前後の車高バランス調整(1)/ オートバイとライダーのための “ クリニック ” より
『 前後の車高バランスとは 』
オートバイのセッティング(調整)と言うと、プリロードやダンパー(減衰力)の調整などに関心が偏っていますが、それらと同じ様に動的な車両バランスを整えないと、個々の部品の性能は正しく発揮できない事は広く知られていません。
この動的な車両バランスを整える要素の中で、一番重要なのが、前後のタイヤの動きを同調(シンクロ)させる「前後車高のバランス調整」で、リアタイアのグリップ力と安定性を確保する「リアの車高調整」に続いて、リアの車高とフロントの車高をバランスさせる作業が「前後の車高バランスの調整」です。
そして、この前後車高のバランスを整える事で、バンク時に前後のタイヤが同時に旋回を始められて、前後バランスの良い旋回姿勢へと繋げられるのです。つまり、前後の車高バランスを合せた後で、バンクさせて旋回中の、フロントサスペンションをストロークさせた時のフロント車高(トレール量)の調整へと繋げられるのです。
『 前後の車高バランスの確認方法 』
前後の車高バランスの確認方法は、低速(10㎞/hほど)で直進走行を行ない、ノーブレーキのまま特定の地点で旋回バンクさせた瞬間だけ、バンク角で5~10度傾ける瞬間、車体(リア)のバンク動作とフロント(ステアリング)の自動操舵(自然に舵角がつく)が同調しているかを確認します。
リアのバンク動作とフロントの自動操舵が同調(同時)するバランス点(転換点)よりフロントの車高が高いと、フロント(ステアリング)の自動操舵がバンク動作よりも早く表われ、逆にバランス点(転換点)より低いとバンク動作に一瞬遅れて自動操舵が始まります。
そして、この前後が同調するバランス点付近の調整は大変に繊細で、フロント車高 1mm 以下の調整でもはっきりと挙動で確認する事ができます。
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