バーエンド ウエイト、反省と考察
『 バーエンド ウエイトへの “反省” 』
バーエンド(ハンドル)ウエイト、左右のハンドルの端部に装着されている “ 重り ” の事だ。
それが、ハンドル周りの振動を抑えて疲れを軽くする為の部品(装置)だとは知っていた。 が、僕が乗ってきたオートバイの多くで、「 重いと燃費に も 悪いから 」と迷わず外してきた。
けれど今回、色々と試してみたら、疲れ防止だけではなく、乗り心地やタイヤの摩耗軽減にも役立っている事がわかったから “反省” をしている。
『 いつもの軽量化処理は 』
バーエンド ウエイト は、中型以上のオートバイの殆どで装着されているから、多くの人はグリップ外側の部品だけと思っているかも知れないが、実はそうではない場合が多い。
グリップ外側についている部品以外に、ハンドルの内部にもウエイト(重り)が制振(振動制御)用のゴムを介して装着されているのだ。
だから、ハンドル内部のウエイトを取り外すか、ハンドルそのものを更に軽い社外製品に交換して、バーエンドには万が一の転倒に備えて軽い樹脂製部品に交換してきたし、トライアンフ君にもその伝統的(?)処理をしていたのだ。
『 他人の評価は、いつも ・・・ 』
そんな風に細かな変更を施したオートバイは、いつも僕のお気に入りだったけれど、他の人に乗ってもらった時の言葉の多くは異口同音、何故か「怖い」だった。
天邪鬼な僕は「怖い」と言われる原因は、ステムベアリングからケーブルの取り回しなど、ステアリング周り各部のフリクション(摩擦)を減らす工夫を重ね、軽く思った通りにキビキビと走る様に調整をしているためで、“ 慣れ ” で解決する筈だとずっと考えていた。
しかし、車両のキビキビ感は不安定感とウラハラの関係。僕にとっても “慣れ”だけでは解決できない場面も少なくなく、不安定なステアリング周りの動きは我慢していたのだ。
『 バーエンド ウエイト作成記 』
いつまでもステアリング周りの不安定感を我慢していても先は長くない。不安定感を解決する為に、構想一日・作成一時間、バーエンド ウエイトを作成してみた。
自作して使っていたバーエンド(プロテクター)は、内部に制振用(振動や衝撃吸収)のゴムは入っているが、とても簡単な構造だから “ ウエイト(重り)” つけも楽だった。
適度な外径と重みのある ワッシャー(プレート)をウエイト用に購入して、そのワッシャー が外周方向へ遊ばない様に 位置決め用のカラーを作成して、それを組み立てただけだ。
ワッシャーでウエイトの代用をしたのは、とりあえず最適なウエイト(重り)を探ってから、最適なウエイトが見つかった後でウエイトを真鍮材から削り出す構想だからだ。
『 ウエイトの効果は? 』
最初はワッシャー を 5枚、ウエイト 60gの仕様で一般道の直進路を走ってみた。
最初に感じた効果は「乗り心地が良くなり、直進安定が性高まった」だった。
確かに、左右 60gずつ、合計 120g の重さが感じられるハンドリングにはなったが、それ以上に タイヤのトレッド面が路面にしっかりと当たっている感触が伝わってくるのだ。
この効果(変化)が出た理由を考えてみれば、フロントサスペンション周りの 余分な振動( X軸周りの )が減った為だろうという仮説を思いついた。
走行中のオートバイは様々な場所で様々な方向の振動をしているけど、その振動の中でフロントサスペンションの動きを妨げる振動を 新設バーエント ウエイトが減らしたのだろうと考えたのだ。
オートバイを正面から見て、左右のハンドル端部(バーエンド)がハンドル中央部を軸に回転するように上下する振動成分があり、その振動成分はフロントフォークのスムーズな伸縮を妨げる様に働く。 が、バーエンド ウエイトによって 様々な方向の振動が抑えられたので、その結果でフロントフォークの動作摩擦(フリクション)が減り、サスペンションの作動性が高まり、タイヤの接地性も良くなって、乗り心地やグリップ感の向上に繋がっているのだろう。
では、一番期待しているターン(旋回)に与える影響はどうだろう?
『 ターン中させた時の挙動は? 』
専用のテスト可能なエリアで、最初は 60g仕様のまま、直進状態からバンクさせてターンインさせた直後のステアリング周りの安定性を確認するテストを行なった。
その結果は、一般道・直進路で感じた時と同じく、「 重さは感じられるが、安定感は高くなった 」だった。
この効果が出たのも余分な振動成分が減ったためという仮説が考えられる。
ただ、今回の振動成分は、ステアリング(ハンドル)の回転軸を中心にハンドル端部が回転方向に振動する、ステアリング軸周りの振動成分だ。
このステアリング軸周りの 回転振動成分は、直立・直進走行している場合にはあまり気づかないけど、バンクさせる時にはオートバイに左右非対称な力を加えるので、左右の力のバランスが崩れた時には顔を出しやすいのだろう。
もちろん、バンクさせて暫くすれば、タイヤのトレッド面が路面との間で起こした振動は収まり、フロントフォークの上下振動も収まるので、そのステアリング軸周りの振動は収まる。
しかし、低速時やバンク角が大きい時には振動が発生しやすい。それなのに、今まではバーエンド にウエイト(重り)をつけていなかったので、ステアリング軸周りの振動成分が抑えきれず、フロントタイヤの方向安定性を減らし、タイヤのグリップ感を減らしてしまって、“ 怖さ ”を与えていたのだろう。
一度走った後、ウエイトを全て外して、昨日までの状態(ウエイト 0g)と較べてみれば明らかだ。 その不定感の違いは大きく、もうウエイト 0gには戻れない。
では、ウエイトは 何g にしようか?
『 48gか? 60gか? 』
次に、ワッシャー枚数を3枚にして、ウエイト 36gを試した。
確かに、ウエイト 0g の場合よりも安定感は増しているけど、不安定感をは一掃できずに残っている。もう少しウエイト増やす必要がありそうだ。
次は、ワッシャーを 4枚、ウエイト 48g で試してみると、ステアリング軸周りの回転振動もずっと少なく、バンク開始時の重さも不快に感じられない。
かと言って、60g の時の安定感は忘れ難いが、あのバンク開始時の重さ感は ・・・。
どちらにしても、ステアリングとフロントサスペンション周りと上手にバランスする最適なウエイトは見つかるだろうし、見つかれば ウエイトを削り出して綺麗に整えたい。
参考までに、市販車両に装着されているバーエンド ウエイトはもっと重く、軽い場合でも 片側100g以上で、重い場合には 200g以上の場合もある様だが、それもメーカー側が設定した 操縦安定性にするためだ。(でも、か弱い?僕の好みではない)
『 その他・考察 』
■ 振動系の制振機能 ■
〇 バーエント ウエイトは、フロント周り、特にステアリング周りで発生している様々な振動が操縦性や安定性に悪い影響を与えない様に、制振用ゴムを介して取り付ける事によって、別の一つの振動体として全体の振動バランスを中和する働きをしている。
〇 慣性質量を持つ物体として安定成分に寄与しているとも考えられるが、例えハンドル両端に装着されていると云っても、高速で回転するエンジンやホイール(タイヤ)や、もっと重い部品の存在を考えれば、バーエンド ウエイトは慣性質量としての働きより制振用ウエイトとして考える方が良い。
〇 よく「エンジン振動がハンドルに伝わり、それによる手の疲れを抑えるのがバーエンンド ウエイト」とも言われているが正しくないだろう。特に、エンジン振動が単気筒や2気筒に較べてずっと少ない 4 気筒エンジン車ならばそうだろう。
■ 最適なウエイト探しの提案 ■
〇 一般に バーエンド ウエイトは重い程に 安定性が高くなり、軽いほどに操縦性が良くなるが、最適なウエイトはオーナーの使い方や体格、感性によって決まるものだ。だから、車両の現在の操縦安定性に多少でも我慢しているのなら、最適なバーエンド ウエイト(重り)探しを提案したい。社外製品で多くの種類も販売されているのだ。
〇 特に、高速道路では不満は無いけど、狭い市街地道路では車両の重さを強く感じてしまう場合には、より軽いバーエンド ウエイトへの変更も一手だ。
■ 注意事項 ■
〇 車両の操縦性や安定性をバランス良く保つ為には、ステムベアリングの点検整備を欠かさず、タイヤとサスペンションの整備・交換を行ない、ケーブルなどの取り回しによるステアリングの引っ掛かりを抑える事が大切で、バーエント ウエイトはその次の課題だろう。
〇 ステアリング(ハンドル)周りに用品を追加装着している人は要注意!
グリップヒーターや スマホスタンド、ドライブレコーダーなどを装着した場合には、それが 100g程度の用品だとしても、必ず操縦・安定性には悪い影響が出る事は認識すべきで、特に左右非対称に用品を装着すればもっと影響は大きくなります。
車両自体の安全性能を高く保つ事を考えるならば、そういう追加装着は最小限に留めるべきだろう。
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