「がんばって!」 は、 時として 惨い言葉に ・ ・
「がんばって!」は、 よく聞く言葉。
平時、ありふれた日常生活の中では 特に害の無い言葉でも、
時として惨い(むごい) 言葉になる事があります。
言葉を掛ける側の人と、掛けられる側の人、
お互いに 同じ様な環境、立場、境遇の場合なら問題無く、
立場や環境に大きな差がある時には注意が必要になります。
特に、一方だけが様々な理由や条件によって、精神的に
打ちのめされている場合には 最大の注意が必要です。
「がんばれ!」って 声を掛けられる以前から、
掛けられる言葉の回数の 何百、何千倍以上の回数で
自分自身に対して励まして、なぐさめ、激励し尽くし、
それでも変わらぬ状態に陥ってしまった人は 多くいるのです。
そんな時、身近に寄り添い、見守りもせず 、
遠くから 「がんばれ!」と声を掛けられても ・ ・ ・
* * *
人は さまざまな“衝動”によって 突き動かされ行動するものです。
哀しい体験をした人を見ると ・ ・ ・
□ 「 何かしてあげたい! 」 という “衝動” と
□ 「 何かをして、責任から逃れたい 」 という “衝動”
これら 二つの“衝動”が 同時に心の中に生まれるものです。
前者は 人としての善良な心から生まれ、後者は 偽善的な心から
生まれる ・・ と、よく言われてはいますが ・ ・ ・、
哀しい体験をした人の側にとってみれば、
どちらも大きな違いが無い行為になる事が少なくありません。
そう! どちらとも、「 偽善的な行為 」・・ と見えるのです。
* * *
その理由は、とても簡単です。
哀しい体験をした人も“人”ですから、 他の人に 「 がんばれ! 」と
声を掛けた時に、自分自身の中に“ 偽善性 ”を感じた経験があるから
です。
ですから、一方の立場が大きく異なる場合、特に 相手の立場が
追い込まれている状況では、単に 「 がんばって! 」と声を掛けるだけ
では、誤った “サイン”を与えてしまいます。
却って 相手を更に追い込む危険性がある事を 理解しなくてはなりません。
* * *
ボランティア の話に移りましょう。
例えば、震災の現場へ行って、避難所へ行って ボランティア をしたい!
と 考えた場合には、 慎重に考えを巡らす必要が あります。
遠くから、「 がんばって! 」と 言うだけの行為よりも、ずっと尊い
行為になる可能性 は 確かにあります。
しかし、避難所へ行って、その場の人にでも出来る事をしているだけ
では、被災してしまった人を 単に “被災者”扱いしているだけで、
被災という現実から 自分自信の力で 立ち直ろうとして自分自身で
叱咤激励している人 の 心を挫く事になってしまう危険性を 充分に
理解しなくてはなりません。
所詮、ボランティアとして行く あなたには “戻る場所”や “戻れる
生活環境”があるのです。
そんな人から、安易に 「 がんばって! 」と 施しを受けつつ聞かさ
れる身は、とても辛い響きにもなるのです。
そんな危険性を避けてボランティをするには、その場に居る人達には、
自助努力では成し得ない行為・技術 を発揮するのが最善です。
例えば、「 医療従事者による医療・医療補助行為 」とか
「 弁護士や司法書士による法律相談・手続き 」は、適切な手続き
を踏んでの行為であれば 歓迎されるでしょう。
他には、「 運転免許取得者による車両持込み運搬作業 」、
または 地方自治体や役場などの 要請に応じての 行為 であれば
有効です。
* * * *
ボランティアをしたい! という心 や、「 がんばれ!」と 声を
掛けようとする “衝動”は 自然だし、人らしい行為です。
しかし、それを 受ける側の人の “パーソナリティ” を無視して、
施しを与えるという意識が混入したままの行為であれば、
決して 良い結果を招かない場合があるという 危険性 を しっかりと
認識をすべきです。
「 美談 」 と 「 悲劇 」は、時として 裏・表 の関係にあるのです。
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