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2019年8月

2019年8月24日 (土)

2019年 8月22日開催 『 整備・セッティング セミナー 』リポート

   
参加した人の質問や疑問に合わせて、分かりやすく少しずつ進めるのが 『 整備・セッティング セミナー 』の特徴です。

今回のセミナーのテーマは、「 リアの車高調整と前後車高バランス 」という、タイヤのエア調整の次に行なうべきセッティングについて、講習と意見交換を交えながらの勉強会となりました。

<下の画像は、セミナー開始約1時間後のボードです >

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< 以上、リポートまとめ、全文です >




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【 詳細な勉強内容 】

・・・ セミナーでは、参加した人全員が一緒に理解できる様に、分かりやすく詳しい解説・説明を行ないます。

・・・ 今回のセミナー参加の人は 理解・習熟度が高く、それに合わせた勉強内容になった事をご了解ください。

 

 

18時に始まったセミナーの内容は、先ずリア の サスペンションの 「プリロード調整」をする事でリアの車高がほぼ決まる事を説明し、社外製のサスペンションユニットなどに装備された車高調整機構があれば更に精緻に調整が可能になる事を解説。
そして、これらの調整を行なうと、乗車時(1G’ 時)の リアの車高(スイングアームの垂れ角)は、合わせたライダーの体重に関係無く一定になる事を、図に描いてじっくりと解説して、理解と納得が得られました。

 

続いて、フロント車高の話に移りました。ここで言う フロントの車高とは、ハンドル(ステアリング)の回転軸を保持している、ステムヘッド部の路面からの高さとしました。
このフロントの車高が、調整によって決まるリアの車高に対して、ある一定の値になった時にオートバイの操縦性のバランスが取れる事を解説しました。

 

( この前後バランスについては、一般的に認識が薄いので、じっくりと時間を掛け、繰り返し解説 )




前後バランスのチェック方法は、10㎞/h 前後の速度で走り、一定のポイントで 右または左にバンクさせてターンをさせて確認する事を説明。
更に詳しく説明を加えて、チェックする点は 直立状態から 5~10度 バンクさせた時のフロントタイヤの挙動で、バンクの際には アクセルやブレーキを一切使わない事を説明。

 

そして、リアの車高に対してフロントの車高がバランスしている時には、前後のタイヤがほぼ同時にバンク側への反応を始めると説明。
リアの車高に対してフロントの車高が高い場合には、フロントタイヤのバンク側へ切れ込む動きが早く始まる事、逆に低い場合には リアの挙動に遅れて フロントタイヤはバンク側へ遅れて切れ込む動きになる事を説明。

 

( この挙動の感覚は、多くのライダーは自然に感じている事なので、その記憶や感覚を呼び戻してもらったり、車種によってフロント車高が高目のもの、低目のものも補足説明 )




ライダーの体重に合わせて、フロントの車高を調整するのは 「フロントフォークの突出し量」の変更で行なう事が大切と説明。
そして、このチェックと調整を繰り返す事で、バンク時に前後のタイヤがほぼ同時にバンク側への挙動を始める調整値が求められる事を説明し、フロントサスペンションが 正立式フロントフォークの場合には、乗車時(1G’ 時)のボトムブラケット上部からアンダーヨーク(ボトムブラケット)下端までの インナーチューブ長さを 「フロント車高」として扱う事を説明。
また、フロントサスペンションが倒立式フォークの場合は、インナーチューブの露出長さから上ヨーク(アッパーブラケット)上部からのフォーク突出し量を差し引いた値を「フロント車高」として扱う事を説明。

続いて、最初に決まる リア車高に合わせて、バランスしてナチュラルな操縦性が得られる フロント車高(共に 乗車時)を調整で得られた、オートバイにとって自然で高い能力を発揮しやすい状態について補足の説明をしました。
前後の車高バランスが取れている場合、リアの車高はライダーの体重に関係無くスイングアームの垂れ角は一定の値になり、「フロントの車高」も ライダーの体重に関係なく一定の値になる事を説明。

 

( これについては、誰も思ってない様な事だったので、一度解説しても納得までいかないので、図を描きつつ、繰り返し解説 )




ここで、まとめると、ライダーの体重に関係なく、同じ車種の車両であれば、理想的な リアの車高(たれ角)とフロントの車高 の数値は一定の値になる事。
従って、車種毎に正しく求められた 前後バランスが取れる「フロント車高」の値は、同じ車種であれば、ライダーの体重が異なっていても、そのまま採用する事が出来て、前後バランス(1G’ 時)もほぼ取れると追加説明。



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テーマに沿って、参加した人の理解度や疑問・質問に合わせてしっかりと解説と勉強を行なうのがセミナーだから、時々 テーマから外れて、関連する項目の整備やセッティングの勉強へと進みます。

  

今回のセミナーでは、「 フロントサスペンション のプリロード調整 」と「 フロント スプリングによる操縦特性の違い 」についても詳しく 図解と実際の計算を交えながら進みました。
先ず、「 フロントサスペンション の プリロード 」については、フロント サスペンション に与えるプリロート(初期荷重)は、スプリングに実際に掛かっている 荷重 で管理する事が大切と解説。
スプリング組み込み時に掛かっている荷重の計算は、[ スプリングレート Kgf/mm ]×[ 組み込み時に縮めた長さ mm ]で求め、一般的に 8 ~ 9 Kgf の値が最も適している事を説明し、スプリングレート の求め方、縮めた長さの求め方 を 図解入りで詳しく説明しました。
  
それに補足して、フロントスプリング を交換する際には、交換前と交換後の 「プリロード量(荷重)Kgf 」を同じ値にする事がとても大切で、それによって スプリング変更前後の違いをより正しく比較する事が可能になると説明。
また、フロントサスペンションのプリロード調整は、8~9 Kgf に合わせるに留め、セッティングの進め方としては 最後の最後に調整するに留めるのが最短の道とも説明。

 
 

「 フロントスプリング による操縦特性の違い 」については、具体的に 3種類のスプリング候補を 講師の VTR250 の装着した場合を想定して進めました。
(講師・VTR250では 、乗車時(1G' 時)の 最適フロント車高は求められていて、装着している 非純正スプリングの スプリングレートや レート変換点 なども計算済み )

    

例えば、現行の講師・VTR250 の場合、乗車時(1G' 時)のスプリングレートは 0.58 Kgf/mm で、ターン時にフォークが縮む時、1G’ 車高から わずか 1.8 mm 縮んだ所で スプリングレートが 1.01 Kgf/mm へと変換する事を計算で確認。
その後、1994年型・ホンダNSR用 スプリング 「 51401-KV3-671 」と 同じく 「 51401-KV3-951 」を装着して、1G’ 車高を 基準値に合わせた場合の特性の違いを計算で求めてみました。
その結果、1G' 時車高から 約10 mm 縮んだ所で 0.63 Kgf/mm から 0.83 Kgf/mm へと変換するスプリングと、同じく 1G’ 時車高から 約 17mm 縮んでようやく 0.67 Kgf/mm から 0.85 Kgf/mm へと変換するという予測結果が出て、ターン時の挙動特性に大きな違いが出る事を説明。

 

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■ という具合に、解説・説明した すべての内容は、仮に正しく理解・納得できなかったとしても、【 計算によってセッティング は行なえる 】という事と、【 セッティングには基準値が大切 】という事は ほぼ納得してもらえたのでは? と考えています。
   
■ これを読んだ人にとっては、図解も無く、経験も少ないとすれば、理解すら難しい事と思いますので、『 オートバイの基本講座 』などで 改めて解説もする予定です。
    
■ 一番、確実に理解を進めたい人は、ぜひ、『 整備・セッティング セミナー 』か 『 ライディング・セッティング クリニック 』への参加をお勧めします。 どんな方にも 分かりやすく解説します。( 事務局宛に、質問や疑問 を送信してもらえれば、解説・返信に努めます ) 
  
■ 次回開催時には、スポット中継・動画配信を行なう企画を進めていますので、開催の際にはご期待ください。

 

  

『 整備・セッティング セミナー 』
http://gra-npo.org/schedule/M%20&%20S_seminar/seminar_top.html

  

『 ライディング・セッティング クリニック 』
http://gra-npo.org/schedule/clinic/clinic_top.htm

 

 
 
 

2019年8月12日 (月)

8月11日開催、『ライディング・セッティング クリニック』リポート

真夏日が続くお盆連休中の 8月11日、『 ライディング・セッティング クリニック 』は多くの成果を残すことができました。

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朝一番の開門時、予約無しで集まった参加者達、合計4名でクリニックは始まりました。

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クリニックは、参加した人の要望や質問、悩みに応えるのが目的のイベントです。 リアの車高を適切な調整をしたいと言う人やボルトの締付けトルクによる違いが確認したいと言う人の要望に応えて、それぞれにレクチャーを行なった後で、直線走行路とサークル走行路での走行を確認しながらクリニックは進んでいきました。

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クリニック受診時の要望や悩みは、午前中の調整と確認走行でほぼ解消し、最適なリアスイングアームの垂れ角、簡単なダンパー調整方法、簡単な前後タイヤ整列調整方法などのレクチャーも加えて、午前中は終了。

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午後からの参加者は無かったものの、朝からの参加者の熱気は冷めず、出された要望に合わせてクリニック最後に簡単なコースの走行練習を行なって、転倒も無く無事に終了しました。

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今回のクリニックを終えて一番実感した事は、公式Webサイトやセミナーで基礎知識の浸透が進んだ事が良い結果になっている事でした。
基礎知識を正しく理解している事が、専用の安全なエリアを使って、車両を実際に整備・セッティングを行なう時に大変に効果を挙げているのです。

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どうぞ、正しいライディングを身につけたい方、整備・セッティング を正しく安全に行ない方は、どうぞ『 ライディング・セッティング クリニック 』を活用してください。

      

※ 当日の 動画や解説文書などは、後日、機会を設けて報告の予定です。



 

2019年8月 4日 (日)

8月3日 開催 『 整備・セッティング セミナー 』開催報告

  
『 整備・セッティング セミナー 』は、整備とセッティングについての 講習ですが、学校の授業形式でないのが特徴。設定したテーマに合わせた講習で開始するのですが、途中、参加者の意見や提案、関心に合わせて、話題の内容を広げたり、全く違った話題へ跳んで行って戻ってきたりと、一緒になって聞き語るセミナーです。
   
8月3日に開催した『 整備・セッティング セミナー 』は、開催 3回目となり、その有意義な講習内容と楽しさが浸透してきて、とても楽しく充実したセミナー になりました。


『 フロントフォークの整列、前後タイヤの整列 』
   
GRAでは、20年以上前から、セッティング講習での実践を始めとして、多くの機会に広めてきたのが この 「 フロントフォークの整列 」と 「 前後タイヤの整列 」です。
  
どちらとも、オートバイメーカー、オートバイ販売店、教習所、講習会など殆どの場合には無視されている事柄ですが、実は 操縦性に大きな影響を与える大切な要素。
「 なぜ 歪むのか? 」「 メーカーの製造工程は? 」の話題に始まり、「 どうやって整列をとるのか 」の作業方法の説明が続き、「 テレスコピック形式の限界? 」や 「 何故 テレスコピック形式が全盛か? 」などと 徐々に関連する話題に跳びながら、オートバイの整備やセッティングについての真剣(?)なセミナーになったのです。


『 チェーンの遊び 』
  
前後タイヤの整列から跳び出た話題の一つが 「 チェーンの遊び 調整」。
多くのメーカーの整備マニュアルでは、「チェーンの前後中間部を指でつまんで、上下方向に動かして、〇〇 ~ 〇〇 ミリ程度の遊びが出るように」と書いてある事に対して、「 いい加減な整備方法! 」 「 だから、チェーン張り過ぎ整備が減らない 」などの指摘があった点です。
   
正確な遊び調整するには、リアサスペンション ユニット を一旦外して、リアタイヤ(スイングアーム) が自由に上下に動かせる状態にして、チェーンの張りが一番きつくなるリアタイヤの位置で、チェーンの遊び量が最少になる様にします。
  
そして、この調整を行なった後で、車両をメンテナンススタンドで自立(1G)させて、前後スプロケットの中間部で下側チェーンを指で強く押し下げ、その時のスイングアーム下端面との距離をメジャーで測定しておけば、次の調整時には その数値になる様にすれば、チェーンの最も適正な調整が出来るという説明を 図解しながら行なったのです。
  
ただ、これは 明らかに “ 車両メーカーの怠慢 ” との指摘も !
その数値を 整備マニュアルに記載しておけば、決して安くない車両を 長く安全に大切に使えるのに、50年以上前から同じ 文面のマニュアルでお茶を濁しているとは! との指摘もあったのです。


『 その他 』

関連する大切な話題、役立つ話題へと跳ぶセミナー、他に出てきた話題を紹介します
  

〇 「 左側チェーンアジャスター は チェーン調整のため、右側チェーンアジャスターは 前後タイヤの整列のため 」
  
〇 「 ボートはオートバイや自転車と同じく、曲がる方向へバンクするけど、ヨットは車と同じで反対方向へ傾き、カタマラン(双胴船)は 推力発生装置の形式によって 自転車タイプ と 車タイプに分かれる 」
 
〇 「 ハイグリップタイヤ、とんがった形状はシビアな操縦性か? 」 etc

テーマに沿った講習を進めながら、参加者の質問や提案、講師役の気の向くまま、面白い話題へと跳びながら、オートバイの整備やセッティングの基本的な考え方、作業方法を学べる、日本で滅多にない、予約不要・参加費不要の中身の濃いセミナーです。
  
次回は、8月22日(木)、会場は 大坂市中高公会堂(大阪市北区)、18:00 ~ 20:30 の間、開催していますので、是非、気楽に参観してください。

 


 

 

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