カテゴリー「 オートバイとの接し方」の記事

2024年4月28日 (日)

テレスコピック形式フロントフォークとBENDA方式 / Telescopic front forks and BENDA system

source : Cycle World Magazine
https://x.gd/yHZ02

 

次々と意欲的なデザインの車両を発表している、中国の BENDA Motorcycle が新たに発表した「BENDA Napoleon 250」を先ずは見て下さい。

First of all, take a look at the newly announced "BENDA Napoleon 250" by the Chinese company BENDA Motorcycle, which has continuously released vehicles with ambitious designs.


この記事を見た時、最も注目したのは サスペンションの形式がとても変わっている事です。特に、フロントサスペンションは、殆どのオートバイで採用されている「テレスコピック」形式のフロントフォークではなく、一見、「ガーターフォーク」の様に見える形式です。

What caught my attention most was that his suspension style was very unusual. In particular, the front suspension is not the "telescopic" type front fork that is used on most motorcycles, but rather a type that at first glance looks like a "garter fork."


ところが、画像を詳細に眺めてみると、通常の「テレスコピック」形式のフロントフォークに、片側 2本の構造材(ロッド)と ダンパーを装着した形だと判りました。ただ、問題なのは、この「BENDA」方式にどんなメリットがあるのかです。ですから、この「BENDA」方式のメリットと、通常の「テレスコピック」形式の欠点を考察してみました。

However, upon closer inspection of the image, we found that it was a normal "telescopic" front fork with two structural members (rods) on each side and a damper attached. However, the question is, what kind of benefits does this "BENDA" method have?So, I decided to consider the benefits of this "BENDA" method and the drawbacks of the regular "telescopic" format.



最初に考えたのが、通常の「テレスコピック」形式の欠点の払拭を狙った形式なのか?という事でした。 「テレスコピック」形式のフロントフォークの欠点は、剛性が決定的に不足している事です。その為、上の左の図で示した様に、アクスルシャフトが前後に常に揺れてしまいます。
では、「BENDA」方式は? と、期待を込めて解析してみると、多少効果はあるものの、実際には欠点克服には至っていないと思われます。構造を確認しましょう。通常のテレスコピック型のフロントフォークの内部にはスプリングが入っている筈です。そして、フォークの伸縮に合わせて、ロッドA とロッドBの角度が変わり、ダンパーユニットで無駄なリバウンドを吸収する形式ですから、路面からの衝撃の一部がロッドに伝わるものの、フォークの縦方向の剛性への寄与は大きくないと予想されます。

The first thing I thought was that this type was designed to eliminate the lack of rigidity, which is a drawback of the regular "telescopic" type. That's what it meant. With the telescopic type, the axle shaft tends to constantly swing back and forth, as shown in the diagram on the left above.
I tried to analyze the "BENDA" method with high hopes, and although it is somewhat effective, I don't think it actually overcomes its shortcomings. Although some of the impact from the road surface is transmitted to the rod, it is not expected to contribute significantly to the longitudinal stiffness of the fork.




次に考えたのは、「テレスコピック」形式のフロントフォークの最大の欠点である、フォークの整列が乱れ易く、その結果、旋回時のフロントフォークの伸縮により、右旋回と左旋回では操縦特性に違いが生じ易い事の解消効果です。これは、リンクが前後方向へ張り出している為、明らかに整列を乱す様な外力に対する剛性が高く、きっと効果はあると思われます。しかし、これだけの構造物を付加して、フロントフォーク内には潤滑用のオイルも入れて、重量的にもコスト的にも、相応のメリットがあるかと問われれば、大きな疑問が残ります。

この様に、「テレスコピック」形式のフロントフォークは、簡単な構造で製作が容易で、しかもフォークの伸縮によって「トレール量」を適度に変化させる事も容易で、更には、剛性の低ささえもライディングの容易さに感じさせている事が多くの車両で採用されている最大の理由でしょう。しかし、「テレスコピック」形式を超えるフロントフォークの形式は数多く考案されており、そういう形式を眺めるだけでも “夢” や “妄想” が広がってしまいます。

Next, I considered the biggest drawback of the "telescopic" type front fork, which is that the alignment of the fork is easily disturbed, and as a result, the front fork expands and contracts when turning, resulting in poor handling characteristics when turning right and left. This is the effect of eliminating things that tend to cause differences. This is because the links protrude in the front and back direction, so it has high rigidity against external forces that would obviously disturb the alignment, so it is sure to be effective. However, if you ask me whether adding this much structure and including lubricating oil in the front fork has any merits in terms of weight and cost, a big question remains.

In this way, the "telescopic" type front fork has a simple structure and is easy to manufacture, and it is also easy to change the "trail amount" appropriately by expanding and contracting the fork, and even the low rigidity makes it easy to ride. The ease of use is probably the biggest reason why it is used in many vehicles. However, many front fork formats that exceed the "telescopic" format have been devised, and just looking at such formats can fill you with dreams and delusions.

 

 

 


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2023年10月27日 (金)

2019 EICMA、魅力的なBST電動バイク

Cycle World Magazine 伝、
https://www.cycleworld.com/bst-hypertek-electric-first-look/?fbclid=IwAR08T3P92sMMs9lZ-FqNoBoHNFnsGryrfOv2w4y9lWfcCUM4Evowqpxt28Y


2019年 11月、イタリア・ミラノで開催されるショウ・EICMA用に作られた、優れたスタイリングの電動バイクです。デザイナーの Perre Terblanche が レース用&公道用のフルカーボンホイールを先駆けて発売した BST社( BlackStone )の CEO Gary Turner が協力して製作した車両です。

4年前の作品にも関わらず、一般的な電動バイクの多くが従来からのデザインから抜け出せない中、その特徴を活かした、直ぐに欲しくなる程に魅力的なスタイリングです。


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ただ、記事にも書かれている特徴、急加速時のリアスクワット(沈み込み)を防止する働きとして、スイングアームの上下を走る駆動ベルトをアームと平行にする仕組みが組み込まれています。しかし、これは多くの二輪エンジニアの誤解による産物です。例え、駆動ベルトを並行にしても、通常のスイングアーム形式に於いて、駆動力でアクスルシャフトが路面と平行移動する事で車体が前進する原理が変わらない限り、適切なメカニズムではありません。その上、記事中に「リアサスペンションをフリーズさせる効果」とありますが、それはグリップを著しく失う事に繋がり、全くナンセンスな解説です。


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2023年4月 6日 (木)

6月の “セミナー” 開催予定が、今日、決まりました! / The rescheduled date for the seminar in June has been decided!

  
”セミナー”では、オートバイの整備からセッティング、ライディングを、メカニズムと物理法則に基づいて、詳しく解析を行なっていますが、6
月の開催日が決まりました。詳しくは、公式 Webサイトをご覧ください。

The "Seminar", in which motorcycle maintenance, setting, and riding are analyzed in detail based on the mechanism and physical laws, has been rescheduled for June.

 

【 GRA 開催イベント情報 / Event Information 】
https://gra-npo.org/schedule/schedule/kinjitu/kinjitu.html

 

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『 セミナー ページ / Details 』
https://gra-npo.org/schedule/M%20&%20S_seminar/seminar_top.html




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2023年1月24日 (火)

コラム『 “グリップ力” を高めて走れ 』(仮題)の公開に向けて (解説図作成・その1)

 
タイヤの “グリップ力” を大きくする事は、安全性や操縦性を高めるのに効果がありますが、それを高めるにはグリップ性能が高いタイヤに交換する他に、幅の広いタイヤへの交換やタイヤの空気圧を下げるなど誤った理解で行なわれている方法もあります。

“グリップ力” は(動)摩擦力だと考えられますので、方程式「摩擦力 = 摩擦係数 × 垂直抗力」から、“グリップ力” は 摩擦係数とタイヤへの荷重の積になります。
この時、摩擦係数は路面とタイヤの関係で決まりますので、それらの組み合わせが変わらなければ、タイヤへの “荷重” によって “グリップ力” は決まる事がわかります。

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この “荷重” と “グリップ力” の関係はどんな時でも変わらない大切な法則で、特にグリップ不足が転倒を招くリスクのあるオートバイの場合、この法則を理解して “グリップ力” を高く保つライディングがとても大切です。そして、「 “グリップ力” を高める走り」の肝(キモ)は、“グリップ力” の大きさは走らせ方一つでとても大きく保てるし、逆に小さくなってしまう走らせ方もあるという事で、それがライディングの上手下手や安全性に一番大きく影響しているのです。

次回作成の解説図では、前後タイヤ への “荷重” の総和(合計)が大きく出来る走らせ方と、よく見掛けるのですが、逆に大きく出来ない走らせ方を解説する予定です。(乞うご期待!)




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2022年6月21日 (火)

7/2 開催の “セミナー” のテーマは、「タイヤの特性とオートバイ」です


2022年7月2日(土)の『 GRAの オートバイ・なんでも “セミナー” 』は、「タイヤの特性とオートバイ」を基本テーマに、参加した方の 提案や質問を織り交ぜて進めていきますので、どうぞ、一緒に勉強しましょう。

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タイヤは、オートバイに路面と接する唯一の部品で、加速や減速、コーナリングなど、どんな場合もオートバイの動きに必要な大切な部品ですが、「溝は充分に残っているからまだ大丈夫」とか「空気圧はちゃんと入っている」としか注目せず、意外とその大切さを忘れられがちだったり、どんな時も性能を発揮させる為の整備やセッティング。ライディング方法についてなど、あまり考慮されていない部品の一つです。

“セミナー”では、「ベストな空気圧は?」に始まり、「タイヤの選び方」、「すべらないタイヤ」から「グリップ力を高めるには?」など、タイヤの性能を充分に活かして、オートバイを気持ち良く安全に走らせる為のライディング方法まで一緒に勉強したいと考えています。

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2022年4月23日 (土)

コラム記事・『 その見方、考え直しませんか?』、執筆中です


『 前を見て!』

人には「前を見る時は、顔を上げるべきだ!」という固定観念があります。そして、日本では見た目で判断されやすいのか、顔をあげていないと良くない印象があるのか、授業中に注意されたりします。
そして、オートバイの運転でも、特に安全運転講習と銘打った会場では、受講者の顔の向きをチェックして、インストラクターの「前を見て!」という声がよく響いています。しかし、これは危険な事だと僕は考えているのです。

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そう考えている理由は二つあります。 一つは「顔を上げると、視野が狭くなるから」、二つ目は「バランスが崩れるから」です。

 

 

『 水平視野を広く 』

オートバイの運転で大切な視野は「水平視野」だと思います。道路の上を走り続ける限り、対向車や自転車・歩行者も道路の上を移動している限り、一番大切なのは道路上を見回す「水平視野」です。そして、顔を上げている状態が一番「水平視野」が広いとは限らないのです。

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個人差はありますが、頭を少し前傾させている状態こそが、左右の視野が広がるので、60 ㎞/h 以下の一般道では安全だと思うのです。

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『 バランスが大切 』

バランスと言っても、他人が見た時のバランスではありません。 オートバイを運転中は、頭を無暗に振って左右を確認すると、大切なバランスを崩して進路を乱しやすいという事。これは、ライダーなら殆どの人は体験済みでしょう。

ただ、インストラクターや採点教官が居る会場では、とてもバランスを崩しやすい 低速走行時や、タイヤへの荷重が抜けやすい旋回中に限って、頭を振って顔を向ける事が求める “悪習” があるのです。



                    ******************


 以上の様な内容でコラム記事をまとめる予定ですから、もっとオートバイを上手に安全に乗りたい人はご期待ください。 なお、このコラム記事は、【オートバイの基本講座】の “体” カテゴリーで最初の記事になる予定です。 ようやく、このカテゴリー記事も始められそうです。


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2022年3月26日 (土)

鉛筆の選び方、オートバイの選び方 ( 鉛筆とオートバイ シリーズ第3編 )


  ・・ 先に書いた記事(第2編)が分かり難いという指摘を受けた。
   実際、改めて読み直してみると、やっぱり、分かり難かったので、追加で説明したい。



『 オートバイの “芯” の硬さ 』


では、多くの人は鉛筆を選ぶ時、シャープペンシルの芯の選択と同様に、一番書きやすい芯の硬さを選ぶ。一般的に、「HB」を基準にして、書き味や文字の印象が柔らかいのが好みの人は 「B」から「1B」、「2B」へと芯が柔らかい鉛筆を選ぶ。 そして、書き味と文字の印象が硬めが好みの人は 「F」から「H」、「1H」へと芯が硬い鉛筆を選ぶ。
とは言っても、人によって筆圧も違えば書き味の好みも違うので、「B」で硬いと感じる人もいれば、「2H」でも柔らかいと感じる人がいる。つまり、基準を参考にしながら、一人ひとりが手の大きさや体力、何に書くかに合わせて選ぶのが一番大切だ。


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そんな鉛筆の芯の選び方はオートバイの選び方と同じだ。つまり、低速域から乗り味が柔らかい乗り味が好みの人は “芯” の柔らかいオートバイを選ぶべきだし、多少乗り心地が硬めでも高速域でしっかりとした手応えのある乗り味が好みの人は “芯” が硬いオートバイを選ぶべきなのだ。 そして、オートバイメーカーは、鉛筆の場合と同じ様に、販売するオートバイ毎に“芯” の硬さを表示すべきなのだ。
  
鉛筆の場合、好みと違っていて、思った様な文字が書けなければ買い替えれば良いが、高額なオートバイの場合には、簡単に買い替えれない。しかも、思った様に乗れなければ、楽しくないだけではなくて、オートバイを適切に使い切れない事になり、事故に繋がる危険性が高くなる。だから、“芯” の硬さに相当する基準をオートバイメーカーははっきりと示す責任がある。


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『 “芯” の硬さの見分け方 』


とは言っても、オートバイメーカーが自発的に責任ある行動を待っていても、よほど大きな社会的批難を受けたり、経済的メリットが大きくならない限りは簡単には変わらない。だから、購入する際にはオートバイの仕様書から以下の項目をチェックするのがお勧めだ。

  1. ホイール ストローク量
  2. 車重
  3. 最高速度
  4. 乗車定員
  5. 主な用途

 

1. 「ホイール ストローク量」とは、サスペンションの働きによって、前輪と後輪が上下方向に移動できる量の事で、車体設計時に決めてある量だ。良識ある情報サイトでは mm単位で表記されているので、それを確認して、前輪では 130㎜ 以上、後輪では 140㎜ 以上あればストローク量は長めの設計になっていて、一般的にスプリングレートは低目で、乗り味は柔らかく感じられる。
  
2. 「車重」は、乾燥重量で 160㎏ 以下、装備重量で 180㎏ 以下の車両であれば車重は軽い部類に入り、軽い程に スプリングレートは低く、当然、乗り味も柔らかく感じられる。
  
3. 「最高速度」も車両設計時に決まっていて、速度が高ければ高い程(速度比の2乗に比例して)路面からの衝撃が大変に大きくなるので、最高速度が高い車両ほど スプリングレートが一気に高くなっていて、乗り味はとても硬く感じられ、100㎞/h 以下、中速以下では乗り味はとても硬く感じられて、車両のコントロールが難しい場面も増えてくる。
  
4. 「乗車定員」は 1人乗り用か、2人乗りが可能になっているかで、当然、車両重量の場合と同様に、1人乗りで設計された車両の方が スプリングレートは低く設計され、乗り味も柔らかくなる。

5. 「主な用途」は、高速道路など高速走行を主な用途として設計されているか、オフロードなど舗装路以外の路面での使用を主に考えて設計されているかで、当然、高速走行が主な用途の車両の方が スプリングレートが高く、乗り味は硬くなる。
   
以上 5項目を確認すれば、その車両の乗り味が 硬いのか、柔らかいのか判断する際の有効な指標になる筈だ。

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『 “芯” の硬さの変更 』


とは言っても、好きになってしまったオートバイだったら、「乗り味は硬い筈」と判っていても、購入したいのは人情だ。それに、既に購入済みのオートバイの乗り味に悩んでいる人の為に、購入後に出来る “芯” の硬さ変更の方法を紹介すると以下の通りだ。
  
  1. スプリングの変更
  2. 主要なボルトの締結トルクの変更
  3. プリロード量(イニシャル荷重)の変更

 

1. 「スプリングの変更」は、最も確実な “芯” (乗り味)の硬さの変更手段で、この方法が正真正銘の王道であり、それ以外の方法は便法と言える程だ。だから、リアサスペンション ユニットを交換する際には、必ず数種類のレートのスプリングを用意して、最も体格や体重、感性に合うスプリングレートのスプリングを選ぶのが当然と言える。スプリングの選択や交換が容易な社外製のユニットだからこそユニット選択の価値があると言っても過言ではない。

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また、同様に、フロントスプリングについても数種類のスプリングを用意して、最適な乗り味の硬さが選べる。 ただ、特にフロントのスプリング選択は、よほど優れたエンジニアの方がいないと最適スプリングと巡り合えないかも知れない。

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2. 「主要なボルトの締結トルクの変更」は、前後のアクスルシャフトやサスペンション ユニットやリンクの固定ボルトの締付けトルクを、整備マニュアルで指定してあるトルク値から変更する方法だ。当然、作業と作業結果は各自が責任を持つ必要があるが、乗り味を柔らかくしたい場合には、指定トルク値から 10~30% 程度を目途に低くする手法は珍しくない。但し、ボルトのねじ山のケアは適切に行ない、ねじ山の汚れや変形、座面の歪みなどは最適に整備・修正するのが先に必要だ。

3. 「プリロード量の変更」は、簡単に誰にも出来る様になっているから、多くの人が知っている事で馴染みがあるから、「プリロード(イニシャル荷重)を調整すれば硬さも変わる」と思われているが、それはプリロード本来の意味を理解してないだけの事。便法としてのプリロード量の変更はあり得る程度に理解するべきだ。

 

 

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2022年3月22日 (火)

鉛筆の選び方、オートバイの選び方 ( 鉛筆とオートバイ シリーズ第2編 )


『 鉛筆の選び方 』

鉛筆の選び方を改めて考えてみた。
そこで、初心に帰った気持ちになって、国内2社と海外4社の有名な鉛筆製造会社の公式Webサイトを訪ねて、「鉛筆の選び方」を探してみたが、その製品の詳細な材質上の特性や製法上の特徴の説明も無く、数種類ある “芯の硬さ” 別の適した選び方の説明は全く見当たらなかった。

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まあ、良い。 かと言って、「鉛筆の選び方」で検索してヒットするサイトの多くがアフェリエイト付きのページの記事だから、収益目的で書かれたページを見る際の常識、半信半疑でしか参考にならない。そこで、個人の寄付と寄稿だけで運営されている Wikipedia で検索すれば、やっと、以下の様な詳細な表を発見する事ができた。

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小学生の頃から、「HB」とか「1B」で鉛筆を選ぶのが常識だったから、殆どの人は経験的に自分自身に合った「硬さ」は知っているとは思うけど、単価の低い商品だとは言え、高級鉛筆を謳うメーカーとしては疑問に残る販売姿勢だろう。

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『 オートバイの選び方 』

鉛筆に続いて、オートバイの選び方を初心に帰って考えてみたが、実は、鉛筆以上に問題が多い事に改めて気付かされた。それは、鉛筆の芯の「硬さ」選びの様に簡単ではなく、安全性に大きく関わる問題をメーカーが見て見ぬフリをしている結果だからだ。
   
一般的に、オートバイを選ぶ際には、オンロードタイプなのかオフロードタイプか、アメリカンタイプなのかスポーツタイプか、排気量や性能、配色、メーカー名、価格や近所の販売店、そして “ジャーナリスト” と言われる人による車両解説記事を参考にして決めるだろう。中には、僕の様に、車両重量、ホイールベース(前後の車軸間距離)、前後タイヤサイズ、トレール量、6,000rpm(回転)以下のエンジントルク特性(曲線)、前後サスペンションのストローク量 などを一番最初にチェックする人も居るだろうが、それはきっと稀だろう。
    
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では、これら全てを全部チェックすれば、確実に購入する人に適したオートバイが選べるかと言えば、全く情報や対応が不足しているとしか言えないのだ。それは、ライダーの身体に適しているのかどうかが全く不足しているのだ。それは、その車両の販売状態で、どんな “身長” や “体重” 、“足サイズ” 、“握力” の人に合わせてあるかが示されてないから、そのままの状態ではどんな身長や体格の人には適していないかを全く判断出来ず、購入後に適していない箇所に気付いたとしても、例えそれが要因となって事故を起こしたとしても “自己責任”、“運転操作のミス” と警察やメディアによって公式に扱われてしまうのだ。




『 無責任なメーカーとオートバイ関係者 』

これは全く奇妙で無責任な販売方法だと言うしかない。特に、その無責任さが表われているのが「対応する足サイズ」と「対応する体重や用途」が欠けている点だ。
まず「対応する足サイズ」の件は、殆どのオートバイは 少なくとも 26㎝以上の 足サイズの人の使用に適していて、23㎝ サイズの足の人ではステップを “土踏まず” に合せたままでは微妙なリアブレーキ捜査は無理だから、例えブレーキ操作用に足を移動したとしても危険な操作を強いる事になるが、メーカーの解説書では一切触れられておらず、足サイズ別に対応可能な部品の用意さえされていない。


【 足のサイズ : 27.5㎝ の場合 】

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【 足のサイズ : 23㎝の場合 】
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・・・ ( 靴の中では、指先がペダルに届いていない )

本来ならば、下図の様に、足のサイズに合わせられるペダルセットを装備するべきなのだ。

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次に「対応する体重や用途」の件は、オートバイが備えている運動性能を、低速域から高速域まで、安全に発揮する事を保証する “体重” や “用途” が示されていないので、適していない “体重” のライダーを危険な目に遭わせているのだ。
それが最も顕著な例は、欧州市場などで主流になっている排気量1000㏄以上の ツーリング・スポーツ車を 体重 50㎏ 程度のライダーが運転する場合だ。 それらの車両の多くは、体重 100㎏ 程度の人が二人乗りして、時には荷物を満載したまま、最高速度 200㎞/h 以上で走行しても安定性が破綻しない様に設定されている。そして、国内でも販売されているそれら車両の多くでは、欧州仕様の車体設定(主にサスペンション周り)を基本にしているから、体重 50㎏ 程度の人と積載物程度では、適切にサスペンションが作動せず、楽しく感じないばかりか、時にはタイヤのグリップを失いがちな不安定な挙動を我慢させられている。実際、そういう車両とライダーの組み合わせを嫌という程に開催するイベントで見てきているが、正しく安全性能を発揮できない事は完全に間違っている。

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本来ならば、体重や積載物の重量や用途別に、最適なレート(バネ定数)の前後サスペンションのスプリングをオプションで用意するか、或いは推奨するスプリングのレートを示すべきなのだ。
  
鉛筆という身近な題材を使って短くまとめるつもりだったが、日頃から溜まっていた事が多過ぎたのか、思っていたよりも長い文章になった。が、これらの事実をオートバイ関係者の多くが指摘しない事も問題だし、オートバイ販売や記事作成で利益を得る者達こそ最も責任を負うべきだと強く言いたい。


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2022年2月28日 (月)

オートバイは 2本足だ

   
よく使われる言葉に「鉄馬」がある。オートバイを馬に例えて、オートバイに乗る楽しさは、まるで馬に乗っている時の楽しさと大変によく似ていると言われているのだ。   「そんなんだ」と思いながらオートバイに乗っていると、不思議と馬に乗っている様な気分にもなった。でも、深く付き合う程に、オートバイは馬とは違うと思う様になった。
   
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僕は、オートバイは 4本足ではなくて 2本足だと思っている。人間と同じ様に 2本脚で、前に出した脚が前輪で、後の足が後輪だと考えると、タイヤ、つまり足裏のグリップを感じながら、滑らない様に進む感覚がよく理解できるのだ。 それだけではない。前輪と後輪の荷重配分を感じる感覚や、加速や減速で体重(車重)以上の荷重が足裏(タイヤ接地面)に与えられる事も簡単に説明がつくのだ。
  
それに、前後に足を開いたまま左右どちらかに身体を傾け時、人はバランスを取る為に前足を傾けた側にずらすけど、それはオートバイの前輪が自動的に切れる仕組み(キャスターアクション)と同じなのだ。

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そういう訳で、僕はオートバイは馬ではなく人間と同じだと思っているし、そう思う事でオートバイの事も深く理解できるし、適切な操作や整備に繋がっていると信じている。だから、実際に馬にも乗って楽しんでいる人には勧めないけど、是非、オートバイは 2本足だと思って付き合って欲しいと思っている。 間違いなく、馬よりも身近に感じられるからだ。


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2021年8月14日 (土)

旋回(ターン)の楽しさ、知らない人へ (1/3


『 人間は、旋回(ターン)を求める生き物 』


人間は、旋回(ターン)が好きな生き物だと思う。
例えば、スキーがそうだ。 斜面を真っ直ぐに滑って下るよりも、絶対、旋回を好きな所で出来るから、多くの愛好者がいるのだ。

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それは、スノーボードでも同じだし、サーフィンでも、スケートボードでも、旋回(ターン)ができるから楽しい。

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でも、滑った事が無いから分からない! という人は、「旋回、好き?」と言われても想像できないだろう。

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では、真っ直ぐにしか進まないジェットコースターや、回転せずに真っ直ぐに進むだけのメリーゴーランド(回転木馬)やコーヒーカップを想像してみて欲しい。そう、ただ座っているだけの乗り物なのに、旋回や回転をするから、誰でも自然に楽しくなるのがよく分かる。

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そう!  人間は旋回(ターン)をするのが楽しい生き物なんだ。

< つづく >


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GRA代表:小林の紹介

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