カテゴリー「 【妖怪講座】整備&セッティングの基本」の記事

トラ君・闘病記 (オートバイの基本講座 より)


『 10月7日、移植用に臓器改造完了! 』
   
代表の愛車・トラ君、移植用臓器を手に入れて、ようやく完治した様子。
   
でも、移植用として販売されている臓器(部品)の性能を確認してみれば、色々と発見や学びがあったようです。
  Img1_web800    
詳しくは 【 トラ君・闘病記 】最終回( その8 )でご覧ください。

http://gra-npo.org/lecture/bike/triumph_illness/triumph_illness_8.html
 
 
 

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10/9 『 セッティング講習 』 のリポート !

    
10/9  『 セッティング講習 』リポート
   
【 オートバイが変わる、走りも変わる 】
   
以下の文章は、公式Webサイト・イベントリポートからの抜粋です

http://gra-npo.org/publicity/report/2017/20171009_rep.html

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オートバイの動きを観るだけで、オートバイの様々なバランスの良否は判るものですし、ライダーとオートバイが自然にシンクロ(同調)できた時の“喜び”をタイヤ接地面や車両の動きを観るだけで感じられるものです。
   
実際に今回も、空気圧調整を行なっては走って確かめるという作業を横で観て、その僅かな違いで“喜び”や“怖さ”に変化するのを傍で感じ取っていました。が、空気入れ作業の補助以外には細かな指示は何も言わずに見守ったのです。
   
すると、どうでしょうか。空気圧調整に取り組んだ人全員が、空気圧の違いによるオートバイの細かな変化をはっきりと感じ取り、一番良いと思う空気圧へと確実に調整が行なえたのです。
しかも、「メーカー指定値」はあくまでも推奨値で、一番良いと調整した値はメーカー指定値とは違うという貴重な体験をして、「 感想文 」でもそんな体験を発表してくれたのです。

  20171009_index_web
 
リポート全文を、以下のサイトからご覧ください。
http://gra-npo.org/publicity/report/2017/20171009_rep.html
 
 
 

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『 セッティング講習 』用の 「用語ラベル」 完成!

   
オートバイのセッティングを正確に学ぶ為に最初に必要になる事は「用語」を正しく理解する事です。
      
用語を知り、原理を知り、調整をして、乗って違いを感じ、次の方向性を考える、これを何度も繰り返すのがセッティングなのです。
  Word_piece_web800
『 セッティング講習 』で使う用語を  マグネットシートを使って作りましたが、これらの「 用語 」の正しい意味は 意外と知られていないのかも知れません。
 
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< 一部紹介 >
 
● 用語編  ・・・ 「ダンパー」、「操縦性」、「安定性」、「0G」、「残ストローク」
 
● 調整項目編 ・・ 「前後車高バランス調整」、「前後タイヤ整列調整」他
 
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■ 『 GRAの セッティング講習 』 イベント案内サイト

http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html



 

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『 GRAの セッティング講習 』 開催します !

 
『 オートバイのセッティング講習 』を開催します。
貴重な機会になると思いますので、この機会の利用を検討してください。
 
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タイヤのエア圧の最適値への調整&実走確認に始まり、サスペンションの各調整機構から、ドライブチェーンの最適調整、フロントフォークの整列など、整備とセッティングを基本から講習して実際に走行して確認ができるイベントです。
   
整備の基本の勉強や、公道では不可能なセッティング変更による変化確認など、安全な専用確認用コースを利用した実践的な講習イベントです。
 
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基本の講習カリキュラム以外に、参加した人の希望に応じて、ボルトの締め付けトルクによる運動特性の違いや、前後車高バランスによる運動特性の変化など、可能な範囲で講習と指導も行ないます。
   
 
※ 無料で 見学と聴講が可能な 「 見学参加 」も歓迎です。
   
※ 【 GRAのセッティング講習 】の開催日や開催会場など、
 詳しい案内は下記 GRA公式サイトページをご覧ください。

http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html


 
 

 

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トラ再走計画・フロントスプリングの選定

オートバイの整備やセッティング作業の中で、エンジン本体を除けば、最も “正解” を導き出し難いのが サスペンションのセッティングで、その中でも フロントサスペンション の 仕様変更(セッティング)ほど 最適セッティング(正解)が出難いモノはない。
   
本来は、個人ごとに最適を求めて自由に行なうべき作業だけど、記事とかで紹介されている方法の中には明らかに間違った変更作業が紹介されていて、最適セっティングから遠ざかるだけでなく安全性が保てない作業が紹介されているので、今回の投稿でセッティング作業の方向性の参考になればと思っている次第です。

 
 
1. なぜ スプリングを変更するのか  ( フロントスプリングの重要性 )

ほとんどのオートバイにはサスペンションが装着されている。
最初は乗り心地を良くするために生まれたサスペンションだけど、今やタイヤのグリップ(接地性)を高め、ハンドリング(操縦性)と安定性を高めるためにサスペンションは欠かせない装置だ。
   
そしてサスペンションの主役が「スプリング(ばね)」だから、好みのハンドリングを求めるならばスプリングの変更が一番の基本なのだ。

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特に、フロントサスペンションのスプリング(以降:フロントスプリング)は リアサスペンションのスプリングとは異なり、フロントタイヤが左右に切れるステアリング(操舵機構)と一緒になっているから、フロントスプリングの動き方はハンドリング(操縦性)に大きく影響するのだ。
   
しかもライダーはハンドルを握る手の平を通じてフロントタイヤの接地感や安定感を常に感じているから、どんな時でも安心できる乗り味にする為にも、フロントスプリングの仕様・特性の設定・変更には細心の注意が必要なのだ。
   
だから、メーカーが発売するオートバイの場合、同じ型式であっても年度が変わればスプリングの仕様が変更されているのが珍しくないほどで、オートバイメーカーも神経を使っている部品の一つだ。
   
実は、僕自身もスプリングの変更はしょっちゅう行なっているけど、メーカーでさえ常に変更している程だから、最適なハンドリングを得るのは簡単な事ではない事は知っている。
 
今回は、トラ再走計画に合わせて、改めてスプリングの仕様を検討している最中だから、興味のある人は付き合ってほしい。

 
2. スプリングの選択   ( スプリングの種類と特性 )

四輪車とは違って、オートバイのサスペンションに使われているスプリングは、ほとんどが“コイル状”に巻かれたコイルスプリングだ。
そして、フロントサスペンションに採用されているスプリングには、そのスプリングの特性を示すスプリングレート(バネ定数)が一定の“シングルレート”のスプリングと、スプリングが縮む途中で別のスプリングレートへと変化する“ツインレート”のスプリングがある。
公道用の市販車は“シングルレート”と“ツインレート”のどちらの採用例もあり 、車両特性やメーカーの考えによってどちらかを選ぶのだ。
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見分け方は簡単で、“シングルレート”の場合はコイル状の巻き方(巻く間隔=ピッチ)が一定で、“ツインレート”の場合には途中で巻き方(巻く間隔=ピッチ)が異なっているのだ。
“ツインレート”の場合には、縮み始めは全体が縮むけど、やがて巻く間隔(ピッチ)縮みが狭い部分で“巻き”が隣同士で重なり合い(線間圧着)、残った部分のスプリングだけが縮むのでスプリングレートが変化するのだ。
Spring_img_web800    
では、どちらを選ぶかと言えば、トラの純正仕様は“シングルレート”だけど、“ツインレート”を選ぶ。
なぜかと言えば、「 良くできたツインレートはシングルレートに勝る 」(妖怪談)からだ。
因みに、レーサーなどの場合には、セッティング変更の容易さから、殆ど“シングルレート”なのだ。
 
 
3. 目標のスプリングは ( VTRからトラへ )

今回のスプリング選択は、今までよりも簡単で正確に出来る方法だと信じている。
   
今までは、それまでに装着していたスプリングのレートやレート変換点(レートが切り替わる位置)を参考にしながら、もっと良い操縦性が欲しくて、次から次へとスプリングの変更をしてきた。
   
でも今回は、VTR250 で気に入ったスプリングの特性を参考に、トラ号に合う筈のスプリングの特性を探り出す方法だ。
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その為に、VTR250 と トラ号 それぞれの前後輪別の荷重を表にした。
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次に、ライダーの装備重量(体重+イロイロ)が前後均等(半分ずつ)に荷重として加わるとすれば、下の表のようになる。
Table_b_web800  
VTR250 と トラ号のホイールベース(前後タイヤ中心間距離=軸距)は殆ど同じだから、重心高の多少の違いはあるとしても、前輪に掛かる荷重の違いの分だけスプリングレートを考慮してやれば、きっと良いスプリングに巡り会えるはずだ。
   
前輪荷重の違いを較べると 約 11.1% の違いがあるので、求めるスプリングの初期レート(Ko)は [ 0.58 × 1.11 = 0.64 程度 ] 、スプリングレートが変換した後の二次レート(K1)は [1.01 × 1.11 = 1.12 程度 ] として、ツインレートスプリングの重要な特性である“変換点”は 同じ様な性格を求めて同等の数値とすれば良いだろう。
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つまり、求める初期レート: A は 0.64 Kgf/mm で 二次レート:B は 1.12 Kgf/mm、変換点 C は 58 mm 前後を目標に探せば良いが、条件に合うスプリングはあるだろうか?
 
 

4. スプリングの選択   ( 一覧表からの選択 )

“スプリングフェチ”な僕は、時間とお金が余っている(?)時に多くのメーカーのスプリングを買い漁り、製造会社へ特注したスプリングも数多くあるから、ストックしているスプリングの中から選ぶ事にする。
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この表は、ストックしているスプリングの一例だけど、スプリングレートや変換点は計算で算出しているから厳密には正確ではない。
厳密なデータは、スプリングテスターを用意して、一本ずつ正確に計測してやらないといけないが、テスターは高価だし製造されたスプリングは1本毎に“バラツキ”が大きいのが常識だから、そこまで細かい事は追及せずにおこう。
   
目標として設定したスプリングを表の中から選べば、「 ホンダ製、CBR1000F(SC-31)純正スプリング 」も良い雰囲気だ。二次レート(K1)は少し低目だけど、その分は変換点が早目に来る事で相殺されるから良いかも~ と思ったけど、全長が 447mm、トラ君のフォーク内には収まらないので断念。
   
同じく、[  ホンダ製 2000年型 ホーネット600 純正スプリング ] も良い雰囲気だ。全長は 312 ㎜ 、カラーを加工すれば装着可能な長さだけど、もう少し刺激的なヤツがないだろうか?
ああ、悩ましい!
   


5. 過去のスプリング、一番のお気に入りは

ここで、過去に出会ったスプリングの中で、一番のお気に入りを紹介しよう。
それは、WP(以前は ホワイトパワーの名称)製、ブロス(L型)用の フロントスプリングだ。
   
その頃は、今ほどに深く考えもせず(=悩みもせず)、好きなメーカー製だったので買ったけど、後にも先にも、このスプリングほどにライダーの意のままに、時にはかゆい所に手が届くほどに、どても性格の良い頼もしいヤツだった。
   
だから、そのスプリングと一緒だったら、どんなセクションも軽々とこなしてくれると安心しきっていたほどだ。
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今になって考えてみれば、そのスプリングは メーカーの設計者とテストライダーの情熱の賜物だったのだと実感している。
情熱のある若者達によってオランダで創業されたこの会社(WP社)は、1990年頃、きっと スプリングに情熱を傾けていたエンジニア達が居たと信じている。
   
というのは、スプリングで通常使用されている 線材は 4.5 ~ 5.0 mm前後が常識なのに、5.5 mmという常識外れに太い線材でまとめ上げられていたので、固有振動数が低く、同じスプリングレートでも“雑味”が少なく澄んでいて、大人しくも逞しい働きをしてくれていたと信じている。
   
ただこの WP社、今は KTMの傘下企業になってしまい、KTMはインド企業の傘下になっていて、この「一番のお気に入り」以降、同社からは 唸らせるような製品は出ていないようで残念だ。
   


6. プリロード荷重(イニシャル荷重)について

ちょっと横道に入って、スプリングをサスペンションに組み付ける際、最初に縮めて加えておく力(セット荷重 とも プリロード荷重とも言う )の事を書こう。
   
オートバイの場合には、四輪の場合とは違って、サスペンションにスプリングを組み込む際には 一定の力(荷重)を加えた状態(つまり縮めて組み付ける)のが一般的だ。
   
そして、フロントスプリングのプリロード荷重は、オートバイが同じであれば、交換するスプリングの特性が異なっても、ほぼ一定の値が最適値になる事を僕は経験的に知っている。
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これは、リアスプリングのプリロード荷重(イニシャル)はライダー重量などに合わせて調整する事が重要なのと較べて、フロントスプリングのプリロード荷重は対照的な扱いになっている事からも分かる事。
   
殆どのオートバイのリアサスペンションにはプリロード荷重の調整機構がついているのに、フロントはそれが殆ど装着されていない事からも、ある特定の荷重設定から大きく変更する必要は少ないのだ。
   
VTR250の場合には、現状のスプリング(51401-NKD)を組み込む際には 15.3 mm縮めているので、初期レート 0.58 Kgf/mm × 15.3 mm で、プリロード荷重は 約 8.8 Kgf であり、同じ車両でスプリング変更する際にもは常にこの荷重値を守って部品設定をしているほどだ。
   
同じ様に、トラ君の場合を考えれば、前輪荷重が 約 1.11 倍になるので、トラ君のプリロード荷重 = 8.8 Kgf × 1.11 = 9.8 Kgf を 参考にする事になる。
   

   
7. 「最適トレール量」という考え方  (フロントサスペンションの目的)

今回は VTR250 で最適なスプリングに出会えたので、それを参考にして、トラ君の体重(前輪荷重)に合わせて 良いマッチングのスプリングを検討するお話だ。
   
でも、こんなに多くのスプリングを蒐集して、細かな計算に時間を掛けてまでスプリングに神経を使う事に疑問を抱く人が大半だろう。
   
その疑問に答えるとすれば、「最適トレール量」追及の為だとしか言えないので、そこを少し説明をしよう。
   
オートバイのフロントタイヤには常に様々な力が加わっていて、それが 結果的にハンドリング(操縦性)やスタビリティ(安定性)となって表れるが、そのタイヤに掛かる力を左右する最も大きな要素が 「トレール量」だ。
この「トレール量」は フロントタイヤの“ 方向安定性 ”をコントロールしている要素で、その「トレール量」はオートバイの状況に合わせて大きくなったり小さくなったりして“方向安定性”を変化させ、オートバイの動きを自動的に制御している大切な要素だ。
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つまり、フロントフォークが伸びた時には「トレール量」が増えてフロントタイヤの直進安定性を高めて、直進しやすい状態にして、アクセルを離してブレーキを掛ければ、フロントフォークが縮んで「トレール量」は減ってフロントタイヤの直進安定性を下げ、旋回しやすい状態にするという具合なのだ。
かと言って、直進だけが得意で曲がり難くいオートバイは危ないし、少しバンクさせただけで意図以上に旋回しようとするオートバイもライダーは安心して安全に走れない。
   
だから、どんな走行状態でも、ライダーの意図に合わせて、ライダーには不安感をほとんど感じさせず、ライダーの意図に合わせて、その時々で最適な直進安定性(トレール量)をフロントタイヤに与えるフロントサスペンションが一番良いサスペションだ。
そして、走行状態に合わせてフロントフォークを最適の長さへと伸び縮みさせ、「最適トレール量」を自動的に導き出してくれる部品こそフロントスプリングだから、最適なスプリングに出会う事には大きな価値があるし、その選択に時間や神経を使っても決して無駄とは言えないのだ。
   
この「最適トレール量」の考え方はとても大変に大切だから、テストには出ないけど、覚えておくのがお勧め。
   
 
   
8. 間違いだらけの スプリング交換 (細心の注意が必要な交換作業)

ただし、フロントスプリングの変更には幾つか注意すべき事がある。
雑誌記事や個人のブログ記事を見れば間違いだらけなのは珍しい事ではないし、スプリングメーカーの指示書さえ大切な事は書かれていないので、ここに幾つか書き留めておこう。

【 プリロード荷重 の 設定 】

プリロード荷重とは スプリングを組み込む時に縮めておく力の大きさで、この値の大小でフロントサスペンションの動き方や操舵感も変わってしまうものだ。
   
だから、先にも書いたけど、交換前と交換後のスプリングの特性の違いやマッチングを正しく確認したいなら、プリロード荷重は同じ値にしておく必要がある。この事に気づいている人は少ない。
   
食べ物で例え話をすれば、食材をいつもより高級にして味わいの違いを較べたければ、いつもと同じ調理方法で較べる必要があるのと同じ。
プリロード荷重を変えてしまう事は、高級食材にして香辛料も一杯使ってしまう様なもので、変更の良し悪しの比較はとうてい出来ないからだ。
中には、交換前後のスプリングの長さの違いに合わせて、内部の部品(カラー)やアジャスターを調整して、セット時に縮める量を一緒にしている例もあるけど、それも正しいとは言えない。
   
なぜなら、スプリング毎にスプリングレートは違っているから、同じ縮め量にしてしまうとプリロード荷重は交換前後で一緒にならないからだ。
 
正しくは、交換前後のスプリングのレートと縮め量から、同じプリロード荷重になる様に縮め量を求めて調整する必要がある。
 
【 1G' 車高 】

ここで言う 「1G' 車高」とは、乗車時のフロントサスペンションの長さ(縮み量)であり、フロント部の“高さ”を表す概念で、その車高とリアの車高とのバランスが変わるとオートバイの挙動は変化する事を覚えておいて欲しい。
だから、スプリング交換の前後で フロントの「 1G' 車高 」の値を同じに揃えなければ、前後の車高バランスの変化で操縦性の変化が表れるので、スプリング交換後に操縦性の“違い”を感じても スプリングの特性変更の影響とは言えないのだ。
   
【 フォークオイル と 残ストローク 】

フロントスプリングの交換に合わせてフォークオイルを交換する事は多いけど、そのフォークオイルの量をマニュアル通りにメスシリンダーで計測して交換したり、マニュアルが指定の油面高さに調整している誤った作業例が多いようだ。
   
フォークオイルの量はフロントフォーク内の空気の量を決める為にあるものだから、空気の量が違ってしまうとそれだけで操縦性に影響を及ぼすので、空気の量を変えない様にオイル量の調整が必要になるのだ。
つまり、交換前後のフロントスプリングの体積差の分だけオイルの量も変更する必要がある。体積は計測し難いので、スプリング毎に重量を測り、重量の差とバネ鋼の比重(一般に 7程度)から体積差を算出してオイル量を調整する必要があるし、フォーク内部のカラー等を変更する場合にはその体積差を考慮したオイル量調整が必要になる。
   
その上、フォークオイル交換後のエア抜き作業を厳密に行なったとしても、細部にからまったフォーク内部のエアを完全に抜くのは難しいから、油面調整だけでは十分に対処はできない。
   
そこで、そんなフォークオイル交換作業でお勧めの方法が 「残ストローク」で調整する方法だ。
「残ストローク」とは、フロントフォークが最大限に縮んだ時のフォーク長さの事で、その最大ストローク(フルボトム)の時に、フロントタイヤの安定性を失わない為に必要な「トレール量」を最適に確保するのに必要な値だ。
「残ストローク」の計測は、インナーチューブにマーカーをセットした後に急ブレーキなどでフルボトムさせた時のマーカー位置で測れるものだ。(正立式フォークと倒立式では多少異なるが・・)
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この「残ストローク」の値はオートバイ安定性、特にブレーキングや路面ギャップなどで大きくフロントフォークが縮んだ際の安定性の確保するのに重要な要素(最低限界トレール量)の管理に欠かせないので、プリング交換の前後で「残ストローク」の値が同じになるように、実際に計測しながらフォークオイルの抜き差しをして調整する作業も欠かせないものだ。
   
そうやって、ここまでの作業を行なった後で、ようやくスプリング変更の本当の価値やマッチングが確認できるのだ。
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妖怪  VTR 250 の場合には、「1G' 車高」は 約 100 mm、「 残ストローク量(フルバンプ時)」は 約 43 mm という経験値があるので、スプリングの変更をする時には常に「プリロード荷重」を含めて、それらの値が同じになるように必ず調整してからスプリングの評価をしてきた。
    
「1G' 車高」からフルバンプの「残ストローク」までの間のサスペンション長さの変化の仕方は、装着したスプリング毎に違った特性を示すから、「トレール量」の変化の仕方も違うし、当然 スプリングによって操縦性や安定性が違うので、この「1G’ 車高」と「残ストローク」までの間の挙動でスプリングを評価している。
 
そうやって、VTR250で出会えたスプリングが 「 51401-NKD 」という事だ。
 
では、また改めて。

   *    *    *    *    *    *    *

※ NPO法人GRAが開催するイベント 『 GRAのセッティング講座 』
    下記の通り紹介しますので、ぜひ利用してください

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フロントスプリングデータ 見本 と 概論

   
オートバイのセッティングをする上で、エンジンを除けば、一番やっかいなのはサスペンションのセッティングです。
そして、サスペンションのセッティングで一番難しいのは “ スプリング ” の選定です。
 
 
【 サスペンションの本質 】
 
有名ブランドのサスペンションへ換装する人達の多くが誤解している事ですが、サスペンションの本質は “ スプリング ”(バネ)なのに、「 ダンパー 」(減衰装置)の切替段数の多さは本質とすべきでありませんし、まして 「ブランド名」や「金属光沢や塗装」は本質ではありません。
 
スプリング ごそが “ 衝撃緩衝 ” の主役ですから、本来ならば 自身の体重や体格、走行条件などに合わせて 適切な スプリングレート (バネ定数)の スプリング を選択する事が 最も重要な事です。


【 スプリングの選択方法 】
 
その選択方法は、フロント および リア サスペンションと共に、実際に装着して乗って確かめるしか確実な方法はありません。
 
その際、リアサスペンション の スプリング 選択は比較的簡単です。
適当と思われる 数種類の レート のスプリングを手配しておき、順次 比較試乗すれば 必ず ベストに近い レートのスプリングは 見つけられます。
 
ただし、フロントサスペンション の スプリング は 難易度が一気に高くなります。
何故なら、フロントサスペンション は リア 以上に 様々な要素が求められている上に、ライダー自身が 直接手でサスペンション からの様々な意思(多くは微振動で)を感じ取っていて、その大小や特性によって ライダーの 感情や身体に影響して、ライディング自体が左右されてしまうからです。
    

Spring_spec_a20161013
機会を改めて解説する予定ですが、この表は 私自身が所有する フロントサスペンション用スプリングの内、一部のスプリングのデータです。
 
スプリングレートは、本来ならば スプリングテスターで計測するのが最善ですが、所有していない為、すべて 計算で求めた “ 概算値 ” です。
また、初期の レートから 二次レートへと変わる “ 変換点 ” も、私なりの計算方法による値であり、実際に装着して試乗する際の参考値になるものです。
 
では、いつか サスペンション と スプリングの話、特に フロントサスペンションについて解説したいものです。
 
ただ、その前に、「 安定限界トレール(量)」の理解が必要になりますので、それが最初になりますね。

では!

    *    *    *    *    *   *

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リアブレーキ周り、基本的(?) 整備・アレコレ

 
人間も機械も、ストレスの少ない環境の方が良い働きをする。
ストレスばかりでは、一時は良く(?)ても、やがては壊れてしまう。

それは、オートバイも一緒だ。
一つひとつの部品は、あるべき正しい位置に収まり、
動く部品(可動部品)はストレス無く動くべきなのだ。

だから、オートバイを整備ではストレス除去が一番大切と言える。
そして、ストレスの最大手の一つがフリクション(摩擦)だ。
フリクションがあって良い部品はタイヤぐらいだから、
基本整備の殆どはフリクション除去作業だと言ってよい。
   
 
 
【 リア ブレーキ周りの基本整備 】

整備車両は、練習用に導入している ホンダVTR。

当然、定期的に ブレーキ液(フリュード)の交換やキャリパーピストンやスライディングピン等の清掃&給脂(グリスアップ)、マスターシリンダーの内部ユニット交換(通称:オーバーホール)は行なっているが、人間(ライダー)のブレーキ操作に対して、もっと繊細な反応・タッチが欲しくて行なった整備を記録する。
 
先ずは、VTRの リアブレーキ周りをステップホルダーごと車両から取り外す。
  20160508_web800 
VTRの場合は、一般的な車両の形式と異なり、ステップホルダーはスイングアームのピポットシャフト(軸)の固定を兼ねているから、少し大げさだ。
 
ステップホルダーごとに外したブレーキ周りは、以下の部品の構成だ。
  20160508_web800_03 
リアブレーキ周りを整備する際、煩わしくなるのが ブレーキランプスイッチへと繋がるコード(電線)だ。取り外してしまうのが普通だが、後で装着して、位置調整をするのが面倒(?)なので、今回は切断した。( 赤の丸印内 )
 
ここで判るのは、リアブレーキペダル  が取り付けられている ピポット(軸)部に、ペダルの適切な動きを助ける為の、固定用のサークリップが無い事だ。
 
右側への転倒歴がある車両の場合、固定用サークリップ部に大きな力が加わり、脱落する例は珍しくない。
当然、この車両も何度も転倒させているから、正しい位置決めの為に装着が必要だ。



【 フリクション除去作業 】

では、今回の整備の目玉、フリクション除去作業を紹介する。
 
リアブレーキペダルの操作で、最も無駄なフリクションが発生するのが、先ほど出てきた、ブレーキペダルを固定しているピポット(軸)部だ。
 
一般的な整備であれば、ピポット部の清掃&給脂(グリスアップ)だが、更にフリクション除去を目指して、ピポット部を鏡面研磨処理を施す。
  20160508_web800_05    
ブレーキペダルを踏み込んだ際、必ず部品同士が擦れ合う場所だから、デコボコした表面で擦れ合うより、鏡の表面に見える程に平滑になっている方が良いからだ。
  20160508_web800_07 
上の画像で赤い円の内にあるのが研磨後のピポット部。
同様に、ピポット部と触れ合う、ブレーキペダルの取り付け穴の内部も鏡面研磨処理をする。



【 その他の整備作業 】
 
今回、鏡面研磨作業が有効な他の箇所は、ブレーキペダルからマスターシリンダーへ繋がるロッド(押し棒)の固定部、そして そのロッドとシリンダーユニットが接する球面部だ。
   
同時に行なった一般的な整備作業、「 マスターシリンダー のオーバーホール」
  20160508_web800_04   
そして定番の作業、「 ブレーキキャリパー のオーバーホール 」の作業。
    20160508_web800_11   
これらの作業にもフリクション低減の工夫はあるが、それは次の機会に。
 
 
 
【 作業結果 】

作業開始時刻が夕刻で、撮影記録なども行なった為、テスト走行は翌週に。
 
が、指でブレーキペダルの操作をすると、確実にフリクションは減っている。
(指で)踏み初めは、余分な抵抗感無く、すっと動きだして、戻し用のスプリングの反力だけ。そして、シリンダーを押し始めてから実際にブレーキが利き始める迄の間がとても短くなっている。シリンダーを押す作業以外に、余分なフリクション(摩擦)で浪費される事が無くなったからだろう。
 
そして、実際のライディングで重要になる、ブレーキペダルを戻していく動きにもリニアに反応をしているから、テスト走行が楽しみだ。
 
 
 
【 備考 】

実は、リアブレーキ以上に、フリクション低減処理が効果的なのが フロントブレーキ周りの 鏡面研磨処理を含む基本整備だ。
その理由は、手の方が足での操作よりも何倍も繊細な感覚・神経系を備えているから。( この作業内容も、次の機会に ♪ )
   
ブレーキペダルのピポット部は 、転倒により必ず歪が発生するから、本来ならば 歪が最も少ない新品ペダルに交換して、転倒による変形を防ぐ為に、足で踏みこむ部分をオフロード車の様に可倒式へと加工するのが良いだろう。
 
最後に、切断した ブレーキランプスイッチ へのコードには、カプラーコネクターを新設したので、次回からの作業が楽になる。
   
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    *    *    *    *    *   *

※ NPO法人GRAが開催するイベント 『 GRAのセッティング講座 』
    下記の通り紹介しますので、ぜひ利用してください
 
『 GRAのセッティング講座 』
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安定限界トレール量、知っていますか? ( その2 )

   
この講義の主題は 「安定限界トレール量」です。
 
それは、オートバイの理解だけでなく、ライディングやセッティングの理解にも大変に役立つ事です。
しかし、この大切な要素を正しく捉えようとせず、多くの専門誌は、昭和30年代から続く古い理論にしがみついている様に見えるのは残念な事です。

では今回は、「安定限界トレール量」はタイヤ自体が向いている方向へ進もうと(直進)する力、つまり「直進安定性」(方向安定性とも言う)との関係から解説します。
 

 
【 トレールと直進安定性の神話 】

オートバイの解説本や資料には、「トレール量が大きいと直進安定性が高い」とか、「アメリカンタイプのオートバイは直進安定性を高めるためにトレール量が大きい」などとよく書かれていますが、果たして、これは本当でしょうか?
   
構造を簡単にした図で考えてみましょう。
Trail_0002_web700aこれらの図は、台車などで使われる二種類の車輪です。
   
(A) の形式の車輪は、台車に固定された “ 回転軸 ” (この軸を中心にして車輪の向きが変わる)が車輪(車軸)の真上にあり、回転軸の延長と地面が交わる点と車輪の接地点が同じために、トレール(量)は 0 です。

一方、(B)の形式では、トレール(量)が常に確保されます。
そのため、(A) の形式では 車輪の向きが安定しませんが、(B)の形式ではトレールがついているので、車輪の向きはとても安定します。
これらは、実際の台車でも応用されている事で、真実の事実です。

しかし、オートバイの場合では、トレール(量)と「直進安定性」は 台車の場合とは異なるのも事実です。それを次の項で証明しましょう。
 

 
【 トレール(量)が 0 でも、直進安定性は確保している 】

では、同じ台車でも少し形を変えた (C) の形式を見て下さい。
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上図 (C) の形式では、トレール量は 0 ですが、キャスター角がついている為に、高い直進安定性が保たれています。
 
イメージとしては、自転車のホイールを棒を使って転がす “ 輪回し ”(タガ廻し)の直進安定性と良く似ています。
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つまり、キャスター角がつけてあれば直進安定性は保たれ、その場合にはトレール(量)は 0 でも真っ直ぐ進めるのです。

したがって、「アメリカンタイプのオートバイは直進安定性を高めるためにトレール量が大きい」というのは “ 神話 ” だと言えるのです。
 
 
< 雑考 >

・・ そもそも、比較的低速での走行が多い アメリカンタイプ が「 直進安定性 」が大切で、超高速で走る事が前提の レーサーレプリカタイプが 直進安定性 が少なくても良いという様な考えはどうでしょう?
   
・・ どんなタイプの車両であっても、「直進安定性」は一定以上確保されるべきですし、同様に「旋回性」も一定以上必要です。まして、普通の人が乗る一般車両であれば、安全性や実用性、快適性を高い次元で求められるので、尚更、車両のタイプに関係無く、「直進安定性」や「旋回性」は十分以上に保たれているのです。
 
・・ 違いがあるとすれば、その性質・特性・性格にあるのです。     *   


    *      *     *     *
 
次回(その 3)では、【 実は! オートバイには大切なトレール(量)】(仮称)という項目名で、自動車や競技用車いすとの比較を交えて、オートバイで必要なトレール(量)の役割を解説する予定です。

乞う、ご期待 です ♪

 

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「安定限界トレール量 知っていますか?」 執筆進行中 !

   
普段は全く意識していなくても、オートバイは走る。
間違った知識に染まっていても、オートバイは走ります。

でも、本にも書いていない様な、正しい知識が身に付くと、
ライディングやセッティングの正しい理解が見えて来ます。

言葉を選び、解説図を作成しつつ、現在進行中です。
   

Caster_guide_aweb700 

    *    *    *    *    *   *

※ NPO法人GRAが開催するイベント 『 GRAのセッティング講座 』
    下記の通り紹介しますので、ぜひ利用してください
 
『 GRAのセッティング講座 』
http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html

   

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安定限界トレール量、知っていますか?


【 誤解と神話だらけのオートバイ 】

「 トレール量 」は、オートバイのライディング(運転操作)やメンテナンス(整備)、セッティング(調整)を行なう上で、最も大切な要素の一つです。
少なくとも、「 エンジン出力 」や 「 ハンドル切れ角 」、「 足付き性 」、「 キャスター角 」などよりもずっと重要と言えます。

何故なら、「 トレール量 」はオートバイの操縦安定性や旋回性、安全性や楽しさに、どんな場面でも影響を与えているからです。

しかし、専門書を読んでも「 トレール量 」については型通りの説明しかありません。

つまり、「 トレール量は、ステアリング回転軸の延長線と路面が交わる点と、タイヤの接地点の中心までの長さで、直進安定性とハンドルの復元力に影響して、トレール量が多いと直進性が高まり、ハンドルの復元力が強くなる 」というレベルで書いてあるだけです。

それは、オートバイの事を理解する立場から見れば、100点満点中 50点以下の採点になります。
Trail_img_1web800
オートバイ雑誌ではそれ以上に酷く、「 トレール量 」の大切さを語らず、「キャスター角 」神話とも言える程にキャスター角に焦点を当てた解説が氾濫しまかり通っている状態です。

雑誌(ライター)曰く
「 前輪に荷重を与えて、フロントフォークを縮め、立ったキャスター角が前輪の旋回性を高め ・・ 」 とか、
「 フロントフォークの突出しを増やすと、キャスター角が小さくなり、フロント荷重による旋回性能が高まり 」などと、物理法則を無視してイメージのみで語り、多くの読者(ライダー)も同様な理解をしている程、オートバイを正しく理解して楽しく乗る事からは遠く離れている状態です。

 
トレール量、特に 安定限界トレール量は、オートバイを楽しく乗り、正しく整備するのに欠かせない大切な事ですから、同じタイトルで何回かに分けて解説をしていきますので、次回を楽しみにして下さい。

※ 図中の 「妖怪講座」は、GRA公式Webサイトの下記ページで確認ができます。
http://gra-npo.org/magazine/writing/guidance_wr.html



   
 

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