは一番大切 )
  
話の本番はここからです。
制振装置という事は理解してもらえても、最適な強さの調整は? どうやってするのか? 最適な 調整の強さだどうやって見つけるのか? 理解するのか? という話に移ってきます。
   
本当なら、ダンパーが無い場合の タイヤ(ホイール)が振動する様子をグラフに描き、ダンパーが働らいて、その振動が収束するイメージをグラフに重ねて描く予定でした。
  
振動を収めると言っても、様々な収束の仕方(収斂)がある中で、一番、タイヤと路面に優しく(接地荷重が抜けず)、人間(ライダー)にとって自然に感じられるグラフを一緒に考えてみるのが セミナーの目的であり、目標でした。

Web1000_img_1163


『 セミナー来場者からの質問 』

しかし、来場者の質問や要望に、きめ細かく対応するのもセミナーの大きな目的。
   
質問があり、それは「深いバンク角で走行している時、フロントタイヤが重く感じるのですが・・・」、「そんな時、バンクしたままでアクセルを開けると、フロントタイヤの荷重が大きく抜ける感じがしたのですが ・・」 という内容でした。
   
その方は、リアサスペンション周りのセッティング変更を視野に入れているとの事でしたが、僕は「フロントが重い」という点が気になり、その時の車両の様子や バンクさせたままフロントブレーキを掛けるとどんな具合になるかなど色々と質問した結果、フロント周りに原因があるかも知れない事を伝えました。



『 フロントタイヤが抱える事情と悩み 』

その内容は、「深くバンクさせている時には、フロントタイヤは直立付近と較べて、切れ込まなくなる事」、「旋回中のタイヤには、バンクさせた方向へとタイヤの向きを変えようとする力(モーメント)と、タイヤが向いている方向へと進ませようとする要素(ジオメトリー /トレール)がある事」を丁寧に図を描きながら説明して、その二つの要素のバランスが大切だと説明をして、ある程度は理解してもらえた様子でした。

その後で、「表れている症状は、タイヤの向きを変えようとする力に較べて、トレール量が少なくなり過ぎている可能性がある事」と、「深くバンクさせているので切れ込ぬ事は無いけど、タイヤの接地面には大きく捻じれる様な力が働いている可能性がある事」、だから、「フロントタイヤが重く感じ、アクセルを開ければ 捻じれが取れる代償として、荷重が抜けやすくなる事」、更に「深くバンクさせている蔡に フロントゴレーキを掛けると不安定になる事」など、起きている現象と、オートバイのタイヤに働いている様々な力とバランス要素について、これも 図を描きながら、一つひとつ説明をして、一度 フロント周りの状態(残ストローク量など)の確認を勧めました。

Web1000_trailmoment_1

『 オートバイの立場で、シンプルに考える 』

その方は、機械工学や物理学にも理解のある方でしたから、一つひとつの説明には ある程度理解を示してくれましたが、説明した様な内容は、説明している講師にとっては ずっと以前から実践している当たり前の事でも、初めて耳にするような言葉や考え方だった様子でした。
  
そこで、色々な考え方があって良い事を伝えた後で、車両に起きている現象を より少ない要素(言葉)と簡単な力のバランスだけで解き明かす事が大切だと伝えました。
オートバイに働いている力の一つひとつを簡単で正確にとらえて翻訳する事が大切で、人間の感覚だけでオートバイを理解するのは避けた方が良いというアドバイスも加えてしまいました。



『 セミナーの効果と素晴らしさ 』

19時以降もダンパーの解説を予定していました、が、そんなセミナー来場者の質問があったので、そちらの話題で意見交換や一緒に現象の理由を考えて、セミナー後半はターン中のフロントタイヤに掛かる力(モーメント)とトレール量と「方向安定性」の勉強時間になりました。
  
でも、今回も色々と新しい刺激を受けましたし、理解度を確認しながら解説の内容や進め方を変えた経験は、きっと、Webサイトでの解説記事の進め方や構成に良い影響を与えてくれたでしょう。
そういう意味で、関心を持って下さる方は、例えセミナーに参加できなくても、今後のWebサイトでの解説記事にはセミナー開催の恩恵が含まれていると信じて、是非、ご期待下さい。
  
ホントに、ただの講習会とは違って、来場者の質問や提案に合わせ、一緒に理解度を確認しながら、とても丁寧に進む勉強会は、大きな収穫があります。



『 まずは、動画リポートから 』

という訳で、今回の 『 整備・セッティング セミナー 』で ダンパーについて解説した事や解説しようとした事については、後日、公式Webサイトの【 オートバイの基本講座 】で解説する予定ですから、是非、お待ちしください。
  
また、バンク中に “ フロントタイヤ ” に掛かる力と、それらの力をバランスさせるセッティングに必要な事柄などについても、同じく【 オートバイの基本講座 】で解説をするので、関心の無い人は別、関心や興味のある人は、必ず 楽しみに期待しておいてください。
  
今日は、先ず、当日の 19時までに行なった 解説を動画に納めているので、そちらもな ご覧ください。
では、また、これからも オートバイの大切な事、知られていない事情など、発信していきますので、また会いましょう。

Web1600_b_20190920  

【 動画リポート 】
http://gra-npo.org/picture/movie/video/2019_video.html#20190920

 






2019年9月10日 (火)

9月8日開催『 ライディング・セッティング クリニック 』リポート

  
真夏日、晴天の 9月8日に開催した『 ライディング・セッティング クリニック 』は、GRA の活動目標 2~3か月分以上の恵みを与えてくれたイベントになりました。
  
 
Web1000_20190908_05

『 多くの恵み 』

イベントの開催が目標でなく、来場した人の満足度だけが目標でもなく、ライダーとオートバイ業界全体の 常識を変え、ライダーが自ら より良いオートバイライフ環境を創る事を目標にしている GRA にとって、9月8日 『 ライディング・セッティング クリニック 』では その歩みを後押しする “恵み” を得る事が出来たのです。
   
それは、“ リア の車高調整 ”“ 最適なダンパー調整 ” という、大切な オートバイの 基本的整備・セッティング を 来場者に適切に伝えられた事は “恵み” でした。
そして、その方法と効果的な結果を伝えられる 動画 を、通常の HD ビデオカメラ 以外に アクションカメラ を併用して、撮る事が出来たので、後は 編集次第ですが、基本的整備・セッティング の “ 常識 ” を伝えられるという “恵み”になったのです。
     
 
Web1000_20190908_03b

 
『 基本的整備・セッティング 』

殆どのオートバイには、リア サスペンション の プリロード調整機構 や ダンパー調整機構 が備わっていて、個々のライダーに合わせて適切な状態に調整する事が可能です。
  
しかし、それらの 適切な調整方法の解説は乏しく、誤った認識で伝えられている事が多い事は、ライダーとオートバイ業界全体にとって良い事ではありません。
ライダーに合わせていない状態のオートバイは、不安定な挙動を生みやすく、時には転倒などの事故に繋がりやすく、それら全てをライダーの運転操作の責任とするのは誤りです。
   
“ リア の車高調整 ” を 行なった 映像などの資料は、例え 車高調整機構の無い車両でも、“ プリロード調整 ” の大切さを伝える 資料になります。
また、“ 最適なダンパー調整 ” を行なった資料は、ダンパー調整機構の備わった車両はもちろんの事、備わっていな場合でも、ダンパーの重要性と定期的な整備の必要性を伝えられるでしょう。
  
オートバイをライダー自身に合わせる、基本的整備・セッティング を、分かりやすく 且つ 基本的な事から専門的知識まで伝える事は GRA の目標の一つです。
今回のクリニックでは、それらを 全国の人々に伝えるツールになり得る 映像 を残せたと考えいますし、これからも 同様に撮影して伝える技術を向上させていく自信は残せたので、Webサイト等を通じた 動画などの発信内容にも関心を寄せてください。
   
Web1000_20190908_14 

Web1000_20190908_23

 
 

『 最後に 』
  
今回のクリニックを訪れてくれた人は、当クリニック訪問 2回目の人でした。
最初は競技志向で手にいれた車両、外観やメカニズムを含めて、大きくモディファイされていました。
   
でも、適確な基本整備・セッティングが不足した車両だった為、そのライディングも不安が残る様子でした。
しかし、素直で熱心な彼は、“ リア の車高調整 ” の 自らの 手で進め、実際に ライディングで比較する事で、その重要性を 身体で学び取りました。
同様に、“ ダンパー調整 ” という 誤った都市伝説が流布している現状の中、当クリニック で、一度 思い込みをリセットして、実際に ダンパー調整用の 簡単なセクション走行だけで、ダンパーの「 伸び側調整」と「 縮み側調整 」を行ない、最適調整(基準調整)ポジションは一つしかない事を 体験 して大きな自信になった様子です。
   
Web1000_20190908_31

実際、それらを 自らの手で、丁寧に調整を繰り返した後、ライダーの技術は変わっていないのに、オートバイを安心して走らせられる喜びを体験して、ライディング技術を磨くのはその後だと気付いた様子です。
そう! オートバイは 基本的な整備・セッティング を 適切に緻密に行なった後でこそ、オートバイと安心して会話をしながら走る楽しみがやって来るのです。
  
私達の発信情報を通じて、日本全国、一人でも多くのライダーがその楽しさと安全を味わい、やがて ライディング技術を磨き、オートバイライフ環境全体を視野に入れて行動する人が増える事を願っています。
      
Web1000g 
【 GRA公式Webサイト 】 http://gra-npo.org


 

2019年9月 6日 (金)

8/11 『 ライディング セッティング クリニック 』 動画リポート です

   
『 ライディング・セッティング クリニック 』は、オートバイについて感じている不安や悩み、疑問に対して、オートバイの整備・セッティングから乗り方まで、来場した人を個別に相談と診断でサポートするイベントです。
   Web3200_20190811_65b
( 動画リポートを、GRA 公式Webサイト に掲載しました )
http://gra-npo.org/document/record/2019/20190811.html#1

今回は、「 ボルトの締付けトルク が 操縦性にどう影響するか 」という疑問(テーマ)の人と、「 最適な リア車高の求め方を知りたい 」という人の要望に応えた クリニックでした。 ( 開催日 : 2019年 8月11日 )
   
また、来場した人が書いた 「 感想文 」も あわせてご覧ください。

8/11『 ライディング・セッティング クリニック 』感想文
 
「整備と調整の重要性を再認識できました!」
「リア車高調整と四角4本パイロン、体験記」
http://gra-npo.org/publicity/impress/2019/20190811_imp.html
 
 
 
 

« 2019年8月 | トップページ | 2019年11月 »

GRA代表:小林の紹介

無料ブログはココログ
2025年7月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31