カテゴリー「 【妖怪講座】整備&セッティングの基本」の記事

2023年11月13日 (月)

「車体整備の基本」の紹介(1) <エンジン マウント編> その1

  
オートバイが本来備えている能力を適切に発揮させる為、私が年に数回、機会がある度に必ず行なっている「車体整備の基本」を、整備する部位別に紹介します。( 車両:ホンダVTR250 )中には、初めて見る整備もあると思いますが、それを行なう理由を基本的な事から分かり易く説明しますので、きっと参考になる事もあると思います。

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1. 大切な、エンジンマウント整備

フレームにエンジンを固定している箇所がエンジンマウント部です。そして、その整備をなぜ最初に行なうかと言えば、エンジンマウント部には大きな「ストレス」が掛かる場所で、その「ストレス」によってオートバイ本来の動きが阻害されるからです。

この「ストレス」が生まれる主な原因は、フレームとエンジンの役割と個性が全く異なるからです。フレームはンジンを支える以外に、ステアリング(操舵系)と前輪サスペンション、後輪サスペンションも支えていて、走行中に車体が受ける様々な力に対して、適度に変形して、しなやかに受け止めて、車体全体のバランスが崩れない様にする役割をしています。一方、エンジンは、その内部で精緻な数多くの部品が高速で動いているので、変形を許さない頑丈な作りになっています。

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そのため、エンジンマウント部では、フレームとエンジンの異なる特性と個性がぶつかり合い、結果として「ストレス」が生まれるのです。その上、エンジンは車体の中で最も大きく重い部品ですから、一番大きな「ストレス」が生まれ易い箇所なのです。そして、その「ストレス」が溜まると歪(ひずみ)が生まれ、それによって、フレームが本来の変形や “しなり” が発揮できず、ロードホールディング性能の低下、乗り心地の悪化、コーナリング性能の低下などの原因となるのです。

ただ、この「ストレス」による歪を取り除く方法は難しくはありません。それは、エンジンをフレームに固定しているボルト(エンジンマウントボルト)を一旦緩めて、それから決めている締付けトルクで締め直すだけです。

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この時、注意している点が幾つかありますので紹介します。一つは、車体を直立状態に保つ事です。その理由は、サイドスタンドを利用して、傾いた状態で「ストレス」を取れば、その状態が基準となるので、直立させただけで「ストレス」が生まれ、反対側(右側)へ傾けた時には更に大きくなり、コーナリングの左右差を大きくする原因となり、オートバイ本来の操縦性をスポイルする事になるからです。
二つ目はボルトを緩(ゆる)める時、その ‘緩め’ トルク値に注意を払う事です。その理由は、緩めトルクによって、ボルトの健康状態や加わっている「ストレス」の程度を推測できるからです。そして、‘緩め’ トルク値が締付けトルク値とほぼ同じであれば良好だと判断しています。
三つ目は、マウントボルトを緩めた状態で、エンジン本体に軽い打撃を加えています。プラスチックハンマーや大きなゴムハンマーで、シリンダーヘッドカバー上部やシリンダーブロック下部など、頑丈な箇所に衝撃を与えて、エンジンを本来の最も安定した位置へと下げてやるのです。
そして、四つ目は、特にVTR250の場合は注意が必要な事ですが、適正な締付けトルクを守る事と締めつける順番に特別な注意を払っています。この事は次の項で詳しく紹介します。

 

・・・ 次回は、『 締付けトルク値と締付けの順番 』の紹介になります


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2023年10月14日 (土)

「車体整備」の記事企画、始めます!

   
「車体整備」の記事の企画を進めています。と言うのも、オートバイ本来の能力を適切に発揮させるには、「車体整備」を適切に行なう事が一番大切だと考えているからです。そこで、完全に分解する程の ‘重’整備ではなく、一年に数回は行なうべき ‘中’整備を、部位や整備内容別に分けて、下記の 8つの話題(記事)をお届けする予定です。

   

  1. エンジンマウント 編
  2. リアサスペンション 編
  3. リアホイール 編
  4. リアブレーキ 編
  5. ドライブ チェーン 編
  6. フロント サスペンション 編
  7. フロントブレーキ 編
  8. 前後タイヤ整列 編
   
どうぞ、整備に関心のある人、オートバイに長く気持ち良く乗り続けたいと考えている人は、是非、ご期待ください。

 

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【 企画の背景 】
    
今回の企画が生まれたきっかけは事務局の「引越し」です。
いつもならば、どの項目の整備も、少なくとも一年に一回から多くて数回以上は行なっている事ですが、10ヶ月以上も車両の整備を行なえなかったからです。その理由は、移転先探しに年初から多くの月日を費やし、その上、体調悪化から入院したからです。
引越しをしてから 2ヶ月が経ち、体調が少し回復してきているので、この機会に「車体整備」を少しずつ始めて、それに合せて「車体整備」の記事を掲載する企画が生まれたのです。

   
年に数回は行なう ‘中程度’ の整備ですが、一般的なライダーにとっては「なぜ、そんな事を!」とか「それって必要なの?」と感じる程、整備マニュアルだけでなく、今まで見た事も無い事を目にすると思います。だからと言って、【 〇〇は、こうすべき!】という様な記事にするつもりはありません。ただ、その整備方法を行なっている理由を、オートバイを構成している部品の材質や特性の説明も加えて、分かり易く詳しく書くつもりです。
ですから、例え同じ整備を行なわなかったとしても、オートバイの構造やメカニズムを深く知る事に繋がり、オートバイとのより適切なつきあい方を覚えるきっかけになると信じています。
    
予定の車両は「ホンダ VTR250 」を最初に採り上げ、次に「トライアンフ ストリートトリプル 」の整備を行ないます。 整備項目も同じですが、それぞれの車両ごとに特有なメカニズムや特徴を掘り下げて記事にしますので、きっと、飽きずに楽しめると思います。
その為、記事の内容も深くて項目数も多い事から、最初の記事から最終の記事掲載まで、企画終了まで 2ヶ月以上になりそうですが、待ちきれない方は、是非、催促の「お便り」をお願いします。きっと、効果は高いでしょう。




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2022年12月17日 (土)

オートバイ本来の能力を適切に活かすために、『 “車体バランス” を考えてみよう』

  
イベント『セミナー』に参加した、ヤマハ MT-25 に乗る人から、「タイヤサイズの変更を考えているけど」という質問に応えて、“車体バランス” を基本にして、前後の車高バランスなどを一緒に考えてみた リポートです。

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https://gra-npo.org/publicity/report/2022/20221105_rep.html


ヤマハ MT-25 に乗る人の質問に応えて、ヤマハのテストコースの紹介やタイヤサイズ変更の影響、前後の車高バランスの調整の必要性まで、MT-03 との比較も加えながら、どんな車両でも適応できる考え方を詳しく解説を進めています。
  
市販されている車両は、テスト専門チームが専用施設で試作車のテスト走行を行ない、改善の為の設計変更を行ない、試作課で組み立て直し、改めて走行テストを繰り返して、“車体バランス” をまとめ上げた仕様で販売されています。
  
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しかし、生産ラインでの製造品質は試作課での品質とは異なり、購入するライダーの体重や走行条件もテストチームが想定している体重や走行条件とは異なる為、テスト走行で熟成された “車体バランス” がそのまま再現される状態にはなっていません。
  
走行テストチームが “合格” を出した最善の “車体バランス” を再現する為には、試作課で行なわれている丁寧な組み立て直しと、想定された体重や走行条件との違いを考慮した調整が必要になります。

【 詳しくは、GRA公式Webサイトをご覧ください 】
https://gra-npo.org/publicity/report/2022/20221105_rep.html


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2022年11月21日 (月)

「フロントスプリングの選択と確認」、“クリニック” 開催リポートを掲載しました


オートバイがシューズだとすれば、タイヤはソールで、サスペンションのスプリングはシューズサイズです。しかし、殆どが大きな人に合せたサイズなので、決して良い状態ではありません。思い通りに、安全に、楽しく走る為に、スプリング(レート)を合せる必要があります。

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多くの人は、スプリングの選択が必要と伝えても、プリロードやダンパーで調整できると誤解しています。車両メーカーの都合に合わせ、評論家が言う事を鵜呑みにしているだけです。しかし、シューズに例えると、プリロードは靴紐の締める強さで、ダンパーは中敷の変更に過ぎず、補助的な存在に過ぎません。

ここに、先日開催した “クリニック” のリポート「フロントスプリングの選択と確認」を紹介します。購入した車輛が高速走行用に設計されているので乗り難くて、今回、スプリングの変更で大きく改善した人の記録です。リポートでは、何故、ライダーの体重や使用用途に合わせてスプリングを選択する必要があるのか、物理的な基本原理から詳しく解説していますので、きっと、多くの人の参考になると思います。

 

『 フロントスプリングの選択と確認 』
https://gra-npo.org/publicity/report/2022/20221029_rep.html

 

殆どのオートバイは、スプリングに限らず、ライダーの体重や体格、用途に合っているとは言えません。“クリニック” では、オートバイとライダーとの距離を縮める為のサポートを行なっています。いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフの為に、“クリニック” とリポートを参考にしてください。



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https://gra-npo.org/schedule/clinic/clinic_top.htm




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2022年9月 7日 (水)

9月3日開催、『オートバイ なんでも “セミナー” 』リポート

   
2022年 9月3日(土)開催した、『 オートバイ、なんでも “セミナー” 』の報告をします。今回は、ちょっとした話の流れから、本当は多くの人が悩んでいる「安定限界トレール量」についての話で進みました。

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https://gra-npo.org/schedule/M%20&%20S_seminar/seminar_top.html



『 安定限界トレール量って、何? 』


この言葉は、教習所でも教えられていないし、雑誌や二輪Webメディアでも使われていない言葉なので、殆どのライダーは知らない言葉だけど、多くがこれに関して恐い怖い体験をした事のある筈です。
例えば、ゆっくり走っている時に、フロントブレーキをかけ過ぎて安定を失い転倒しそうになった体験は1~2回はあるでしょう。 それ以外にも、一般道を走行している時に思わぬ路面の大きな凸凹を通過した時や、高速道路などの橋脚部のジョイント部をコーナリングしながら追加した時など、前輪のコントロールを瞬間的に失っているような体験をした事のある人もいるでしょう。
そんな現象の多くは、前輪に備わっている「トレール(量)」という大切な要素が、瞬間的に “安定限界トレール量” 以下になった場合に起きているのです。
  
以上、ここまで読んで下さり、「安定限界トレール量」などと言うモノがオートバイにある事を知ってもらえたならば、このリポートを書いた目的は充分に達した思います。
次からは、もう少し詳しい「安定限界トレール量」の簡単な解説と、 “セミナー” 当日には解決できなくて「宿題」となった事を報告します。

 

 

『 常に変化するトレール量 』


販売されているオートバイの殆どは、つまり皆さんの乗っているオートバイの殆どは、「テレスコピック形式」と呼ばれるフロントサスペンションを備えています。
この形式は、比較的製造が容易で廉価な形式である事の他に、剛性が高過ぎず、人間の感性に合った操縦安定性を備えている事が広く支持されている理由です。

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例えば、上図で示した様に、走行状況に応じてフロントサスペンションが作動して、常に「トレール量」が変化している事も広く支持されている特性です。
しかし、この特性がどんな走行状況でもライダーの感性に合い、常に安全性を保つ仕組みかと問われれば、そうではないと言わざるを得ません。

 

 

『 問題はコーナリング時 』

 

「トレール量」の役割は、フロントタイヤの安定性を保つ事です。つまり、車体が向いている方向へフロントタイヤの向きを保つ働きがあるのです。
ただ、これは真っ直ぐに走る場合には助かるのですが、コーナリングの場面の様に、車体が向いている方向ではなく、バンクしている側へと向きを変える時には邪魔になる存在になります。
そこで、コーナリング時には向きが変わり易い様に、状況に応じて「トレール量」が小さくなる「テレスコピック形式」のサスペンションが合っているのです。


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しかし、必要以上に「トレール量」が小さくなり過ぎる状況に陥る場合もあり、それが例で挙げた怖い体験の場合の様に、どんな場合でも安全性を保つ為に、トレール量が「安定限界トレール量」以下にならない様な整備や調整が重要になるのです。

 

 

『 大切な “安定限界トレール量” の認識 』

 

と、ここまでの報告を読んで、思考能力が鋭い人であれば理解できたでしょう。 多くのオートバイは「安定限界トレール量」以下になってしまう可能性がある事を。
詳しくは、別途にコラム記事で解説を行ないますが、最後に、セミナー当日に充分に解明できなかった“宿題” 「どの様な原理によって、トレール量の不足がフロントタイヤの不安定さを招くか」について、以下の解説図を作成しましたのでご覧下さい。
  

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「安定限界トレール量」問題については、車輛側に備わった特性が原因で転倒したとしても、ライダーだけの責任として誤って扱われる現状に警鐘を鳴らす為にも、機会を改めて解説記事を掲載します。
どうぞ、関心のある方はお待ちください。 そして、関心はあるけど待てない方は、どうぞ、解説図からこの問題を読み解いてください。
  

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2022年8月29日 (月)

Q&A『 最適なフロント車高について 』 Optimum Front Ride Height is ...


「 車高 」は、オートバイの操縦安定性能を左右する大切な要素で、正しい知識で適切な調整が行なわれるべきです。しかし、正しく認識されていない為、足つき性向上の為としてなど、危険で誤った調整が横行しています。
 
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この記事では、最適なフロント車高の調整方法とその原理を、[1G'時車高]や[フルボトム時車高]、[中間ストローク車高]や[安定限界トレール量]の解説図を交えて、詳しくわかりやすく説明を行なっています。
どんな走行状況でも、安全な機敏な操縦安定性を保って、いつまでも、楽しく、安全なオートバイライフを過ごすため、是非、参考にしてください。

 
Q&A 『 最適なフロントの車高について ・』
https://gra-npo.org/lecture/bike/Q&A/Front_ride_height/proper_height_1.html
  
  
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Ride height is an important factor that determines the maneuverability and stability of a motorcycle, so proper adjustment is necessary. But that lack of awareness is prevalent in dangerous and misaligned


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2022年7月14日 (木)

コラム記事「エンジンマウントのストレス考」掲載しました

   
エンジンマウントとは、エンジンを固定している方法や固定場所のこと。オートバイは、エンジンを積む全ての乗り物の中で、この状態に一番大きな影響を受ける乗り物です、

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エンジンは、オートバイを構成する部品の中で一番重い部品(ユニット)で、とても大きな駆動力を生み出すので、エンジンを固定している箇所には常に大きな力が加わり続けています。しかし、エンジン搭載の作業が適正でなく、しかも多くの場合はリジッド搭載のため、四輪車の搭載作業やラバーマウントと較べて、常にマウント部には大きなストレスが溜まり続けていますが、殆どの整備マニュアルで指摘されない事は問題です。

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特に、VTR250の様に、独特なエンジンマウント設計によって優れた操縦性を生み出している車両の場合、ストレスの蓄積は操縦性や安定性の劣化を生み、定期的なエンジンマウント部のストレス除去と整体作業は生まれ変わらせる効果があります。

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また、最新の高出力エンジンと高剛性フレームで構成された車両でも、ストレス除去と整体は大きな効果が得られますので、乗り難さや直進安定性の不足を感じる場合や、旋回特性が左右で異なると感じる場合には、このコラム記事が参考になると思います。


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https://gra-npo.org/policy/yokai_column/garage/202207_Engine_mount/Engine_mount_1.html



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2022年7月 1日 (金)

「燃料カプラー」に続いて、「締付けトルク」の質問が届きました

  
先日、トライアンフ デイトナ675 を所有する人から、「燃料カプラー」の質問が届きましたが、新しく「締付けトルク」の問合せがありました。

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それは、シリンダーヘッドカバーの固定用ボルトのメーカー指定締付けトルクの質問でしたから、メーカーのサービスマニュアルの写しと一緒に、『ガスケット』の事について解説をしました。どちらにしても、燃料タンクは無事に外れたようですが、「ガスケット」の事に関心のある方は、ぜひ、ご覧下さい。



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https://gra-npo.org/lecture/bike/Q&A/Fuel_coupler/coupler_2.html


  


  


【 回答文より一部転載 】


この「ガスケット」が利用されている箇所で注意をすべき点は、適切に液体や気体の漏れや流入を防ぐ事である事は多くの人が理解しているのですが、誤って、固定用ボルトの締付けトルクを必要以上に高めてしまって、ボルトやボルトで固定している部品を破損してしまう例が多い事です。
例えば、エンジンオイル交換の為の「ドレイン ボルト」を必要以上に締付けてオイルパン(エンジン最下部にあるオイル溜め部品/アルミ製が多い)を破損させたり、点火プラグを締め付け過ぎてシリンダーヘッドのプラグ穴を破損させたりする例は少なくありません。 そして、今回のシリンダーヘッドカバーも、固定用ボルトの締め付け過ぎでカバーを破損させる例も少なくないのです。

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2022年5月30日 (月)

「キャスター」ではなく、「ステアリング(回転)軸角」と書きます

  
『 日本特有の「キャスター」 』


現在、日本の二輪業界では「キャスター」という言葉がよく使われてますがが、実際のオートバイには「キャスター」らしき部品はありません。

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また、専門誌のライターでさえ、「キャスター」という言葉で角度を表現させていますが、角度を表現するならばキャスター角とするべきで、適切な理解を求めるならば、「キャスター」という言葉の利用には慎重になるべきでしょう。


 


 


『 自転車や欧州メーカーでの表記 』


実は、自転車の世界では「ステアリング(回転)軸角」という表記が一般的で、その角度は路面からの角度を示していて、日本での「キャスター」が鉛直方向からの角度としているのとは異なります。

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また、自転車に限らず、欧州主要二輪メーカーでは、角度を示すための「キャスター」という表現は無く、「ステアリング軸角度」や「ステアリングヘッド角度」として、路面からの角度で示されるのが一般的です。

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以上の理由で、「ステアリング回転軸角(キャスター)」と書く事にします。
また、角度の測定方法も、路面からの角度を「ステアリング回転軸角」と書きます。


 


 


『 四輪業界での「キングピン」と同じ 』


実は、四輪業界でも「キングピン角度」という言葉が最近までよく使われていて、整備の国家試験にも出てくる程でしたが、現在は改められつつあります。
それは、「キングピン」という物は現在も形を変えて残っていますが、一般的な乗用車には「キングピン」は無く、より適切な表現をする為に使われなくなっているのです。


 


 


『 キングピンとは 』


キングピンとは、歴史は古くて、四輪式の馬車の時代に遡ります。馬車の前二輪は、馬の向きに合わせて向きが変わる様に、ターンテーブルステアリング方式と呼ばれる、前2輪のフレームと馬車とは 1本の太い「回転軸」で繋がっていて、これが「キングピン」のルーツです。

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19世紀末、馬車から自動車の時代に移った際、前輪の向きを変える機構の部品の一部を「キンギピン」と呼んでいたのですが、21世紀の現代、一般乗用車で「キングピン」がある車両は殆ど無くなっているので、より適切な「ステアリング(回転)軸角度」等の表現に訂正されています。

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ただ、現代でも「キングピン」が発明された当時のまま残っている車両が多く走っています。それは、トレーラー(被牽引車両)の連結部分にあります。名称は、「第5輪」とか「カプラー」と「ピン」など呼ばれていますが、馬車が発明された当時からの「キングピン」の構造そのものです。


 


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2022年4月16日 (土)

3月27日開催 “ クリニック ”イベント、開催リポート『 車高バランス調整は、とっても大切 』

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桜の花満開の3月、受診する人の悩みや要望を受け留める『 オートバイとライダーのための “クリニック” 』を開催しました。 今回は、乗りやすく操縦性を良くする為に、フォークスプリングを交換した人の要望に応えて、“前後の車高バランス調整” に始まり、以下で挙げる科目で順に対応しました。
    
 
 1. 前後の車高バランス調整 Front and Rear Ride Height Balance Adjustment
 2. ストローク時の車高確認 Check Ride Height when Stroked
 3. スプリングレートについて About Spring Rate
 4. プリロード量について About Preload Amount
 5. その他(おまけ) Others(Bonus)
 6. 最後に Last of all


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“クリニック” で対処した内容を、分かりやすい解説図を加えて、「 開催リポート 」で詳しく解説していますから、普段、オートバイに少し乗り難さや不安を感じている人や、サスペンションをもっと乗り易くセッティングしたい人など、多くの人の参考になる事もあると信じています。
どうぞ、一度、ご覧下さい。

 
     
開催リポート『車高場欄sぬ調整は、とっても大切』 ( GRA公式Webサイト)Web1000b_rideheightadjustme
https://gra-npo.org/publicity/report/2022/20220327_rep.html



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