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2019年9月19日 (木)

タイヤ から診る、ライディング (その1)

    
   GRAの公式Webサイト『 オートバイの基本講座 』に掲載前の記事です。
   計 3~4回に分けて、タイヤを診てライディングの検証を推奨する記事を掲載します。
 
 
『 タイヤを診ないで、ライディングを語るなかれ 』
   
「タイヤ」は、オートバイの中で一番大切な部品だ。
路面と接触しているわずかな面積、前後合わせてハガキ一枚分ほどで、走って曲がり、止まるの全てを担当しているからだ。
  
けれど、殆どのライダーはタイヤの働きに無関心過ぎる。
なぜなら、タイヤが一番大切な役割を担っている事を知ってるなら、ベテランや初心者ライダーを問わず、走行する度にタイヤのエア圧やタイヤ表面のチェックをする筈だからだ。
  
もし、あなたが、オートバイをもっと知りたくて、もっと上手に安全に走れるようになりたいなら、毎回のエア圧チェックと、是非、タイヤ表面の “ 摩耗痕 ” のチェック方法を覚えて欲しい。
そして、タイヤ表面の “ 摩耗痕 ” を診るだけで、ライディングの特長や癖を理解し、もっとタイヤの能力を活かした安全なライディングへ工夫を重ねて欲しいのです。
 
 
 
『 風紋 と “ 摩耗痕 ” 』
 
“ 風紋 ”(砂紋)は知っているだろうか。 砂丘などで、砂の表面が “ さざ波 ” 状の模様がついているのが “ 風紋 ” で、その名前の通り、風の力によって砂の粒が動かされ、あの様な模様が残る現象で、風の向きが一定している場合に、その風向きと 90度 の向きで残る事が知られている。
                                         Web1000_sandpatt                                                               
実は、タイヤ表面に残る “ 摩耗痕 ” も同じで、タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” によって波状の模様が “ 摩耗痕 ” となり、その向きは “ 摩擦力 ” と 90度 の向きになるのだ。



『 直立走行時の “摩擦力” 』

では、実際のタイヤで働く “ 摩耗力 ” を、一番簡単な、オートバイを直立・直進させている状態での説明をしよう。
 
Tire_friction_1a                                      
この図は、直立・直進時に、アクセルを開けて加速した際、タイヤの表面に働く “ 摩擦力 ” の方向を示した図だ。 加速させた時には、タイヤ接地面に、タイヤの回転方向とは逆の向き(反作用として)の “ 摩擦力 ” が働く。 そして、その “ 摩擦力 ” の向きは、タイヤの回転方向と平行だ。

( 文字で書くと難しく思えるが、図で見れば分かるだろうか )

   
では、次は、同じ直立・直進時でも、減速時(エンジンブレーキやブレーキ使用時)に働く “ 摩擦力 ” を見てみよう。
                                
Tire_friction_1b
アクセルを戻したりブレーキを掛けて減速し際は、加速とは逆の向きに力を作用させるので、タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” は、加速とは逆の向きに働く。 ただし、その働く向きは、直立・直進に変わりないないので、タイヤの回転方向と平行で変わりない。
   
ここまでは 理解できただろうか。
では、次は、この “ 摩擦力 ” でよって、どんな “ 摩擦痕 ” が出来るのか、図を使って説明しよう。
   
   
  
『 直立・直進時の “ 摩擦痕 ” 』

タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” によって出来る “ 摩耗痕 ” を、加速時と減速時の両方をまとめて描いたのが下の図だ。 加速時と減速時との違いが分かるだろうか。
 
Web1000_tire_friction_3    
“ 摩耗痕 ” は、風と風紋の関係と同じく、“ 摩擦力 ” の向きと 90度 の向きに、波状の模様として残る事は理解できるだろうか。 ただし、その “ 摩耗痕 ” の波の向きは、加速時と減速時とでは 逆 の向きになる事も理解できるだろう。
      
ここまでが、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” の説明だ。
もう分かると思うが、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” は、必ず タイヤの 中央部分 だけに残り、加速時の “ 摩耗痕 ” は、普通は、リアタイヤ だけに残り、減速時の “ 摩耗痕 ” は、減速の役割を多く担当する フロントタイヤ に残りやすい事も説明に加えよう。
 
  
< 検証 > ・・ 実際にタイヤを診て、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” を発見したら
 
  〇 タイヤの中央部に、回転方向と 90度 の向きの “ 摩耗痕 ” があったら、
    直立状態での 加速や減速 に、タイヤの能力をかなり使っている証拠
 
  〇 公道走行での “ 摩耗痕 ” なら、それ以上に “ 摩擦力 ” が働かない様
    注意する必要がある
 
  〇 また、急激な加速や減速を行なっていない場合は、タイヤの能力が下が
    っている可能性もある。タイヤのエア圧調整を行なったり、タイヤの
    劣化やタイヤ賞味期限を確認する必要がある
 
 
   * * * * * * * *

 
 
以上、『 タイヤから診る、ライディング 』( 直立・直進時編 )は 一旦終了。
次回は、オートバイをバンクさせている時の “ 摩耗痕 ” の解説の予定。
  
オートバイのライディングの醍醐味の一つ、バンクさせての走行は、楽しさを感じさせる時もあれば、怖さを感じさせている時もある。 その原因の解明や、楽しく安全に走る為の ヒントを、『 タイヤから診る、ライディング 』( バンク走行時編 )で解説しよう。
   
きっと、日本では、今までに無かった解説になると思うし、「 コーナリングブレーキ 」の他に、「 バンキングブレーキ 」や 「 リアステア モーメント 」などの要素も、今回以上に 分かりやすく解説して、タイヤ “ 摩耗痕 ” の診断からの ライディング 改善を 提案しよう。 乞うご期待。


< 解説記事 : 妖怪 小林

Web600_b_bb3_7c
http://gra-npo.org/lecture/ride/tire%20diagnosis/img_Tire%20diagnosis.html



 
 
 
 

 

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