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2014年5月の投稿

セットアップ(セッティング)講座原稿、 リアサスペンション編

    

セットアップ(セッティング)講座・その1 「 リア サスペンションの調整 」
   
その原稿を作成しました。
最初は リアサスペンション の プリロード調整です。
   
なぐり書きの原稿で申し訳ありませんが、校正や図の監修などをの意見を寄せてもらえると助かります。 よろしくお願いします。

http://gra-npo.org/lecture/img/Rear_Preload_Setup.pdf

Rearpriloadsetup1

☆ イベント 紹介 ☆

7月13日、『“わがまま”イベント 』を開催します。
イベントの内容は、参加者の“わがまま”(要望)に合わせて、イベントのカリキュラムやスケジュールを決める、参加者オーダーメイド方式です。

ですから、「 上手に走れるようになりたい! 」という人や 「 セッティングをして欲しい 」という人まで、オートバイに関係する事の“わがまま”であれば、誰でも参加を歓迎です。

詳しくは、以下の案内ページか、GRA公式Webサイトページで確認してください。


“ わがまま ”イベント・内容案内ページ

GRA公式Webサイト・イベント案内ページ

     *    *    *    *    *   *

※ NPO法人GRAが開催するイベント 『 GRAのセッティング講座 』下記の通り紹介しますので、ぜひ利用してください
 
『 GRAのセッティング講座 』
http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html

   

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次期購入車両検討記 (MT-09 編)

         
ヤマハの新型車・MT-09は大変に魅力的なオートバイだ。
 
次期購入車両として検討すべき車両の一台として候補に挙げていたが、メーカー発表の仕様諸元などを眺めてますます意中の一台(?)とまで心を固め、先日販売店で見学してきた報告をします。
 
尚、選考の際の対象比較車両は、ヤマハの FZ6(過去に所有) と トライアンフのストリートトリプル(現行車両)で、一般の方とは多少異なる選考判断基準や用途を想定している事を理解して下さい。
( 文中に難解・意味不明な用語があった場合には、気兼ね無くコメント送信でお尋ね下さい。説明文をコメント回答します。匿名で結構です)
 
   
【 どこが魅力的か? 】
 
人によって、オートバイを使う目的が異なれば、選ぶポイントや魅力に感じる箇所も異なるものだ。
僕にとって、オートバイは積極的なライディング、時にスラローム系競技への適性と、整備やセットアップ作業の容易さも選考基準だ。
 
先ずは、MT-09 の メーカーカタログページと仕様諸元(スペック)ページを見てください。
 
◇ カタログページ  :  http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/sportsbike/mt-09/
 
≪ 魅力.1 ≫
・・ 何と言っても、3気筒エンジンである事。その特性(特にトルク特性)は、ストリートトリプルで充分に体験済み。(又は、少し古過ぎるが、スズキフロンテクーペでも同様に!)
 
≪ 魅力.2 ≫
・・ 軽量な車体重量。 装備重量で 188㎏ とすれば、乾燥重量では 150㎏台後半か 160㎏台前半が見込まれ、軽快な動きが更に期待できる。
 
≪ 魅力.3 ≫
・・ 適正なジオメトリー。 103㎜のトレール量と1440㎜ のホイールベースは、バランスの良い操縦性の FZ6 と同等
 
≪ 魅力.4 ≫
・・ 専用設計の左右モナカ合わせ構造のフレーム。 FZ6でエンジンOH整備をした際、他に例が無い程に高い精度を求めた設計がされていたので、その造りが引き継がれている事への期待。
   
   
反対に、不安に感じていた点は少なく、130㎜を超えるフロントサスペンションのストローク量ぐらいでした。
 
 
【 1時間を超える観察の結果 】
 
MT-09の隅から隅までじっくりと観察した印象は、各部位別に以下の通りです。
 
≪ フレーム ≫
・・ フレーム全体の設計は FZ-6 と同様で、ステアリングステム周囲は FZ6と同様に 6本のボルトで締結されており、そのボルトの締め付けトルクの調整で、ステアリング特性の調整も可能な構造は Good!
エンジンマウント部分の設定も納得できるが、リアサスペンションユニットの上部を固定する、左右フレーム間に渡されたブリッジ部材の剛性と取り付け剛性に若干の不安あり。
 
≪ リアサスペンションユニット ≫
・・ この車両の特徴の一つである、リアサスペンションユニットは長く、大きく寝かせられた状態で車体中央部まで伸びており、以前の同社製のレーサー:TZを彷彿とさせる構造には納得。ただし、ユニット下部に接続したリンクユニットの構造と特性は未知数。
 
≪ ステップ ≫
・・ ステップの構造はマイナスポイント。ステップの位置(高さと前後位置)は、オートバイの操縦性を左右する点であり、僕は、スイングアームのピポット(軸)とリアホイールアクスル(リアホイールの中心)を結ぶ線上に位置するのを基本にして、その位置になるように変更を加えているが、MT-09の場合には加工が難しい事が判明して要検討。
( MT-09のステップ取り付け部は、通常のフレーム固定ではなく、スイングアームのピポット部とエンジンマウント部に重ねて固定される形式である上、理想と考える位置より 30㎜程度低い )
 
≪ エンジン ≫
・・ 新設計のエンジンは、前後長は凝縮感があるものの、意外と左右の張り出しがある。その為、転倒時の破損を最小限に留めるためには、フレーム固定の円筒形の自作スライダー以外に、左側ジェネレーターカバー部を覆うカーボンファイバー製カバーを自作する必要がある。この作業は ストリートトリプルの場合と同様だが、MT-09はそれよりも 20mm近く張り出し幅が大きく、転倒時ダメージが更に不安。
 
≪ ハンドル ≫
・・ 自転車、特にロードレーサー車では一般的になった、中央の固定部分の径が左右のグリップ部分より太くなっている「テーパードハンドル」になっているため、ハンドルボジションの最適化の為の交換できるハンドル部品が限られる。それ以上に、標準状態でタンク上面とのクリアランスが少ない為、ポジション変更の余地が限られている事が不安。
 
≪ メーター ≫
・・ 右側にオフセットされている点は FZ6と同様だが、メーター全体の大きさが小型になっているため、FZ6の場合の様に転倒時の破損対策が不要な点は良好。しかし、右側ハンドルグリップ部とメーターとのクリアランスが少なく、グリップ間距離を縮める処理を行なう場合には、メーター固定ブラケット部の追加工が必要と思われるが、専用の特殊形状のブラケットの為に加工難度が多少高い。
 
≪ ホイール ≫
・・ 選考対象車両のそれと較べるまでもなく、デザイン設計は金型費用を抑えたモノであり、表面処理レベルも低く、品質管も低い。
 
≪ 燃料タンク ≫
・・ 一見、ずいぶんと幅が広く感じられるが、計測すると FZ6と同程度であり、ストリートトリプルより20㎜近く狭いため問題は無し。しかし、タンク前方の固定ボルト1本を外すには、4~6本のファスナーで固定されたカバーを外す必要があり整備性悪い。
 
≪ フロントフォーク ≫
・・ ダンピング調整機構は無いが、プリロードアジャスター機構と一緒に FZ1用の部品を軽微な加工程度で組み入れ可能と思われるために問題は無し。
 
≪ フロントフェンダー ≫
・・ スタイリング優先で、走行時には乱流発生が大きいと想像される形状だが、同じく FZ1用の部品をそのまま装着か軽微加工で装着できる見込みがあるので問題無し。
 
≪ 車両全体 ≫
・・ 全体を見て、外装および構造部品共にに部品点数が多く、それに伴って固定用ボルトの点数も多い。これは恐らく、スタイリストが作り上げた全体スケッチまたは縮小モデルのイメージを優先させ、原寸大モデルを作成したモデラーかここの部品の設計へ落とし込んだ人に整備に対する配慮が欠けた結果と思われる。
   
例えば、先に挙げたタンク固定ボルト周囲の設計の他に、テールランプユニットの固定ボルトへのアクセスの悪さなど、車体各部に散見される、 これは、FZ6には見られない特徴であり、整備好きの人が設計した構造が大きな魅力のストリートトリプルと比較すれば全く魅力的に思えない点だ。
 
また、先に挙げたホイール以外、車体各部の表面処理のレベルは低くコスト意識があからさまな点も気になる点だ。
 
 
【 現状の結論 】
 
MT-09は、商品としてのアピールポイントを明確にして、それに伴ってスタイリング(イメージ)面にも力が入り、しかもエンジン特性などの仕様諸元でも高いレベルを狙って製造された車両だ。
   
しかし、スタイリング面からの要求が強く、部品として落とし込む設計での煮詰めが乏しく整備性に欠けた上に部品点数も増え、その上で設計コストに合わせるために表面処理などのコスト削減を行なった車両の様に思われる。
 
試乗を行なわない現段階では、仕様諸元には大きな魅力を感じるものの、深い愛情を注ぐ対象としては品質設計面で不満が残り、同エンジンを搭載した次の車両に期待する気持が大だ。
 
 
 
 

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友人VTR整備記 その2

    
3月22日、僕の友人の VTRを整備したリポートを覚えているでしょうか。


『 久しぶりのガレージで、友達のバイクの整備 』
http://blog.goo.ne.jp/kobahouou/e/39eb34d638b97c9d5bf93f4be7239cc0

きっと、あれを読んだ多くの人は 「 もうやる事は無いのでは? 」と思ったかも知れない。
ところがどっこい! まだまだやる事はたくさんあったのでした。


■ 今回の整備箇所 ■

○ 前後ホイールのベアリンク、オイルシール(ダストシール)の交換
○ リアスプロケット部のベアリング交換
○ リアスプロケット部の ハブダンパー(ゴム部品)交換
○ スイングアームの取り付け部(ピポット)のベアリング交換
○ リアサスペンションユニット取付け部の清掃と潤滑
○ リアサスペンションのプリロードをライダー合わせて適正化
○ リアブレーキのピストンの磨き&清掃・潤滑 (錆ていた!)
○ アクセルおよびクラッチケーブル内部の潤滑
○ アクセルグリップ内部の潤滑
○ リアサスペンションユニットを外して、ドライブチェーンの最張位置を探り、
最適なチェーン調整値と測定箇所の記録
○ エンジンマウント部のストレス除去

___1

 
 
■ 整備のキモ ■


普段から小まめに適切な整備を行なっていない限り、あまり乗らなくてもオートバイの状態が悪くなっていくものだ。
長年、乗り続けているオートバイであれば、隅から隅まで状態は悪くなっていると考えて間違いは無い。

僕がよく言う言葉ですが、オートバイには主に 四つの材料が使われている。

【 金属 】【 ゴム 】【 油 】、そして【 樹脂 】の四つです。

この四つの材料・部品の内、【 ゴム 】と【 油 】は経年変化・劣化が激しく、賞味期限が短いので、2年から4年以内には新品と交換するのが望ましい。

【 金属 】は、結構寿命は長いけど、その表面には【 油 】が付着している事が前提で、【 油 】が表面に無い【 金属 】の寿命は極端に短くなる。

【 ゴム 】は、タイヤを含めて【 油 】が無いと長生きできないので、タイヤを除いて、定期的に新鮮な【 油 】を塗布する事が寿命を延ばす事に繋がる。

【 樹脂 】は、無理な力を掛けたり紫外線を長時間当てない限り、結構長生きする。

・・ などと説明しています。

今回交換に至ったベアリング【 金属 】は、必ず オイルシール(又はダストシール)という【 ゴム 】部品と、グリス【 油 】によって保護されていますが、定期的に 【 ゴム 】に新鮮な【 油 】を塗布しなかったり、グリス【 油 】を定期交換していないと、短命になってしまうものです。

特に、今回のホイールベアリングもそうでしたが、オイルシールは油で潤滑されず硬化して摩耗が進み、守られるべきベアリングに水や汚れが侵入して摩耗が進んでいました。当然、それらの間にあるべきグリスは定期交換もされず、もはや油とは云えない状態でした。

でも、これは友人のオートバイに限った事ではなく、恐らく殆ど全ての市販オートバイはそうでしょう。


■ 整備後の変化 ■

という理由で、車体各部で使われている【 ゴム 】部品は交換をして、グリス【 油 】は新鮮なモノに交換し、【 金属 】部品の表面には【 油 】を塗布し、摩耗が進んだ【 金属 】部品は交換しました。
それと同時に、各部の整体を正しく行ない、可能な限りストレスを除去する作業を行なったのですが ・ ・ ・

予定していた全ての作業を終わり、スタンドから降ろした時、車体を支えているだけで明らかに軽くなった感触があふれ、押し歩きすれば 車体がまるで小さくなった様に感じられたので、成功!です。

後は、オーナー(友人)の感想文から、その変化の度合いを読み取って欲しい。

___2

 
 
■ オーナーの感想文 ■
(原文のまま掲載)

H260427 10時ごろから23時ぐらいまで
バイクメンテナンス イン 妖怪ガレージ

おはこんばんちわ♪
筋肉痛から抜け出せぬ おおひがしです

こばやしさん直伝の今回のメンテナンスは、

1.ベアリングの交換
2.ダンパーセット交換
2.エンジン周りボルトの締め付けトルクの適正導入
3.イニシャル調整
☆ リアキャリパーの清掃モミ出し
だったと思う・・・

車両はVTR250です。(パーツリスト対応:Y)

感想 
今回も12時間超の時間が瞬く間に過ぎ行くものの体力の衰えを
否定できない肉体年齢80歳のおおひがしです。

「マッタリとストップ&ゴーを楽しみながら下道を帰ろう♪」

という気持ちになり夜も遅いと言うのに高速に乗らず下道で帰りたくなってしまいました。
ゴーの時のギクシャク感があからさまにへりチェンジの時のギクシャク感も同じように減りました。

前後タイヤの整列だけでもずいぶんとチェンジする時の左右の挙動(ハンドルが切れる)が減っていたのですが、イニシャル調整によりフロントが浮いたり沈んだりするような
感覚が減りました。

だからなんだといわれると、なんなのですが端的に結うと当たり前と思っていた動き、

例えば
・○ートたけしさんの首をクキッとする動作がなくなった。
・ささくれたツメをちゃんと切ったら服に引っかからなくなった。
・どうも違和感があるとおもっていたら鼻毛が伸びすぎていた。
 整えたらスッキリ♪

そんな感じです。

嫌にすっきりして気持ち悪いくらいなのですが、すっきり感に慣れてくると私が変に使っていた力が抜けて、ア~(はーと)リラックスゆっくりのんびりと15cmの白線の上を走ってみようなどと思ってしまうのです。

あるスピードに達するまでの低速時は不安定だったり
あるスピードを超えた時に、変な挙動を感じることがあると思うのですが、
低速時に安定感を感じることができるスピードが整備前より低速になりました。
とっても上手にバイクに乗れている気になれます♪
乗せられているのか??

10数時間にわたる作業でへとへとに疲れていてもです^^

バイクは、といってもバイクに限ったことでもないですが
・買った時(もらった時?)の動きが当たり前
・新車(新品)で買ったならそれが一番いい状態
・機械なんてものは、壊れるまで性能はあんまり変わらない
そんなことはないんだなぁと改めて感じるしだいでした

適正トルク導入・イニシャルの調整侮るべからず。

イニシャル調整をしようと思うとVTRはとってもめんどくさいです。
シートをシャチホコにしないといけないです。

いやトルクやイニシャルをどうのというよりやはり

「適正な整備」が、基本なのでありましょう。

あ、イニシャル調整はセッティングの部類ですね。

一句献上

適正な 整備あっての セッティング


購入部品リスト(参考です。間違った番号で購入したりするので、利用する時は自己責任で!)

F-10 フロントホイール
交換箇所:ベアリング交換関連
"見出
番号" 部品番号 部品名                個数
7 44680-410-000 リテーナギアボックス         1
15 91252-MC7-003 ダストシール 22X42X7(アライ)    1
16 91258-410-013 ダストシール 40X50X5(アライ)  1
17 96150-63020-10 ベアリング、ラジアルボール 6302UU 2

F-13 リアーホイール
交換箇所:ベアリング交換関連
"見出
番号" 部品番号 部品名                    個数
1 06410-KEA-750 ダンパーセット、ホイール         1
21 91052-MM5-003 ベアリング、ラジアルボール 6304UU(NSK) 1
22 91252-428-000 オイルシール 25*40*7 1
23 91252-MC4-013 オイルシール 1
24 91302-317-700 Oリング 54*2 1
25 "96150-63020-10 ←番号間違い発注してしまった。
    96150-62030-10" ベアリング、ラジアルボール 6303UU 2
    ↑こばやしさんのストックを借りることが出来た。現物新品購入のうえ返却のこと。

F-21 スウィングアーム/チェンケース
交換箇所:ベアリング交換関連
"見出
番号" 部品番号 部品名 個数
19 91071-MT7-003 ベアリング、ニードル(NTN) 1
20 91202-MAL-601 ダストシール 25*33*4 2
21 91203-GC8-003 オイルシール 24*31*3.5 1
22 91214-MAL-601 ダストシール 23*35*5 1
26 94520-35000 サークリップ、インターナル 35MM 1

28 96100-60030-10 ベアリング、ラジアルボール 6003 2

     *    *    *    *    *   *

※ NPO法人GRAが開催するイベント 『 GRAのセッティング講座 』下記の通り紹介しますので、ぜひ利用してください
 
『 GRAのセッティング講座 』
http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html

   

 

 

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エンジンマウントの ストレス考

 
オートバイに長年乗り、多少整備もする人にとって馴染みの無い事の一つが「 エンジンマウントのストレス 」だ。
   
レース等の競技の世界では自然に手当(ケア)しているが、一般市販車の場合には殆どその機会は無いから知らなくて当然だ。
しかし、この箇所のストレスを取る作業は意外と簡単で効果もそれなりにあるから試して欲しい。
 
実は、ワシは今まで使ってきた車両では定期的に行なって作業だが、VTR250 の作業で改めてその大切さを気付かされたので報告をしたいのじゃ。 まあ、聴いとくれ。
 
 
【 エンジンマウントって? 】

急に「エンジンマウント」と言われても、
「どこだ?」「俺のにも有るのか?」となって当然じゃから説明しよう。
 
「エンジンマウント」とは、エンジンをフレーム(車体/骨組み)に固定し取り付けている所の事。
あの大きなエンジンを車体に固定しなくっちゃ走れないから、キミのオートバイにもある。
   
じっくりと、エンジンの周りを観察すると幾つかあるのが分かるじゃろう。
車種によって違うが、最低でも 3か所以上、左右に分かれて固定している場合は 6か所以上じゃ。
そして、殆どは太いボルト(ネジ)で固定してある。
 
 
【 エンジンマウントのストレスって? 】
 
ストレスは知っとるじゃろう。
例えば、身近な人との間で何とも言われぬ“ギシギシ感”や“居たたまれなさ”を感じる場合があるのと同じで、オートバイの部品が取り付け組み合わさっている場所にもあるのじゃ。
 
特に、金属の部品同士が大きな力で組み合わさったり、大きな力が掛かりやすい所では大きな“ストレス”が生まれて残っとるのじゃ。
 
   
【 ストレスはどうして生まれる? 】
 
で、なぜバイクの「エンジンマウント」に“ストレス”が発生しとるか分かるかな?
大きい原因は二つじゃ。
 
一つは、組立作業から来るもの。
工場でオートバイを組み立てる時、エンジンとフレームを組み立てる時、普通は作業台に置いたエンジンの上からフレームを組む。 なぜかって言うと、エンジンは一番大きくて重い部品だから、重いモノを動かさない方が簡単だからじゃ。
 
けれど、実際の走行状態はエンジンはフレームからぶら下がっていて、エンジンにフレームを載せている状態とは違う。
 
それが原因で、組み立てた後で走行状態になった時から、エンジンはフレームからぶら下がる方向へと離れようとするが、ボルトでしっかりと固定しあるからストレスが生まれるのじゃ。分かるかな?
 
二つ目は、エンジンとフレームが別々の動きをしようとするからじゃ。
というのは、例えば走行している時には、タイヤから伝わってくる力でフレームは微妙に前後左右に変形しているのだが、エンジンは重くて頑丈だからそうはいかない。
 
力で変形しようとするフレームと頑として反抗するエンジンとの間・つまりエンジンマウントにはストレスが生まれるのじゃ。
   
そして、フレームを変形させようとする力は走行している時だけじゃあない。サイトスタンドで駐車している場合にも、エンジンマウントには余分なストレスを発生させとるのじゃ。
 
だから、余談じゃが、駐車させる時にはレーシングスタンドで直立させておくのがベストじゃ。
えっ? センタースタンドで直立も良いかって?
それも、あまりお勧めじゃあない。
理由は考えて欲しい。( 余談はここまで )
 
 
【 エンジンマウントストレスの除去方法 】
 
それは、道具さえあれば簡単じゃ。
 
レーシングスタンドで直立させた状態で、エンジンマウントで固定しているボルトをちょっと緩めるのじゃ。
 
そうして、大きなゴムハンマーやプラスチックハンマーでエンジンを左右側面を叩き、振動を与えてやるのじゃ。

そうして、エンジンが本来あるべき場所で落ち着くのを待ってから、メーカー指定の締め付けの力(トルク)で締め付けてやればOK!なのじゃ。
 
こん時、気をつけなくちゃいけない事があるのじゃが、ボルトの締め付ける順番を間違えん事なのじゃ。
   
基本は、より大きな力を受け持っているボルト、より車体中心部にあるボルトから締めていくもの。
 
人間でいえば、より身近でより大きな影響力を与えあっている関係を優先していくのと同じじゃ。
 
一般に、大きな力を受け持っている所には太くて大きなボルトが配置されていて、太いボルトは指定されている力(締め付けトルク)も大きいから、サービスマニュアルで確認すれば良い。
 
けど、今回、VTR250の場合にも同じように処理をして、良くない結果を経験した事を白状しよう。
 
 
【 ボルト締め付け順の考察 】
 
VTR250の場合も、エンジンが一番大きな部品で、それにトラス状のフレームが固定されている。
 
で、他のオートバイとちょっと違う所は、リアのスイングアーム(リアのタイヤを固定している棒状の部品)はフレームに固定されてなくって、エンジンの後ろ側に取り付けられている“ ブラケット ”という部品(図中の4番の部品)に固定されてとる。
Hondavtr250105
E_mount_web800
   
で、写真を見て欲しいが、VTRのエンジンマウントは 赤い3つの矢印の所と、青い矢印の所にあるボルト、合計 4本じゃ。
   
そして、それぞれの指定された締め付ける力(トルク)は、大きい方から 74 Nm、 54 Nm、44 Nm じゃ。
( 54 Nmのボルトは カバーの内側で見えてないが、ある)
   
ワシは、青い矢印の 44 Nmのは残して、赤い矢印で一番太くて指定された力の大きい 74 Nm、 次に 54 Nm、最後に 44 Nm の順で締め付け直しをしたのじゃが、これが嫌な症状を生んでしまったのじゃ。
 
普通の道、普通にまっすくに走っているのに、まるで空気圧を正規の 5割増しにしてしまったかの様に突き上げ感が厳しくて、コーナーでは 突き上げ感にトゲトゲ感が伴って、とても楽しく乗れるモンじゃあなくなったのじゃ。

自信と確信を持っての確認走行から自信喪失となってガレージに戻って考えに考えた。

そこで、VTR250 にとっては、エンジン後部に取り付けられた“ブラケット”が一番のキモとなる部品じゃあないのか?と。
試しに、54 Nm を最初に締め、次に 44 Nm、最後に 74 Nm へと締めて、再度の確認走行をした。
 
これが正解じゃった。
 
突き上げ感が無くなったのは当然として、ストレスを取る整備の前よりも、一層澄み切った走行感を得る事が出来たのじゃ。
と、まあ、今回は失敗もあったけど、それだけ【 エンジンマウントのストレス 】への対応でオートバイが生まれ変わる事を覚えておいて欲しい。
 
 
【 最後に 】
 
これはよくある話じゃが、エンジンマウントのボルトと同様に、オートバイには普段からストレスを受けているボルトはたくさんあるが、メーカー指定の締め付け力(トルク)を無視して強過ぎる力で締め付けられているのじゃ。
 
整備の結果として無用に強く締め付けられて、ストレスで乗り味が変わってしまったり、場合によっては安全に走行できない場合があるのを知っていて欲しいのじゃ。
 
そして、指定値を無視して締め付け過ぎている場合の多くはオートバイショップだったりするのじゃ。
   
整備する車両・オートバイ毎に、サービスマニュアルでボルト1本づつ確認しながら作業を行なっていないのだから、それは当然だ。
   
オートバイにいつまでも楽しく安全に乗り続けるためにも、そこら辺りの知識だけはしっかりと持って、信頼できる整備をする人を見つけるのが大切なのじゃ。
   

    *    *    *    *    *   *

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『 GRAのセッティング講座 』
http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html

   

   
   

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昔乗っていた車両 (XJ400Z-E 編 )

 
人生で初めて手に入れた中型オートバイはヤマハXJ400。
   
そして、次に手に入れたオートバイはヤマハXJ400Z-Eでした。
名前はほんの少しの違いでも、エンジンから車体まで全く新しく設計された高性能版でしたが、それ以上に僕に“因縁”や“人生訓”を教えてくれたオートバイでした。
   
Xj400ze_198404_800web
 
【 購入のきっかけは ・・ 】
   
購入、というよりも手に入れたきっかけ、それは事故でした。
   
最初に購入したXJ400で街中を夕方走っていた時、小さな路地、一旦停止して左右確認したつもりで発進したところ、ブラインドになっていた所から車が向かってきているのを確認。
   
幅員4m弱の道、避ける間も無く、横手方向から減速出来ずに近づく車。
オートバイの右側面、右足めがけてスローモーションで超接近した車のライトを見て思った事 「あっ! ボルボだ」
 
次の瞬間、頭の上から地面が降ってきた。
実際には10m近く跳ばされ、頭頂部から着地したのだった。
   
そんな時、頭を巡った想いは 「僕の給料で弁償できるかなぁ? 何か月分だろう?」
放心状態のまま横たわっていると、車のドライバーがやって来てかけてくれた言葉。
   
「 Are you fine ? 」
   
え? 英語?   事故で混乱している頭で考えた。
え~と、中学校で習った返事、「 アイム ファイン. アンド ユウ? 」では違うよな~
 
幸いにも身体には大きなダメージは無く、オートバイの損傷も廃車路線程ではなかった。
そして、何よりも感心させられたのは男性のドライバーの誠意ある対応だった。
後日、示談のために料亭をセッティングして、秘書の方を通じて示された言葉は
 
「 私の運転であなたに迷惑を掛けましたが、あなたの身体に大きなダメージが無くて良かったです。 」
「 あなたのオートバイの事は、私の全責任で保障する様に保険会社へ指示しました 」
   
もし、逆の立場だったら僕は同じ言葉を言えるのだろうか。
そんな思いもしながら、XJ400は車体各部の傷から全損扱いとなり、新しく車両を購入する事になってXJ400Z-E がやって来たのです。
   
XJ400は、必要最小限の破損を修理して、競技専門車両になり、2台のXJ400生活が始まったのです。
   
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【 最初の災難 】
   
XJ400Z-Eは決して悪いオートバイではありません。
しかし、XJ400と較べると、エンジンを始めとする車体各部の仕上げ工程の少なさの目立つ車両でした。
   
XJ400では アルミ部品の金属に切削加工を加えて、その上からコーティング処理を施し、アルミの地肌と切削面との対比が美しく演出してあり、それが XJ400Z-Eでは切削も無く黒い塗料で塗りつぶされているだけと、見た目だけでなく磨き甲斐の少なさを感じたものです。
   
時代は 1980年代半ば、この車両だけに限らず、他のメーカーの車両でも、コストカットの大きな波がはっきりと表れてきた頃でした。
   
でも、新しいオモチャを手にいれた子供の様に、分解しては自家塗装して飾り立て、休日にはツーリングへと連れ出していました。

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そんなある日、朝、通勤の為に走らせていた時、宝塚市内、国道176号線の旧道、幅員6m程の片側1車線の道、対向車線を大型ダンプがセンターラインぎりぎに通り過ぎて行ったその瞬間、そのダンプの後ろを走っていた 2 tonダンプが黄線を完全に越えて僕の車線の中に!
   
救急車で運ばれた病院で精密検査の結果、打撲だけで大きな損傷は無く、午後には退院。
しかし、XJ400Z-Eは現場に放置されたまま。
購入したオートバイ屋へ連絡し、一緒に車両を回収の為に現場へ行った。
 
正面衝突を避けるため、無我夢中の操作で後輪ロックによるブレーキ痕が20m近く続き、緩やかに進路を変えて、最後は道路の左端近くでダンプの右運転席角と正面衝突し、僕はダンプとの正面衝突を避ける様に、身体だけがダンプの運転席横へと落ちていったのが見てとれた。
   
明らかに、ダンプの方の前方不注意だが、そのドライバー・造園会社社長には誠意は無く、見舞いも無いどころか、任意保険さえ入っていない始末。
その上、造園業者の社員には「オートバイが急に飛び出してきた!」と言われる始末。
   
現場検証の内容とは別に、オートバイへの風当たりの強さを感じた言葉でした。
まだ若かった僕には、怒りは湧いてきても十分な交渉術もコネも無く、泣く泣くあきらめて自費で修理する事に。
   
でも、正面衝突で大きく歪んだフレームまで修正するお金は無く、異様にキャスター角が立った車両との格闘が始まったのです。
この時、頭をよぎった言葉は、「 事故でやってきた車は何かを持っている? 」
でも、直ぐに忘れて、修理と整備の日々が続いたのです。
 
 
【 最後の災難 】

見た目には以前と変わらない程に戻った車体だったが、フレームが歪み設計値より小さくなったキャスター角はごまかせない。
試行錯誤しながら、ようやくバランスが取れるセットアップを手に入れ、六甲山を走っていたある夜。
   
中腹地点で若いM君と知り合い、六甲山頂部を縦断する道へのツーリングへ誘う。
高校生の彼は、街中の走行は慣れていても、山道の走行には慣れてなかった。
その上、街灯などの照明が一切無い、曲がりくねった道を走るのは難しいもの。
   
往路は僕がペースを落とし、ミラーで確認しながらリードした。
そして、帰り道は M君を先に走ってもらう事になった。
でも、やっぱり危なっかしい。
   
次の左のブラインドコーナーの次、直線路で前に出てあげよう。
と思った時、M君が左コーナーを曲がり切れずにセンターラインへ、同時に、コーナーの反対車線から車・430セドリックが走って来ていた。
   
瞬間、何が起きたか分からなかった。
でも、右足首に激痛が走り、僕は道路の上を痛さのあまりに転げ廻っていた。
   
遅い救急車を待ちつつ、痛みを堪えつつ観察してみれば、XJ400Z-Eの右ステップ周りが無くなっている。
車と衝突したM君は勢いで車のボンネットを超えてフロントグラスに当り、M君の乗っていたオートバイは跳ね返されて、後ろを走っていた僕にぶつかってきたのだった。
   
骨折した右足で歩くのに慣れた頃、引き上げてきたXJ400Z-Eを前にして決断したのでした。
   
「事故(成金)で得たオートバイとの縁は切るべきだ」と。
   
そこで、六甲山で知り合った人の一人で、XJ400Z-Eとエンジンなど共用部品が多く使われているオートバイ、レーサーレプリカの FZR400 に乗っていた20歳過ぎの I君に引き取ってもらう事に。
もちろん、お金は要らない。名義変更の約束だけだ。
   
これで、ようやく事故(成金)で得た車両との因縁が切れたと考えていた。
でも、実はそれは違っていた。(と思っている)

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【 苦い教訓 】
   
これは、オートバイに乗っている多くの人に聞いて欲しい。
   
オートバイは、一般路上の上では車との接触事故で大きな被害を受ける。
仮に、警察の検証や保険の判断で車側に大きな過失があったとしても、直接的に身体にダメージを受け易いのはオートバイです。
   
だから、オートバイに乗る時には、常に周りに居る車と接触や衝突をした場合、どんなダメージを受けるのか、それは簡単に治る怪我の可能性もあるけど、一生引きずる後遺症になる可能性もある事を理解して欲しい。
   
そして、事故の相手が誠意のある人で、不幸中の幸いの様に事故で大きなお金が入ったとしても、それをそのまま喜んではいけません。
そんな縁は、別な災いを招く事もあるのです。
   
実際、右ステップ周りが無くなった他に大きな傷の無いXJ400Z-Eを喜んで引き取ってくれたI君。
僕の事故から 2週間もしない早朝の神戸市内の国道2号線。
空いた広い道をFZR400で走ってきたI君の前方、横の路地から出て来た大型トレーラー車が片側2車線の道を塞いでしまい、I君は止まり切れずに側面衝突。
ほぼ即死の状態だったと聞いた。

丁度、元WGPレーサーのノリックの事故状況と似ている。
   
直接の因果関係は無いかも知れないが、僕はそこに“因縁”はあったと今も考えている。
交通事故で新車が手に入り、それで喜んでいた僕に対しての“ばち”の様なものだ。
その“因縁”で、僕は2度事故を受け、I君は最後の事故になってしまったのだ。
   
皆に覚えていて欲しい事は、事故に逢ったとしても“お金”や“得”を必要以上に求めないで、事故では必ず“損”をするのが当たり前と考えて欲しいのです。
   
これを読んでくれている全員が事故の体験をするとは思わないけど、周りでそんな人が居た時には伝えて欲しいのです。
   
もちろん、事故には遭遇しない様にして欲しいが、例え直線路を法定速度で走行していたとしても、事故は向こうからもやって来るものです。
それを十分に自覚して、日頃から事故の後の処理まで気を遣ってください。

 
   
・・・ という事で、すっかりオートバイに乗るのが嫌になり、悩みながら色々と考えて決めた事は次の機会に書きましょう。

 
   

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