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セッティング講座 ・ リアの車高(調整)編 <その3>

 
では、いよいよ! 「スィングアームの垂れ角」の大切さ(作用)を図解を入れて説明をしよう。


これが理解できて、実際にセッティング(調整)へ応用できれば、間違いなく皆のオートバイは今よりずっと楽しく安全に走るようになるぞ。
だから、もし分からない説明や用語が出てきたら、コメント欄を利用して質問を送信した方がイイぞ。


【 オートバイを前に進めるのがスィングアーム 】

この講座の最初に、「 オートバイは、どうやって前に進むか、知っているか? 」と質問したが、「 スィングアームがあるから前に進む 」が正解じゃ!

では、それを下の図を使って説明しよう。

20140723_a1_web500

リアタイヤ(ホイール)は、エンジンの力で回転する事は皆もよく知っているじゃろう。 でも、回転するだけでは前には進まんのじゃ。

実は、リアタイヤ(ホイール)は、その中心を 車軸(アクスル)という軸(棒状の部品)で固定されておる。
そして、リアタイヤ(ホイール)がエンジンの力で回転すると、その回転につれて車軸(アクスル)が路面と平行に前方に動く・移動するのじゃ。

ここまでは分かるかな。
では、次の図に移ろう。

20140723_a2_web550

路面と平行に前方へと移動する 車軸(アクスル)は、スィングアームという長い棒状の部品に固定されていて、そのスィングアームの前方はピポット(スィングアームピポット)という所でオートバイの車体に固定されとるのじゃ。

だから、リアタイヤが回転すると ⇒ 車軸が前方へ移動 ⇒ スィングアームも前方へ移動 ⇒ 車体も前方へ移動、という 具合にオートバイは走るようになっているのじゃ。
皆のオートバイも、電動バイクも、シャフトドライブのオートバイも、前へ進めるのは スィングアーム という大切な部品があるからなのじゃ。


【 効率良く進むための スィングアームの角度は? 】

2回前の講座で、「人力車」の説明したじゃろう。

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人力車の場合には、人が前から引っ張るから力の入り方が逆になるが、タイヤ(ホイール)と車軸、そして梶棒(スィングアーム)との関係はオートバイと同じじゃ。


では、人力車を引く場合には梶棒(スィングアーム)は水平(路面と平行)にする方が効率良く引けると書いたが、オートバイの場合も同じだろうか?

20140723_a2_web550_2先に出した図を見ると分かると思うが、オートバイを前へと押しているのがスィングアームだから、スィングアームは水平(路面と平行)になっていた方が良い! と考えるのが当然だろう。


【 スィングアームが水平の場合を考えてみよう 】

では、ここでスィングアームが水平の場合を考えてみよう。
下の図を見てほしい。
図の右側は オートバイが静止状態 (ライダー乗車時 = 1G'時)で、左側が エンジンの力でタイヤを回転させて加速した場合じゃ。

20140723_a3_web550

発進直後(加速直後)は スィングアームは水平で効率良くオートバイを前進(加速)させるが、困った事に発進(加速)させると「荷重移動」という現象が必ず起きるのじゃ。
この「荷重移動」というのは、電車やバスに乗っている時、その加速や減速(ブレーキ)につられて、身体が前や後ろの方向へ力を受けるのと同じなのじゃ。

オートバイの場合にも、発進(加速)した場合には、オートバイ(とライダー)は後ろの方向へと力を受けて、その重み(荷重)も前から後ろへと移動(荷重移動)してしまう。
後ろ側へと荷重が移動してしまうと、オートバイにはサスペンションがあるから、サスペンションの働きで車体の後ろ側が沈み込むのじゃ。

車体の後ろが沈み込むと、スィングアームが車体に固定されとるピポット(スィングアームピポット)も一緒に下へと移動する。でも、リアタイヤ(ホイール)の中心の車軸(アクスル)の高さは変わらないから(ちょっとだけ変化するが)、結果としてスィングアームは“前下がり”になってしまうのじゃ。

一旦、スィングアームが前下がりになってしまうと始末が悪い。
エンジンの力で車軸(アクスル)が前方へと進もうとするほど、その力でピポットを下側へと押し下げようとするのじゃ。

効率良く前へと進めないのも問題だが、それ以上にオートバイの走行安定性を大きく損ない、乗っていても不安感が強く、タイヤのグリップ力を大きく損なってしまうのじゃ。
だから、スィングアームは水平の設定は無く、ほとんどのオートバイのスィングアームには“垂れ角”がついていて“後ろ下がり”になっているのじゃ。

( 加速時にリアサスペンションが沈み込む設定では、リアタイヤのグリップ力が発揮し難く、特にターン中の加速で転倒へと繋がる恐れがあり、ライダーも不安定感を感じます)

では、次回の講座では、最適な“垂れ角”について説明して、実際に皆のオートバイで「最適な垂れ角」にする調整方法を説明する。
また楽しみにしてくれ!

   

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コメント

はじめまして、ここ最近ですが楽しく拝見さしていただいています。次回記事も首を長くして待っています(笑)
さて、ひとつお聞きしたいのですが、最近パイロン練習で感じたことです。今までは、乗車Gを優先してプリロードを調整していました。レートが少し高いのか抜き気味の設定です。
ところが、ある日、空車Gで合わせてみたところ弾力感がでてとても走りやすくなりました。
理想はレートを下げて、空車G、乗車Gともに合わせるのがいいのかもしれませんが、走行状態というのは必ずライダーが乗っているものです。それでも空車時にしっかりと垂れ角をつけておくことが重要なのでしょうか?(ライディングストロークが減ってしまっても)ぶしつけな質問で申し訳ありません。

投稿: ドラゴン | 2014年9月 6日 (土) 13時45分

きちんと読んで下さり ありがとうございます。
そして、次章 <その4> が未投稿で申し訳ありません。

ドラゴン さんが体感された様に、ライダーがリアサスペンションの動きをある程度は感じられる方がコントロールしやすいものです。

逆に、高プリロード設定やオーバーダンピングでサスペンションの動きを規制すると、ライダーが不安を覚えるだけでなく、適切なグリップ(トラクション)が得られなくなります。

( ハードな方が操っている感があり、満足する人が多いのですが・・ )

また、次章で述べる予定の「スィングアームの垂れ角」は、適切に設定していないと本来のサスペンションの動きを阻害して、その為にグリップ(トラクション)低下を招く要因です。

つまり、適切な垂れ角でないと、アクセルON時にリアサスペンションを伸縮方向どちらかに推進力の一部が使われ、それが原因で本来のサスペンションの動きが出来ないのです。

長くなりました。
また、改めて次章で図解を加えつつ解説をしますので、どうぞご期待下さい。
そして、また質問を待っています。

投稿: 妖怪大魔王 | 2014年9月 9日 (火) 22時49分

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